こんにちは!にっぽん大好きなジャックです!
皆さまのなかには、英単語の暗記に多くの時間を費やしてきたという方が多いのではないでしょうか。自信を持って使える単語の数は、費やした時間に見合ったものでしょうか。 受験生だった頃、頭に詰め込んだ単語のほとんどは記憶の遥か彼方、青春の一ページの片隅に残っているくらいかもしれません。
それでは、これまでの学習方法で暗記したことは、今となっては時間の無駄だったのでしょうか? 一概にそうともいえず、少しばかりやり方を変えることで、新しい単語を覚えて、必要に応じて記憶から引き出す能力を大幅に向上させることができます。今回は、言語科学に基づく学習方法を、ご紹介します。
数年前、留学先のフランス・パリでのことです。ある学生との出会いが印象深く記憶に残っています。アメリカ訛りの流暢な英語で話す彼に親近感を覚えた私は、話しかけてみました。
ジャック: ところで、君はアメリカのどこに住んでいたの?
学生 : ああ、実はアメリカには行ったことがないんです。
ジャック: まてまて、それって本当?
彼は、なぜアメリカで生活したことがないのに、英語を習得することができたのでしょうか?それには、人はどのようにして言語を習得していくのか、その仕組みを知る必要があります。
「英語を学習する良い方法を教えてください!」
これは、長年、英語を教えていると、必ずといっていいほど生徒に聞かれる定番の質問です。さて、困りました。「英語を教えてください」ではなく、その「学習方法を教えてください」というのですから。
日本の英語の学習方法を間近で見ていると、私も話に聞いたことがある「受験勉強」が強く影響しているように思います。日々、筋トレのごとく単語帳と向き合う受験生たちと何が違うのか気になって、パリで出会った学生に聞いてみると、
学生 : 英語の勉強はしたことがなくて、アメリカのドラマばかり観ていたんです。
読者の誤解がないように補足すると、勉強よりもエンターテインメントを消費している方が、英語が身に付くということではなく、インプットの方法にからくりがあるのです。
実は、私が長年にわたり生徒たちに提案してきた方法が、映画・ドラマ・書籍など、とにかく英語の媒体に触れるというものでした。情報の量を以て質を成すという話ではありません。知っている文脈を増やすことに重要な意味があるのです。
言語の習得において、もちろん単語のインプットは大事ですが、状況を描写する文脈のインプットこそが重要なのです。何時間も英会話を垂れ流しで聴いても、会話の前後関係や脈絡が分からなければ定着しないのです。
言語学者であるスティーブン・クラッシェンは、「言語は、相手が何を言っているか理解できたときに習得される」*1と唱え、言語習得においてメッセージを理解することの重要性を説きました。
知っている文脈が多いと、初めて聞く単語でも、はっきりとした意味を知らなくても、文脈の中から意味を推測できるようになります。つまり、既知情報から文全体おおよその内容を理解できるということです。
何か特別な「考え方」のように思われるかもしれませんが、法則性を見出して不足情報を補完するという認知機能は、本来私たちが持ち合わせているものなのです。そう考えると、情報を機械的に詰め込むような言語学習は、私たちが本来持っている「言語習得能力」に適していない方法だといえるのではないでしょうか。
受験勉強のための学習方法から、本来の言語習得能力を生かした練習方法に改めることで、より効果的に言語を習得することができます。その文脈に沿って吸収するための手近な方法が、まさに映画、ドラマ、書籍なのです。
*1 Krashen, Stephen D. Second Language Acquisition and Second Language Learning. Prentice-Hall International, 1988.
最終的に、言語学習能力とは「文脈や状況を理解できるかどうか?」という点に依るところが大きいといえます。それに対して、日本では文法や単語の暗記を重視する学習方法が、逆に足枷となって、英語力に伸び悩む多くの生徒を生み出してきたと、私は考えています。
さまざまなメディアが発達した今日、英語に触れる機会を持つことは難しいことではありません。最初は分からない単語があっても諦めず、繰り返し同じ単語やフレーズの意味を文脈から想像しながら理解していけば、効果的に習得できるでしょう。
“Practice makes perfect(練習が完成をもたらす!継続は力なり!)”
今回は、言語学習の方法をご紹介しました。こちらの方法でしたら、自然な英語がより効率的に身に付くでしょう。だからといって、時間と労力をかけなくても良いということではありません。上達の道のりは、険しく遠いものです。また、覚えたばかりのフレーズを誤って使ってしまい、ネイティブスピーカーたちの失笑を買うこともあるでしょう。でも、道のりがどんなに遠くても、失敗して恥をかいても、決して諦めないで何度も繰り返し挑戦すれば、必ず上手く話せるようになります! 皆さまが英語習得に四苦八苦しながら取り組んでいるのと同様に、私自身も日本語を上手く話せるよう、頑張っています。
今月の決め台詞は、何事も練習が肝心だという意味だけでなく、新しいことに挑戦し続ける大切さの意を込めて、ご紹介します。
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