2018年12月17日掲載
ここ数年「RPA」という言葉が急速に普及し、導入事例も飛躍的に増えています。そのため関連情報も急速に増えており、全体像がつかみにくくなりつつあります。そこで、今回から3回にわたって、RPAの全体像を解説してきます。
今回は、RPAとはどういうものかをおさらいします。
ITコンサルタントの美咲いずみは、東京都港区にあるスマイルソフトの顧問コンサルタントとして同社を定期的に訪問している。
ウォーターフロントを一望できる会議室で、スマイルソフトの社長・神谷隆介が口を開く。
「おかげさまでKIZUNA(スマイルソフトの主力CRMソフト)のクラウド版の販売が好調なんですが、そのため運用業務が大変になっています。増員しても追いつかない状況で、抜本的な対策が必要になっているのです」
「どういう業務に時間を取られているのですか?」といずみが質問する。
「月次で発行しているレポート作成のためのデータ抽出ですとか、インシデント(トラブルにつながる事態)レポートの作成、ユーザーアカウントの登録作業などですね」
「つまり定型的な業務に時間を取られているということですね。であればRPAの導入を検討されてはいかがでしょうか」
「RPA。最近よく聞く言葉ですね。私は最初に聞いたとき、PepperのようなパーソナルロボットがPCを使って作業しているイメージが浮かびました」
「実は、私もです」と、いずみがはにかむ。
「運用業務などにも使えるのですか?」
「定型的な業務であれば、ほとんど適用可能かと思います。しかも人間が実行するより、速くて正確です」
RPAは、Robotic Process Automationの略で、PC上で行う定型的な業務を自動的に実行してくれるソフトウェアだ。
例えば営業アシスタントが、営業から送られてきた受注メールを確認し、Excelなどの添付ファイルを開いて、受注システムにログインし、ファイルを見ながら項目入力する業務を考えてみよう。
この業務を人手で行った場合、「受注メールの確認→添付ファイルの開封→受注システムにログイン→メニューを選択→多数の項目を手入力→承認者を指定→受注内容の保存→ログオフ→完了報告(受注メールに返信)」という流れになるだろう。
これをRPAで自動化すると、「受注システムにログイン」から「完了報告」までの7ステップを自動化することができる(図)。
RPAによる作業の自動化例
この中で最も時間がかかるのは「多数の項目を手入力」だ。それが自動化されると大幅な時間短縮になる。また、このような手入力は人的ミスが起こりやすい作業だが、RPAはミスなく正確に実行してくれる。
「人間の作業をどうやって覚えさせるのでしょうか?」と神谷が質問する。
「基本的には、ロボット作成ツールを起動して、ツール上で自動化したい作業を実行すれば、覚えてくれます。操作内容を記録したファイルを『ロボットファイル』と言います。ロボットファイルは手動でも起動できますし、スケジュールを設定して起動することもできます」
「条件分岐などがある場合はどうするのですか?」
「人によって業務フローが違うと自動化が難しくなりますので、まずは業務フローを見直して、標準化することが大切です。場合によっては自動化しやすいようにフローを変更することもあります。
そのうえで、ロボット作成ツール上で条件分岐を定義していきます。これは画面から行えますので、プログラミング言語を駆使して処理を記述するといった一般的なプログラミングのスキルは必要ありません」
「なるほど。業務を覚えさせるのも簡単なのですね」。神谷は強い関心を示したようだ。
まとめ
いずみの目
便利なRPAですが、文章だけの説明では今1つイメージがつかめない人もいるかもしれません。そこで動画も併せて参照されることをお勧めします。
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