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株式会社 日立システムズ

ネイティブが使うビジネス英語

第16回 たわいもないスモールトーク

消えゆく雑音

こんにちは!にっぽん大好きなジャックです!

コロナ禍を一つの契機として、働く人々を取り巻く状況は一変しました。特に大きく変わったのは、多くの企業が採用した「テレワーク」です。私たちの職場に留まらず、行政や学校といった公共の場、家庭というプライベートの場に至るまで、デジタル・ネット空間への移行が一気に加速したのではないでしょうか。そして、テレワークの浸透に伴って、業務の効率化や簡略化が進み、通勤時間はパソコンの起動時間に置き換わり、業務上の承認手続きなども大幅に簡略化されました。
劇的に進行したデジタル化によって、さまざまな「無駄」が削ぎ落とされた反面、決して無駄ではなかったと思えるものもあります。それは、スモールトーク、つまり「雑談」です。雑談は、一見すると仕事の生産性を阻害する要因のように思いますが、実は日々のコミュニケーションを円滑にするための「潤滑油」という重要な役割を担っていたのではないでしょうか。 たしかに、テレワークが推し進められたことによって、またはそれがきっかけで、私たちに課せられていた、さまざまな制約が軽減され、生産性が向上したと思います。しかしながら、同時にさまざまな雑音が遮断されることで、人間関係の緊張を和らげる機能を果たしていたスモールトーク(雑談)によるコミュニケーションさえも遮断されてしまった可能性があるといえるでしょう。 今回は、よくあるスモールトークのシチュエーションや話題などについて解説します。

異邦人の世間話

アメリカでは、スモールトークは日常生活に欠かせないもので、うまく対応できないとせっかくのビジネスチャンスを逃したり、気まずい状況になったりすることがあります。数年前、私がアメリカへの短期出張を終えて日本に帰国したときのことです。東京に到着した私は、時差ボケで眠たい目を覚ますために空港でコーヒーを買おうと売店へ向かうと、おそらく初めて日本に来たアメリカ人と思しき旅行者が、英語が堪能な店員と会話していました。一見すると問題なく意思疎通ができているようでしたが、私はある違和感を覚えたのです。

店員    : “Hi, what can I get you?”
(こんにちは、何になさいますか?)

アメリカ人: “Hi, I’ll have a large iced coffee and a donut.”
(こんにちは、アイスコーヒーのラージとドーナツをお願いします)
“Which flavor do you like the most?”
(あなたは、どの味が一番お好きですか?)
<少し世間話をしようとする>

店員    : “Umm…they are all good? ”
(うーん...どれもおいしいですよ?)

アメリカ人: “Oh, ok…so, a glazed donut I guess…? ”
(ああ、そうですか...では、グレーズド・ドーナツでしょうか...?)

店員    : “Your total is ¥550 ”
(合計550円になります)

店員の応対は、当たり障りがなく無難な接客で特に問題はないように思えますが、アメリカ人にとっては初めて降り立つ地で世間話の一つでも期待していたのに肩透かしにあってしまった、といった感じでしょう。英語が堪能であっても、スモールトークがいつ、どのように使われるかを理解していないと、思わぬコミュニケーションの壁に直面する可能性があるのです。

きっかけを作る

スモールトークでは、会話のきっかけを作った側のほうがより有効性を享受できるのです。一般的にスモールトークは、時間をつぶしたり、気まずい沈黙をやり過ごすためにするものだと思われがちですが、会話の本題の前にちょっとした世間話を挟むことで、より込み入った内容に入りやすかったりしますよね。そうしたことから、スモールトークは情報収集の手段として非常に有効です。特にビジネスにおいては、顧客やビジネスパートナーとの関係性が浅いうちは、当たり障りのない話題で徐々に距離を縮めていくといった過程も必要になるでしょう。そんなときは、以下のフレーズを使ってスモールトークを始めてみましょう。

"What do you think of~?"
(~について、どう思いますか?)

例) "What do you think of that new product that just came out recently?"
(最近発表された例の商品、どう思います?)

シンプルに、話したい話題について意見を問うだけでいいのです。ただ、ここの注意点は雑談を続けることが目的なので、すぐに会話が終わってしまっては意味がありません。Yes/Noで会話が終わってしまうクローズドな問いかけではなく、相手に自由な回答を求めるオープンな問いかけを試みつつ、話題を広げることを心がけましょう。また、相手との関係性が浅いうちは、プライベートに踏み込んだ話題を避けることにも注意しましょう。

引き際の言葉

前節では、スモールトークを始めるためのフレーズを紹介しましたが、会話を終わらせる場合はどうでしょうか。ビジネスイベントなどでは、ビジネスチャンスを広げる目的がありますから、より多くの人と会話したいところですが、去り際というタイミングも気を使うものです。そんなときは、次のような言い回しで、礼儀正しく敬語を使い、ポジティブかつスマートに会話に区切りをつけ、時間を割いてくれたことに丁寧に感謝するようにしましょう。

“Well, it was nice meeting you. See you next time.”
(さて、(この度は)お会いできてよかったです。ではまた今度)

上記は、社交辞令的なトーンの言い回しですが、もし会話が弾み、次の機会の見込みがありそうであれば、次のような言い回しが有効でしょう。

“This was an interesting conversation, and I would like to hear more from you, but I will have to let you go. Is it possible to arrange a meeting some other day?”
(興味深い会話で、もっとお聞きしたいところですが、これ以上あなたを引き止めるわけにもいきません。また別の日にお会いすることは可能でしょうか?)

会話内容に興味を示しつつ、相手の貴重な時間を割いていただいたことに感謝の気持ちを込める形で会話に区切りをつけます。互いに時間が限られているのは同じですが、自分ではなく相手の立場を立てる形で引き際を演出したほうが、より好印象を残します。最後に続けて、さりげなく次に会う機会を確認することができれば十分な成果が得られるでしょう。

思い切ってトライしよう!

「スモールトーク」は練習すれば誰でも身につけることができるスキルですが、もし習得に苦労しているなら、それはあなただけではありません。欧米人でさえ、スモールトークが難しいと感じることがあるのです。習得に向けた心得を日本流に言うなら「習うより慣れろ」で、経験を積むことが重要です。職場のイベントや社交の場などはスモールトークのスキルを磨く絶好の機会なので、躊躇せず積極的に外国人に話しかけてみてはいかがでしょうか?

今月の決め台詞はこれだ!

“How about ~?”
(~はどうだった?)

"How about ~?"の意味は、"What's your opinion on~ ?(~に対するあなたの意見は?)"のカジュアルな形式です。たとえば、昨日の野球の試合について話したい場合は次のように使います。

“How about last night’s baseball game?”
(昨日の野球の試合はどうだった?)

このフレーズを使えば、自然な流れで世間話を切り出すことができますし、人間関係を築くのに役立つこと間違いなしです。

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※ コラムは筆者の個人的見解であり、日立システムズの公式見解を示すものではありません。

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