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株式会社 日立システムズ

ネイティブが使うビジネス英語

第17回 肯定的なフィードバックと建設的な批判

フィードバックは諸刃の剣

こんにちは!にっぽん大好きなジャックです!

仕事でもプライベートでも、アドバイスや意見など、フィードバックを求められることがありますが、そのさじ加減は難しいですよね。たとえば、あなたに部下がいたとして、フィードバックの仕方一つでモチベーションを与えることもできますし、奪ってしまう結果にもなります。ポジティブな意図であっても、適切なフィードバックができないと人間関係に軋轢が生じ、意図とは逆の結果が出てしまい、「何も言わない方がいいのでは?」と思ってしまうこともあります。
今回は、フィードバックの仕方や、効果的にフィードバックするために英語でよく使われるフレーズをご紹介します。

厳しさだけでは儲からない

私は若い頃、英語を教えることを主な生業としていましたが、仕事の大部分は生徒にフィードバックを与えることでした。実際、レッスンの最後の数分間は、生徒へのフィードバックと学習アドバイスに充てていました。試行錯誤の結果、「フィードバック」は繊細な技術であり、時間をかけて改善しないと、顧客を失うことにつながることをすぐに理解しました。次の対話は、私が英語を教えるようになって間もない頃、まだ効果的なフィードバックの仕方が分かっていなかったときの出来事です。

ジャック:“You made a lot of simple mistakes today, such as mixing up ‘a’and ‘the’. You should be more careful.”
(今日、あなたは「a」と「the」が混在するなど、簡単なミスが多かったですね。もっと気をつけたほうがいいですよ)

生徒  :“Yes, I still confuse ‘a’ and ‘the’ a lot.”
(はい、今でも "a "と "the "をよく間違えてしまいます)

ジャック:“Please review your notes for today and try not to make the same mistakes again.”
(今日のノートを見直して、もう同じ間違いをしないようにしてください)

生徒  :“…OK.”
(...分かりました)

一見、私のフィードバックは問題ないように見えるかもしれませんが、この生徒はその後すぐに、私のレッスンを受けるのを止めてしまいました。その理由ははっきりとは分かりませんが、私のフィードバックがあまりにストレートで、なおかつ曖昧だったために、生徒のモチベーションを下げてしまったのではないかと推測しています。

できていないことを指摘するだけがフィードバックではない

フィードバックを求める理由は、さまざまです。アドバイスが欲しい、世間一般の意見を聞きたい、あるいは単に異なる視点を理解したい、などです。理由はどれであれ、フィードバックを求める人は、自分自身を客観的に見ることに前向きに取り組んでいます。とはいえ、フィードバックを受ける当人は微妙な立場に立たされ、すべての指摘を素直に受け入れられるわけではありません。そのため、フィードバックを与える立場にある人は、相手にとって受け入れ難いことを適切に伝えるという課題を抱えています。
では、適切な伝え方とは、具体的にはどのようなものか。フィードバックするうえで大切な考え方は、Positive Feedback(肯定的フィードバック)とConstructive Criticism(建設的批判)の二つです。この二つの考え方を英語で効果的に使うには、どうすればいいのでしょうか。
英語で人気のある効果的な方法の一つに、褒め言葉のサンドイッチ(Compliment Sandwich)と呼ばれるものがあります。基本的な考え方としては、人は褒められることで批判も受け入れやすくなるというものです。
まずは、肯定的なフィードバックで、相手の仕事ぶりや意見などを褒め、次に自分の実際のフィードバック(建設的批判)で、相手が何を変えれば改善できると思うか(分かりやすい例を挙げて)、最後にまたポジティブな点を挙げてフィードバックを終えます。

まず、相手がうまくできた点を挙げる

例) “You did a great job with the layout of this power-point presentation.”
(このパワーポイントのレイアウト、いい仕事をしましたね)

改善・修正が必要な点を分かりやすく指摘する

例) “I think we can work a little more on slides 5 and 6. It’s a little confusing, so a visual graph might help. ”
(スライド5、6については、もう少し努力できると思います。少し分かりにくいので、視覚的なグラフがあるといいかもしれません)

「You」で直接相手に責任を押し付けるのではなく、上記のように「We」を使うことで、トーンを和らげることが可能です。
ポジティブな点を再度強調し、フィードバックを締める

例)“But, you did well with time management, so we have plenty of time to make revisions. ”
(とはいえ、時間管理がしっかりできているので、修正する時間が十分にあります)

最後に、"I'm looking forward to your revision "や "I think you're going to do a great job "などの励ましの言葉を加えることも有効でしょう。

着眼点を変えて長所を探そう

前節で説明したCompliment Sandwichについてよく寄せられる質問の一つに、相手の仕事に対してポジティブな言葉が思い浮かばないときはどうしたらいいか、というものがあります。そんなときは、仕事の成果から視点をずらし、その人が示すポジティブな行動に焦点を当ててみましょう。どういうことか、いくつか例を挙げて説明します。

まずは褒める

例1) [仕事に対して]
I liked your clear explanation on page 2. Very nice!”
(2ページ目の分かりやすい説明が良かったです。とても良いですね!)

例2)[行動に対して]
Thank you for sending me the draft on time. I appreciate your punctuality.”
(時間通りに原稿を送っていただき、ありがとうございます。あなたの時間厳守に感謝します)

批評(アドバイス付き)

There are a few points I think we can improve with the layout. It’s a little hard to read, so maybe you can cut some content or add an extra slide.”
(レイアウトについて改善できそうな点がいくつかありますね。少し読みにくいので、内容を削るか、スライドを1枚増やすといいかもしれません)

最後にまた褒める

例1) [仕事に対して]
“Otherwise, this first draft looks good. Let’s work on it some more.
(そのほか、この初稿は良さそうだ。もうちょっと頑張ってみよう)

例2)[行動に対して]
I can see you spent a lot of time on this, thanks for the hard work. Let’s add the points I mentioned and brush it up some more.”
(時間をかけて作ったのがよく分かる、ご苦労さまです。私が言ったポイントを追加して、さらにブラッシュアップしていきましょう)

褒め方を練習しよう!

新しい技術やスキルを身につけるためには、練習して自然な感覚を身につけることが大切です。身近な同僚や友人、家族など、比較的リラックスした雰囲気のなかで「褒め言葉サンドイッチ」を実践すると良いでしょう。批判ばかりに意識が行ってしまうと、誰かが行った良い結果や行動を見つけるのは難しくなります。フィードバックに「褒め言葉サンドイッチ」を取り入れることで、ポジティブな影響を生み出すことができ、周囲の人々もあなたに対して心地よさを感じるようになり、全体的な生産性や職場の雰囲気を改善することができるでしょう。

今月の決め台詞はこれだ!

“Can I give you some advice/feedback?”
(アドバイス/フィードバックを差し上げてもよろしいでしょうか?)

ときには、問題が明らかであるにもかかわらず、人は直接的なフィードバックを受け入れないことがあります。このような状況では、「アドバイスを差し上げてもよろしいでしょうか?」と聞くことで、相手にフィードバックを受け入れる姿勢があるかどうかを確認することができます。もし、相手がフィードバックに敏感だったり抵抗がある場合は、「褒め言葉サンドイッチ」の最中にこのフレーズを加えると効果的です。

[褒め言葉]
I like what you did with the spreadsheet, it has a lot more information.”
(あなたの集計表、情報がより充実していていいですね)

[批評]
Can I give you some advice? It might be easier to look at if you split the content into multiple tabs, so you won't need to scroll down so much.”
(ひとつアドバイスを差し上げてもよろしいでしょうか? コンテンツを複数のタブに分けた方が見やすいかもしれません。そうすれば、そんなにスクロールする必要もないでしょう)

[褒め言葉]
“But I can tell you worked really hard adding all the new info. It’s going to save us a lot of time.”
(でも、新しい情報を追加するために、本当によく頑張ったと思います。そのおかげで、私たちは多くの時間を節約することができると思います)

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※ コラムは筆者の個人的見解であり、日立システムズの公式見解を示すものではありません。

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