こんにちは!にっぽん大好きなジャックです!
日本での生活はもう10年近くになりますが、日本人と長く過ごすうちに、彼らが英語に対して「英語はこうあるべきだ」と、漠然としたイメージを持っていることに気がつきました。なかでも、英会話ではストレートに意見を伝えなければならないというイメージが、特に強いようです。
確かに、英語圏では明確に意見を述べることが良しとされる傾向がありますが、直球(ストレート)すぎる言い方が失礼と受け取られる場合もあります。ネイティブスピーカー(以下、ネイティブ)は状況に応じて、直球(ストレート)だけでなくカーブなど変化球を織り交ぜることもあります。
今回は、伝え方次第で受け取り方が大きく変わるという話をしたいと思います。
同僚への仕事の依頼、部下への指示。会社に勤めていれば必ず直面する状況ですが、依頼した仕事に気持ちよく取り組んでもらうために苦心されている人も多いことでしょう。特に職場では、伝え方、言葉の選択次第で受け手が言外に感じ取る印象が大きく異なりますから、相手に対する十分な配慮が必要です。
私が以前に勤めていた日本企業に、英語が得意な管理職Aさんがいました。私以外にも外国人従業員が多く在籍していたので、Aさんは彼らと英語で会話し、指示を出していました。
ある日、Aさんが外国人従業員のBob(ボブ)と英語で会話しているのが聞こえてきました。
Aさん: I need to talk to you.
(話があるんだけど)
ボブ : What is it?
(なんでしょうか?)
Aさん: You are still working on that report right? You had better finish it by the end of this week.
(例のレポートさあ、まだ作業中だろ?今週末までに仕上げた方が良いぜ)
ボブ : ...ok
(了解です…)
その会話を聞いたあと、私はAさんのデスクに行って恐る恐る聞いてみました。
ジャック: Are you mad at Bob-san?
(ボブさんのこと、怒ってるんですか?)
Aさん : No, why?
(いいや、なんで?)
ジャック: The phrase “you had better” is very direct. It sounds like you are scolding him. I’m sure Bob-san thinks you are angry at him.
(“you had better” という言い回しは攻撃的ですよ。さっきは、彼を叱っているかように聞こえました。きっと彼は、Aさんが怒ってると思ってますよ)
Aさん : ...I had no idea, I was just trying to be clear.
(それは分からなかったな…..俺はただ、明確に伝えたかっただけなんだよ)
組織的活動が求められる企業の職場では、効率的なチームワークが不可欠ですから、同僚や部下への仕事の依頼は避けて通ることができません。伝え方ひとつで業務上の依頼・指示が攻撃的な印象を与えてしまうかもしれないので、どう受け取られるかに注意する必要があります。
例えば、先ほどAさんが使った言い回しを見てみましょう。
“You had better (finish) by today”
この表現は、アメリカ人の私からすると、脅迫されている印象を受けてしまいます。言外の意味を補足して和訳すると「今日までに終わらせた方がお前の身のためだ、さもなくば...」と言った具合になります。
Aさんの事例では以下のように言うと、ネイティブにとっては配慮を感じますし、受け入れ易いと思います。
“I’d appreciate it if you could finish the report by today.”
(もし、本日中にレポートを仕上げることが可能であれば、助かるよ[感謝します]。)
いかがでしょうか?言い回しを少し変えるだけで、かなり印象が変わりましたね。
「if you could~」で「もし~が可能であれば」という意図を伝えつつ、「I’d appreciate it 」と感謝の意も込めることで、伝わり方がより柔らかくなります。
職場では明確な回答が必要な場合もあるので、以下も参考にしてみてください。
例)
丁寧な言い方が重要である一方で、同僚や部下に業務を遂行してもらうため、ときには単刀直入に指示を出さざるを得ないこともあるでしょう。このような状況に直面した場合でも、避けたほうが良い言い方があります。
打ち合わせの場で誰かが提案をしたが、あなたは賛同しかねる、という場面を想定してみましょう。
こんな一刀両断な言い回しは、相手の提案を全否定して角が立ちますから避けるべきです。
このように少し工夫すると、遠回しにあなたが提案に満足していないことを匂わせつつ、代替案を受け入れる姿勢が伺えますから、より円滑な打ち合わせを行うことができるでしょう。
本稿の例で説明したように、要望・要求の伝え方はさまざまですが、ちょっとした言い回しの違いで聞き手が受け取る印象はかなり違ってきます。えん曲的で柔らかい表現は、より自然な英語であるだけでなく、業務あるいは社会生活を営むなかで発生する個人間の軋轢を回避することができます。それらの英語表現は、言外に豊かな感情や思いやりを含んだ「見えない言葉」として、確実に相手の心に響くのです。読者の皆さまも、本稿で取り上げた言い回しを取り入れて、英語での要望の伝え方を工夫してみてはいかがでしょうか。
How are things going with~?(今、~はどんな感じかな?)
職場で部下や同僚に仕事の進捗を訊く場合に、ストレート過ぎる言い方をすると、相手には威圧的に聞こえます。
このような場合に「決め台詞」を使うと、柔らかいけど明確に質問の意図が相手に伝わります
最初の言い回しでは、相手を見下しているように聞こえます。後者に変えると、一人称と二人称を除外し、対象を「task(作業)」に絞ることで、自分と相手が同じ立ち位置にいる印象が生まれます。同じ質問なのに、聞き手には後者の言い回しのほうが圧迫感を感じることがなく、素直に答えることができるでしょう。
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※ コラムは筆者の個人的見解であり、日立システムズの公式見解を示すものではありません。
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