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株式会社 日立システムズ

第41回 BIの最新動向(3)~クラウド化、モバイル対応およびビッグデータ活用

2018年3月16日掲載

ビッグデータやAI(人工知能)を活用して、迅速にビジネス成果を達成する動きが急激に活発になる中、すでに20年近い歴史を持つBI(Business Intelligence)が脚光を浴びています。
そこで3回にわたって、BIとは何かを整理し、ここ数年のBIの動向について解説していきます。今回はクラウド化、モバイル対応とビッグデータ活用について説明します。

第41回 BIの最新動向(3)~クラウド化、モバイル対応およびビッグデータ活用

前回のまとめと今回のテーマ

ITコンサルタントの美咲いずみは、東京都港区にあるスマイルソフトの神谷隆介社長から経営のためのIT活用の相談を受けている。スマイルソフトは、中堅企業向けのCRMパッケージソフトの開発・販売で急成長した、IPO準備中の新進企業だ。

今回の神谷社長の要望は、BIについておさらいした上で、最新動向を知りたいということだった。いずみはBIの歴史を通してBIとは何かについて説明し、最新動向であるセルフサービスBIについて説明した。続けて、その他の大きな最新動向トピックスの説明を始めようとしていた。

クラウド化、モバイル対応およびビッグデータ活用とは

「最新動向としてはあと、クラウド化、モバイル対応、そしてビッグデータ活用となります」といずみ。

まずクラウド化。
アプリケーション、アプリケーションプラットフォームさらにストレージなどIT環境が続々とクラウド化されている中、BIツールもクラウドで提供されるようになってきている。
これはちょうど、クライアントサーバーシステムだったBIがWeb化されていったのと同じ流れだと言える。
BIツールがSaaSとして提供される(「クラウドBI」という)ようになったことで、ユーザー企業はアプリケーション資産を所有せず、使っただけ料金を支払うというクラウドのメリットを享受することができるようになった。

次にモバイル化。
スマートフォンやタブレットの画面解像度が高精度になり、スマートフォンの普及に合わせて通信環境も整ってきたことを背景に、BIツールのベンダーがモバイル用アプリケーションを用意するようになり、外出先や出張先でもBIツールが利用できるようになった。
モバイルBIツールを利用することで、社外での打ち合わせのために分厚い資料を持ち運ばなくて済むようになる。必要に応じてその場でレポートがすばやく作れるからである。

最後にビッグデータ活用。
BIツールはもともと、リレーショナルDBなどに保管されている構造化されたデータ、すなわち「構造化データ」を分析するものであった。ところがいわゆるビッグデータには、音声やテキストなどの「非構造化データ」や、構造化データと非構造化データの中間である「半構造化データ」(XMLやJSONなど)が存在する。
非構造化データや半構造化データは、従来のリレーショナルDBでは扱えず、したがってBIツールでも処理できなかったのだが、数年前からこれらも扱える製品が登場してきた。またリレーショナルDB製品も、半構造化データや非構造化データを扱えるように進化してきている。
こうしてBIツールでビッグデータが扱えるようになり、主にエンドユーザーがビッグデータからビジネスインサイト(知見あるいは洞察)を得るために利用されるようになった。
さらに高度な分析を可能にするために、2018年にはAIと連携する製品も登場するという。

低価格なクラウド・ストレージの活用がカギ

いずみが続ける。
「クラウド化、モバイル対応、ビッグデータ活用と別々に話をしてきましたが、これらは三位一体といっていいほど密接に関係しながら進展しています」
神谷は興味を持ったのか、少し身を乗り出した。
「これらを結びつけるベースはクラウドです」といずみは言う。

モバイル化のセオリーの1つに、クラウド活用がある。
オンプレミスのサーバーに外部から直接アクセスさせるようにすると、そのアクセスポイントから社内システムに侵入される怖れが出てくる。そこで個人情報や機密情報などを取り除いた上でクラウド上にデータを複製し、それにアクセスさせるようにするのである(この場合、原則としてモバイルデバイス上にデータを残さないようにする)。

一方、ビッグデータ活用においても、クラウドの活用は1つのセオリーとなっている。
ビッグデータ活用とは、膨大なデータの中からわずかなビジネスインサイトを見つけ出す作業である。データは大量にあるほうが望ましいので、次々と蓄積していくことになるが、蓄積しているデータがいつ使われるかよく分からないし、使われずに破棄される場合もある。
このようなデータを高価なオンプレミスのストレージに保管しておくのはコスト面で不利だし、どんどん増えていくのに対して追加のストレージを用意するのも大変である。
そこでクラウドの低価格なストレージに蓄積し、業務活用等でオンプレミスに移動すべきデータがあれば移動するのが一般的だ。

「どちらもデータをクラウドにコピーあるいは保管するということだけど、データがクラウドにあるのならツールもクラウド上のものを使いたいというニーズが当然出てくるということですね。それが三位一体で進展しているということの意味か」と神谷は納得したようである。

まとめ

  • IT環境が続々とクラウド化されている中、BIツールもクラウドで提供されるようになってきており、ユーザー企業はアプリケーション資産を所有せず、使っただけ料金を支払うというメリットを享受することができるようになってきた
  • 外出先や出張先でもBIツールが利用できるようになり、社外での会議や打ち合わせのために分厚い資料を持ち運ばなくて済むようになってきた
  • BIツールやリレーショナルDBで非構造化データや半構造化データが扱えるようになり、BIツールによるビッグデータ活用が進んでいる
  • モバイル対応やビッグデータ活用では、クラウドにデータを置くことが多くなるので、BIツールのクラウド化のニーズも発生する

いずみの目

代表的なBIツールが何らかの形でビッグデータを扱えるようになりました。安価なツールでもビッグデータを活用できるようになり、そういったツールをうまく利用することが賢い使い方だといえます。しかし、本格的にビッグデータを活用することを考えるのであれば、高速なアプライアンス環境の導入も1つの選択肢ではないでしょうか。

  • * この物語は、筆者の見解をもとに構成されています。
    日立システムズの公式見解を示すものではありません。
  • * 文章中に記載された社名および製品名は各社の商標または登録商標です。

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