2018年10月15日掲載
中小企業がIT導入をする際に、少しでも費用を抑えたいと考えるのは当然のことだと思います。導入費用を抑える方法としては、IT導入補助金を交付してもらうのが有力な方法です。しかし補助金についてよく分からないという方も多いのではないでしょうか。
そこで3回にわたって、IT導入補助金を交付してもらうための基礎的な知識について解説します。
今回はIT導入補助金そのものについてです。
ITコンサルタントの美咲いずみは、東京都港区にあるスマイルソフトの顧問コンサルタントとして同社を定期的に訪問している。
スマイルソフトの社長・神谷隆介からの、「値引きをしないで、実質的に顧客の導入費用を下げる方法はないか」との質問に対して、いずみは「顧客にIT導入補助金の申請をしてもらってはどうか」という案を出したのだった。
「補助金と助成金の違いは分かりました。で、さっきおっしゃった『IT導入補助金』とはどんなものなのですか?」と神谷が質問する。
「詳しくは『IT導入補助金』のサイトがあるので、それを見ていただきたいと思いますが、私のほうからは要点をかいつまんで説明しますね」
IT導入補助金(平成29年度補正予算)概要
正式名称 |
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根拠となる法令等 |
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交付の目的 |
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※「平成29年度補正サービス等生産性向上IT導入支援事業費補助金交付規程」(以下、『規程』と呼ぶ)を基にまとめた。
「生産性の向上に資するソフトウェア、サービス等」は「ITツール」と呼ばれる。
対象となるITツールは、メーカーやベンダーが登録申請し、事務局が交付の目的に資する者と認められて採択したものに限られる。
「『サービス等』ということは、クラウドも含まれるわけですね?」と神谷。
「ご明察です。『ソフトウェア、クラウド利用費、導入関連経費等』と『規程』に記載されています」
いずみが説明を続ける。
「交付対象者は、目的にあるとおり『中小企業・小規模事業等』になります。大企業の株式の所有割合や役員の割合など細かい決まりがあります。日本国内で事業を行う個人または法人であることも必須の条件です。さらに風俗営業や反社会勢力の関与がある企業は対象となりません。そのほか、業種ごとの資本金や従業員数の上限など細かい決まりがありますが、『規程』を参照してください」
「一般的に中小企業・個人事業とみなされる企業であれば、対象と考えていいでしょうか」と神谷。
「そうですね。あとNPO法人や各種組合も対象になります」
「補助金の額はどれぐらいになるのですか?」と神谷が質問した。
「平成29年度補正(平成30年交付)については、上限額が50万円、下限額が15万円となっています。これは年度によって変更があるので、毎年確認してください。将来、制度自体がなくなることも、もちろんあり得ます。補助率は、これも来年以降変更になる可能性はありますが、1/2以内となっています」
「なるほど。それで『30万円~50万円ぐらいの値引き』に相当するとおっしゃったわけですね?」と神谷。
いずみがほほえんだ。
まとめ
いずみの目
次回詳しく書きますが、IT導入補助金の申請にはITベンダーやメーカーのサポートが必須になります。
今回を読んで急いで利用したいと思った方は、IT導入補助金を前提とした導入提案を行っているITベンダーにすぐにお問い合わせすることをお勧めします。
日立システムズは、システムのコンサルティングから構築、導入、運用、そして保守まで、ITライフサイクルの全領域をカバーした真のワンストップサービスを提供します。