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株式会社 日立システムズ

第39回 BIの最新動向(1)~BIとは何か?

2018年1月22日掲載

ビッグデータやAI(人工知能)を活用して、迅速にビジネス成果を達成する動きが急激に活発になる中、すでに20年近い歴史を持つBI(Business Intelligence)が脚光を浴びています。
そこで3回にわたって、BIとは何かを整理し、ここ数年のBIの動向について解説していきます。今回は「BIとは何か」について説明します。

第39回 BIの最新動向(1)~BIとは何か?

最新のBIを活用したいが

ITコンサルタントの美咲いずみは、東京都港区にあるスマイルソフトの神谷隆介社長から経営のためのIT活用の相談を受けている。スマイルソフトは、中堅企業向けのCRMパッケージソフトの開発・販売で急成長した、IPO準備中の新進企業だ。

「先日、IoTについて教えてもらいました。おかげさまでいくつか商談が進んでいるのですが、その中で最新のBIを活用したいという要望が出てきてました。せっかくの機会なので、きっちりとおさらいをしておきたいと思いまして」と、神谷が相談の意図を説明した。

「ここ数年、BIツールの発展は著しいですし、使う立場によってもBIのイメージが違う為、混乱しがちかもしれません。歴史を踏まえながらBIとは何かについて整理し、続けて最新動向についてお話しします」といずみは快諾する。

BIは古くからある概念

「BIとはBusiness Intelligenceの略ですが、この言葉は相当古くからあり、実は1958年にIBM研究所のハンズ・ピーター・ルーン氏が提唱した言葉です。約60年前ですね。ただし現代的なBIの概念は、1989年にガートナーグループのアナリストであるハワード・ドレスナー氏が提唱したものです」

ドレスナー氏によれば、BIとは「事実をベースに支援システムを使用した、ビジネス上の意思決定を進化させるための概念と手法」である。手法としては、データベースシステムとその他のツールを活用することが前提となっている。

1990年代に入ってから、EUC(エンドユーザーコンピューティング)とDWH(データウェアハウス)の2つが盛んになる。EUCとは、社内のデータベース(DB)から抽出したデータを、エンドユーザーがExcelなどのパソコンソフトで加工・集計して活用することである。またDWHとは、業務システムごとに作ってきたDBを、項目の重複なくコードなども統一して集約したものである。

BIの初期の姿はEUCだったと言える。つまり、社内DBからシステム部門などのデータ管理者が抽出したデータを、ユーザーが表計算ソフトなどで利活用することだった。

パワーユーザー向けにOLAPツールが登場

初期のBIでは、予算の達成進捗表などの定型的なレポートの作成が中心だった。だが、主にマーケット部門や経営企画部門などに所属するデータ分析専門家には、さまざまな仮説やアイデアを思いつくまま(アドホックに)検証する形で分析をしたいというニーズが以前からあった。
企業のデータ整備の進展に伴い、このニーズに対応する汎用的な分析ツールが登場した。それがOLAP(Online Analytical Processing)ツールである。

社内データベースから必要に応じてデータ管理者がデータを抽出し、OLAPキューブと呼ばれる多次元DBを構築する。エンドユーザーはOLAPツールでキューブに対して、ドリルダウン、スライシング、ダイシングといった直観的な操作をしながら、分析を進めていく。
OLAPはDWH構築の進展とともに発展してきた。DWHをはじめとするDBから必要なデータを抽出して構築した分析用DBを一般的に「データマート」と呼ぶ。そのためDWHから抽出したOLAPキューブも「データマート」と呼ばれることが多い。

OLAPツールは当初、クライアントサーバーシステムとして提供されたが、社内システムのWeb化に伴い、Webアプリケーションとして提供されるようになっていく。

利用者の拡大とともに進化したBIツール

一方で経営環境の変化に伴い、経営層から一般社員まで全ての層で、データ活用による迅速な意思決定が求められるようになった。
こうなるとパワーユーザー向けであるOLAPツールだけではニーズに応えられず、経営ダッシュボードなどのモニタリングツールや、操作性が高く表計算ソフトより高度な機能を持つレポーティングツールなどが提供されるようになってきた。

2000年代になり、ITガバナンスの観点から企業全体でBIツールを統合する動きが出てくると、その動きに対応してOLAPツール、モニタリングツール、レポーティングツールなどを1つの製品に統合した「エンタープライズBI」が登場した。

そして現在

「現在では、エンタープライズBIも使われている一方で、用途に合わせて最適なツールを選択するといった適材適所の取り組みになっています。BIツールも重要ですが、データを企業全体で統合・統制する仕組みの構築も重要とされています」といずみ。

「BI自体は進化しているのですか?」

「はい、もちろんです。ここ数年で、大きく4つの方向で強化されています」

4つの方向とは、以下の通りだ。

  • セルフサービスBI
  • クラウド化
  • モバイル対応
  • ビッグデータ活用

これらについて、次回以降に解説していく。

まとめ

  • 現代的なBIの概念は、1989年に提唱された
  • BIの初期は、社内DBから管理者がデータを抽出し、ユーザーが表計算ソフトなどで利活用することだった
  • 1990年代に入ると、データ分析の専門家向けであるOLAPツールが登場する
  • 経営環境の変化に伴い、モニタリングツールやレポーティングツールなどがBIツールとして登場する
  • ここ数年、BIは大きく4つの方向(セルフサービスBI、クラウド化、モバイル対応、ビッグデータ活用)で強化されている

いずみの目

データの活用のためには、データの収集や抽出および加工といった前処理がどうしても必要になります。元データとしてはDWHが使いやすいため、OLAPやBIといえばDWHと併せて使うイメージがありますが、ERPや業務パッケージソフトから直接データマートを作成するという方法もあります。例えば、統合会計・人事/給与パッケージSuperStreamにもBIツール連携機能があります。

  • * この物語は、筆者の見解をもとに構成されています。
    日立システムズの公式見解を示すものではありません。
  • * 文章中に記載された社名および製品名は各社の商標または登録商標です。

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