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株式会社 日立システムズ

ネイティブが使うビジネス英語

第5回 トラブルシューティングに使える英語表現

トラブルは忘れた頃にやってくる

こんにちは!にっぽん大好きなジャックです!

海外事業にはさまざまなリスクがあり、事業所の火災、地震、洪水といった物理的な脅威だけでなく、読者の皆さまが日々取り組んでいる業務上のトラブルも、事業運営上の脅威になり得ます。トラブルというものは、ある日突然、無防備な状態のときに襲い掛かってくるものです。そのときに備えるためにも、たとえ些細なトラブルであっても、早いうちに芽を摘んでおかなければなりません。
今回は、オフィスでの仕事中に多くの人が経験するシステムトラブルを例にとり、海外事業所の現地スタッフと連携して対処しなければならなくなったときに、便利な英語表現をご紹介しようと思います。

あいまい表現の落とし穴

グローバル展開している企業では、海外事業所でトラブルが発生した場合に、直接、現地スタッフと英語でコミュニケーションを取りながら解決した経験のある人も多いと思います。

では、次のような状況を想像してみましょう。

Aさんは日本本社のシステム管理者です。仕事を終えて帰り支度をしていると、Aさんのパソコン画面に海外事業所のシステムから警告通知が表示されました。問題のレベルはマイナー(軽度)でしたが、本社の業務にも多少の影響があるかもしれず、翌朝までに対処しておいたほうが無難と判断し、海外事業所のシステム管理者である現地スタッフBさんに電話をしました。

Aさん: Hi B-san, I saw the warining. What’s going on?
(Bさん、警告を見ました。状況いかがでしょうか?)

Bさん: Our system is in good health for now, but a warning has been activated earlier. We don’t know what caused it yet.
(今のところシステムの状態は良好なのですが、先ほどなぜか警告が作動しました。原因はまだ分かっていません)

Aさん: OK, let me know as soon as possible what the cause is.
(了解。原因が分かり次第、できるだけ早く連絡してください)

Bさん: OK, I’ll talk to you later!
(了解。それでは後ほど!)

ところが、数時間が経ってもBさんからは一向に連絡が来ないので、再度電話したところ、Bさんはまだ原因調査に取り掛かっていませんでした。

Aさんの指示の、何がいけなかったのでしょうか?

優先度を上げる

まず、原因として本社側の意図がBさんに正しく伝わっていなかったことが、挙げられます。そして、なによりもAさんが「as soon as possible(できるだけ早く)」というフレーズを使ってしまったことが痛恨のミスと言えるでしょう。この表現は、ネイティブ・スピーカーにとっては、友人との会話で「飲み会には行けたら行く」程度のあいまいな表現なので、緊急性が伝わりません。
相手に優先して対応してもらいたい旨を伝えたいときには、「~ is our foremost priority.(〜は優先対応事項です)」を使うと効果的です。

Aさん:B-san, this matter is our foremost priority. Please do not leave this unaddressed, and investigate the cause immediately.
(Bさん、この件は優先対応事項です。放置せず、直ちに原因を究明してください)

Bさん:Immediately? ...OK, I understand.
(直ちに? えー...はい、分かりました)

現状の把握

トラブル対応で重要なのは、プレッシャーをかけるだけでなく、常に相手とともにある姿勢を示しながら現場の正確な情報を聞き出すための配慮と工夫をすることです。そんなときは、「What do we know so far?(我々は今のところ何が分かっていますか?)」と問いかけてみましょう。

Aさん: B-san, what do we know so far?
(Bさん、我々には今のところ何が分かっていますか?)

Bさん: The system was working fine until yesterday, so the incident may have been caused by something that has changed today.
(昨日までシステムは問題なく動いていたので、本日発生したシステム変更が原因かもしれません)

可能性の絞り込み

本社のシステム管理者としてAさんには可能性のある事象を絞り込んで、Bさんが早期に真因を特定できる手助けする必要があります。
絞り込みをする際には、「Is it possible that~ ?(〜の可能性はあるでしょうか?)」と言うフレーズを使ってみましょう。

Aさん: Is it possible that a system update occured today?
(本日、システムのアップデートをしたということはありませんか?)

Bさん: Actually, there has been a minor update. I assumed it was irrelevant to warning, but I’ll confirm just in case.
(実はマイナーなアップデートがありました。。今回の警告とは無関係と思ったのですが、念のため確認してみます)

上記以外に、「Could it be ~?(もしかすると〜?)」というフレーズも、同様の意味で使うことができます。

Aさん:Could it be caused by the system update?
(もしかすると、システムのアップデートが原因では?)

このような会話を繰り返しながら、冷静に真因を特定できるようサポートしていきましょう。

いつも仲間とともにある

海外事業所の現地スタッフと協力し合って、迅速にトラブル対応する際には、現場での優先順位を上げるために、あいまいな表現を排除して決然とした言葉を使う必要があります。しかし一方で、現地スタッフが冷静さを失うような激しい言葉使いは、現場の混乱を来たし事態を悪化させる場合がありますので、注意が必要です。トラブルに円滑に対処するためには、「ともに考え、ともに解決する」という仲間として支え合う姿勢を示す英語表現が重要と言えるでしょう。

今月の決め台詞はこれだ!

Give me your best guess.(推測できる範囲で教えてください)

業務中にトラブル発生を認識し、早急に上司に状況説明をしなければならない場面に遭遇した方は多いと思います。しかし、トラブル発生部門に情報提供を要求しても、相手の担当者は「まだ、はっきりした原因が分からないので、ミスリードになるような情報は出したくない」という懸念から、「はっきりしたことが分かったら連絡する」という返事しかしない場合が多いと思います。そんなときに使えるフレーズが、「 Give me your best guess.(推測できる範囲で教えてください)」です。

Aさん: Hi B-san, what’s the problem?
(Bさん、どのような問題が発生しているのでしょうか?)

Bさん: It’s too soon to say for sure…
(断定するには時期尚早なのですが...)

Aさん: OK, well, give me your best guess.
(推測できる範囲で教えてください)

Bさん: Hmm, it might be...
(うーん、もしかするとなのですが...)

といった具合に、「個人の推測」でも良いと情報精度を限定するコンセンサスがあれば、相手も何か教えてくれるかもしれません。もちろん、上司には担当者の推測であり、詳細が判明したら、正式に報告することを明確に伝えておくべきでしょう。

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※ コラムは筆者の個人的見解であり、日立システムズの公式見解を示すものではありません。

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