2020年9月28日掲載
コロナ禍で一段と普及が進んだテレワーク。とはいえ急に導入した企業が多く、さまざまな混乱が起こっているようです。厚生労働省が示している「新しい生活様式」の「働き方の新しいスタイル」に「テレワーク」が含まれていること、「働き方改革」も現在進行中であることなどから、テレワークの普及は今後も進むものと考えられます。そこで今回より3回にわたって、テレワークの定義、導入手順、システム面の課題と解決策、人事・労務管理に必要な見直しについて考えていきたいと思います。今回はテレワークとは何か、導入するにはどういう手順で進めるべきかを、お話しします。
YMC電子工業(以下YMC)は、埼玉県にある従業員約280人のEMS(Electronics Manufacturing Service)企業だ。同社の顧問ITコンサルタントである美咲いずみは、毎週月曜日のシステム部の部内会議に同席し、そのあと山田昭CIOとのコンサルティング・セッションの時間を持っている。
山田CIOの今回の依頼は、「コロナ禍に伴い、当社では急遽テレワークを導入したのだが、一旦しっかり見直したい。ついては重要なポイントをおさらいしたい」とのことだった。
「そもそも『テレワーク』とは、どのようなものと捉えておられるのでしょう?」といずみが問いかける。
「うーん。『テレ』とは、テレビジョンとかテレグラムの『テレ』だから『遠隔』という意味だよね。つまりオフィス以外の場所で働くということじゃないかな?」
「オフィス以外の場所で働くというのは、もちろん正しいのですが、ちょっと抽象的ですよね? テレワークの推進や普及に取り組んでいる『日本テレワーク協会』の定義によれば、在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィス勤務の3つを合わせたものをテレワークと呼んでいます」
在宅勤務は自宅から会社のシステムにアクセスすること。モバイルワークとは、客先や移動中に会社のシステムにアクセスすることを言う。営業パーソンでこのような働き方をしている人も多いだろう。サテライトオフィスは会社以外の共同オフィスやレンタルオフィスのことで、従業員が通いやすい場所(郊外など)に設置されることが多い。
「では『リモートワーク』とは何なの?」と山田CIOが疑問を口にする。
「意味としては、それこそ『オフィス以外で働く』という抽象的なものです。テレワークと同じと思って差し支えないでしょう。ただ日本では政府が『テレワーク』という名称を使うので、こちらを使う方が少なくとも公共団体相手には話が通じやすいかと思います」
「ありがとう。テレワークとは何か、ちょっとモヤモヤしてたのが、スッキリしたよ。
さて本題なんだが、当社では社長の号令で急遽テレワーク環境を用意したのだが、ユーザーから不満が出たり、システム部員からセキュリティに不安があるなどの意見が上がってきたりで、ちょっと落ち着いている今こそ、しっかり見直したいと思うんだ。そこで、あるべき導入手順を改めて教えてもらえないだろうか」
「承知しました」といずみは言い、次のように説明した。
「なるほど。それなりに体制は作ったのだけど、いきなり機器とツールの選定を始めて、テスト導入を飛ばして、本番運用に入ったのが混乱の原因だったのか」
「以上は、新システムの導入においては標準的な手順ですから、普段ならこの通りにされていたと思います。急だったので、省いてしまったのでしょう。実際、御社と同じような進め方をして混乱を来たしている企業も多いようです。ここで見直す決断をされたのは素晴らしいことだと思いますよ」
いずみの言葉に、山田はただ頭を掻いたのだった。
まとめ
いずみの目
テレワーク導入を進めるにあたっては、多様なワークスタイルに適用していくことが大事でしょう。例えば以下のようなサービスは、参考になるかもしれません。
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