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株式会社 日立システムズ

第66回 テレワークについて改めて考える(1)~テレワークの定義と導入手順

2020年9月28日掲載

コロナ禍で一段と普及が進んだテレワーク。とはいえ急に導入した企業が多く、さまざまな混乱が起こっているようです。厚生労働省が示している「新しい生活様式」の「働き方の新しいスタイル」に「テレワーク」が含まれていること、「働き方改革」も現在進行中であることなどから、テレワークの普及は今後も進むものと考えられます。そこで今回より3回にわたって、テレワークの定義、導入手順、システム面の課題と解決策、人事・労務管理に必要な見直しについて考えていきたいと思います。今回はテレワークとは何か、導入するにはどういう手順で進めるべきかを、お話しします。

第66回 テレワークについて改めて考える(1)~テレワークの定義と導入手順

テレワークについて、おさらいをしたい

YMC電子工業(以下YMC)は、埼玉県にある従業員約280人のEMS(Electronics Manufacturing Service)企業だ。同社の顧問ITコンサルタントである美咲いずみは、毎週月曜日のシステム部の部内会議に同席し、そのあと山田昭CIOとのコンサルティング・セッションの時間を持っている。

山田CIOの今回の依頼は、「コロナ禍に伴い、当社では急遽テレワークを導入したのだが、一旦しっかり見直したい。ついては重要なポイントをおさらいしたい」とのことだった。

そもそもテレワークとは?

「そもそも『テレワーク』とは、どのようなものと捉えておられるのでしょう?」といずみが問いかける。

「うーん。『テレ』とは、テレビジョンとかテレグラムの『テレ』だから『遠隔』という意味だよね。つまりオフィス以外の場所で働くということじゃないかな?」

「オフィス以外の場所で働くというのは、もちろん正しいのですが、ちょっと抽象的ですよね? テレワークの推進や普及に取り組んでいる『日本テレワーク協会』の定義によれば、在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィス勤務の3つを合わせたものをテレワークと呼んでいます」

在宅勤務は自宅から会社のシステムにアクセスすること。モバイルワークとは、客先や移動中に会社のシステムにアクセスすることを言う。営業パーソンでこのような働き方をしている人も多いだろう。サテライトオフィスは会社以外の共同オフィスやレンタルオフィスのことで、従業員が通いやすい場所(郊外など)に設置されることが多い。

「では『リモートワーク』とは何なの?」と山田CIOが疑問を口にする。

「意味としては、それこそ『オフィス以外で働く』という抽象的なものです。テレワークと同じと思って差し支えないでしょう。ただ日本では政府が『テレワーク』という名称を使うので、こちらを使う方が少なくとも公共団体相手には話が通じやすいかと思います」

テレワーク導入の進め方は?

「ありがとう。テレワークとは何か、ちょっとモヤモヤしてたのが、スッキリしたよ。

さて本題なんだが、当社では社長の号令で急遽テレワーク環境を用意したのだが、ユーザーから不満が出たり、システム部員からセキュリティに不安があるなどの意見が上がってきたりで、ちょっと落ち着いている今こそ、しっかり見直したいと思うんだ。そこで、あるべき導入手順を改めて教えてもらえないだろうか」

「承知しました」といずみは言い、次のように説明した。

  1. 導入の企画
    導入の目的を明確にし、導入範囲・対象を決定する。
  2. 導入推進体制の確立
    推進のトップは経営者(CIOなど)を据える。参画部門としてはIT部門、人事・総務部門の人員はもちろん、導入部門のトップがリーダーを務めることが成功のカギとなる。
  3. 現行業務の分析
    業務時間、使用システム、扱っている機密情報や個人情報、業務上のコミュニケーションの方法などの現状を把握する。また、テレワークを実施するにあたりデジタル化が必要な文書を洗い出す。
  4. 導入業務の切り分け
    現状業務を、(1)ICT機器の導入だけでテレワーク可能、(2)ICT機器以外のツール導入が必要、(3)テレワークで対応不能の3つに切り分ける。
  5. 対象者の選定と勤務形態の検討
    初期対象者を選定する(不公平感の無い配慮が必要)。テレワークの頻度などを決める。もし労務管理制度の見直しが必要なら、実施する。
  6. 機器とツールの選定
    必要な機器とツールを選定する。対象者に用意してもらうものがあれば具体化し、利用ルールを策定するとともに、セキュリティには十分留意する。
  7. テスト導入
    対象者を絞ってテスト導入し、顧客対応、業務効率、コスト、従業員の生活の質や満足度、コミュニケーションの頻度や質などに問題が無いかを評価する。
  8. 本番運用
    テスト導入で出てきた課題の解決策を施した上で、初期対象者で本番運用を開始する。成功事例を作りながら、徐々にテレワーク可能な部門を広げ全体に展開していく。

「なるほど。それなりに体制は作ったのだけど、いきなり機器とツールの選定を始めて、テスト導入を飛ばして、本番運用に入ったのが混乱の原因だったのか」

「以上は、新システムの導入においては標準的な手順ですから、普段ならこの通りにされていたと思います。急だったので、省いてしまったのでしょう。実際、御社と同じような進め方をして混乱を来たしている企業も多いようです。ここで見直す決断をされたのは素晴らしいことだと思いますよ」

いずみの言葉に、山田はただ頭を掻いたのだった。

まとめ

  • テレワークとは、日本テレワーク協会によれば、以下の3つを総称したもの。
    (1)在宅勤務
    (2)モバイルワーク
    (3)サテライトオフィス勤務
  • リモートワークは、テレワークと同義と考えて差し支えないが、オフィス外で働くという抽象的な概念である。
  • テレワークを導入する際には、以下の8ステップで進めるのが望ましい。
    (1)導入の企画
    (2)導入推進体制の確立
    (3)現行業務の分析
    (4)導入業務の切り分け
    (5)対象者の選定と勤務形態の検討
    (6)機器とツールの選定
    (7)テスト導入
    (8)本番運用

いずみの目

テレワーク導入を進めるにあたっては、多様なワークスタイルに適用していくことが大事でしょう。例えば以下のようなサービスは、参考になるかもしれません。

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  • * この物語は、筆者の見解をもとに構成されています。
    日立システムズの公式見解を示すものではありません。
  • * 文章中に記載された社名および製品名は各社の商標または登録商標です。

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