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株式会社 日立システムズ

専門家コラム:海外での実践的危機管理~海外進出企業編

クイズ

第6回

あなたは、ある企業の海外危機管理担当者です。
ある途上国で、公共料金の値上げに反対する小規模なデモが発生したという情報が入ってきました。現時点でデモは平和裏に行われており、大規模な暴動には発展していないようです。
さて、この時、あなたは何をすべきでしょうか?

a) 暴動に発展していないので、無視する

b) 駐在員と帯同家族の退避、従業員の出張禁止を指示する

c) 速やかに関係者と情報共有し、注意喚起を行う

  • 【答え】c) 速やかに関係者と情報共有し、注意喚起を行う

    【解説】
    途上国では、さまざまな理由で大規模な暴動が発生します。暴動は高い貧困率、失業率の上昇、貧富の格差、市民生活の困窮、政府の抑圧・言論統制などを背景として、インフレ、増税、公共料金の値上げ、選挙、マイノリティの弾圧を象徴するような事件などをトリガーに発生します。注意しなければならないのは、初期段階で小規模なデモであっても、突如として暴徒化し、爆発的に全土に拡大する恐れがあることです。
    たとえ小規模なデモであっても、無視するのは危険です。だからといって、拙速な退避、出張禁止は企業活動を阻害してしまいます。
    まず、小規模なデモの場合には十分な情報収集と分析を行い、事実関係やデモ発生の背景などを把握して関係者に注意喚起することが先決です。そして、最悪の事態を想定した「構え」をとりつつデモ情報を追跡し、危険レベルに応じて退避や出張禁止の指示をタイムリーに行う必要があります。
    海外危機管理体制を導入している企業では、多くの場合、あらかじめリスク水準(危なさ加減)を4段階程度に区分し、段階に応じた対処行動の目安を決めて、社内の関係者全員で共有しています。海外危機管理の仕組みを適切に運用するには、担当者が正しく状況を把握・認識し、強い責任感と使命感を持って仕事に臨むことが重要だと言えるでしょう。

第5回

あなたは会社から海外駐在を命じられ、現地で不動産業者と住居探しをしています。おしゃれな家に案内され、「この家は、ドアや窓に鉄格子が設置されていますし、警備会社の24時間監視システムが完備されていますから、防犯機能はとても高いですよ」と不動産業者の説明を受けました。あなたは、「ここに決めようかな」と思っています。
さて、契約書にサインする前に、重要なすべきことがありますが、それは何でしょうか?

a) 雨漏りしないかどうかの確認

b) 契約内容の確認

c) 物件所在地域の治安情勢の確認

  • 【答え】c) 物件所在地域の治安情勢の確認

    【解説】
    海外駐在員と帯同家族にとって、住居は安全を確保するための「最後の砦」です。そのため、まずは物件所在地域の治安情勢を慎重に確認しておくことが必要です。
    本問いでは、不動産業者が「防犯機能の高い住居」を強調しています。ここで極めて重要なのは、住居の防犯機能が高いという理由だけで安全だと判断するのではなく、「高度な防犯措置が必要なほど、治安の悪い地域かもしれない」という視点です。
    さらに、物件所在地の治安情勢だけでなく、治安の悪い地域に隣接していないか、通勤・通学の経路上に危ない地域がないかなど、想定される行動範囲全般に渡る安全性を確認することも重要です。
    住居は安易に決めるのではなく、現地の事情に詳しい人に地域の治安情勢を確認した上で、慎重に選定することを強くお勧めします。

第4回

あなたは、ある国に家族と共に駐在しています。
ある日曜日、あなたの幼い子どもが「お父さん、お庭で遊んでもいい?」と言いました。
さあ、あなたはどうするのが適切でしょうか?

a) 子どもを独りで遊ばせる

b) 両親のどちらかが、庭で子どもを見守る

c) 屋外では絶対に遊ばせない

  • 【答え】b) 両親のどちらかが、庭で子どもを見守る

    【解説】
    日本は諸外国に比べて児童誘拐の頻度が低く、小学校低学年の子どもどもが単独で歩いている光景を見かけることもあります。しかし、海外では児童誘拐が市民生活の大きな脅威になっていることを決して忘れてはいけません。
    家族を帯同して海外駐在する場合、子どもを独りにすることは非常に危険です。人気のない場所は特に危険ですが、遊園地・ショッピングモールなどの、人が大勢集まる場所においても、犯人が人波に紛れ込みやすい児童誘拐が発生しやすいと言われています。
    注意しなければならないのは、安全なはずの自宅の庭ですら、親が目を離した僅かの隙に、連れ去られてしまうことがあります。
    子どもたちに、「独りにならない」、「誘われてもついて行かない」、「ちゅうちょせず走って逃げる」、「大声で助けを呼び続ける」などの安全教育をすることは極めて重要ですが、親は子どもの自助努力は限定的であることを理解しておく必要があります。
    1日24時間、子どもと一緒にいることはストレスになることは確かですが、「児童誘拐犯は子どもが独りになる一瞬の隙を狙って待っている」ということを忘れずに、常に、親が子どもの見守りを怠らないようにすることが、極めて重要だと言えるでしょう。

第3回

あなたは途上国の事業所に社長として派遣され、毎日忙しく働いています。
ある日の朝、出勤しようと玄関を出たところで急にめまいを感じ、ふらつきましたが、すぐに収まりました。
さて、あなたはどうすべきでしょう?

a) ただ疲れているだけだと考え、何もしない

b) すぐに信頼できる医療機関を手配し、診察を受ける

c) 一時帰国の際に、かかりつけの病院に相談する

  • 【答え】b) すぐに信頼できる医療機関を手配し、診察を受ける

    【解説】
    医療専門家によると、「めまい」にはさまざまなタイプの疾患が想定されるとのことですが、脳出血・脳梗塞などの重大な疾患の症状が出ている場合もあるそうですから、決して放置すべきではありません。また、途上国では先進国並みの医療を提供できる病院が少ない場合があり、急病で倒れても、必ずしも十分な医療を受診できるとは限りません。
    そのため、海外駐在員が重大な疾患の予兆と言われている症状を感じたら、躊躇せず速やかに信頼できる医療機関を手配し、精密検査を受けて、然るべき治療を受けるべきです。
    また会社としては、赴任前の健康管理指導、定期健康診断の促進、信頼に足る現地医療機関の選定、海外医療サービス会社との契約など、海外駐在員に対する十分な医療支援体制を整えておくことが重要です。
    しかし、どんなに十分な医療支援が提供されても、健康管理は本人の心がけ次第です。海外駐在員は、もし急病で倒れてしまったら、自分の無事を願っている人たちが悲しむことを決して忘れずに、「心身ともに良好な状態を維持することは、駐在員の最も重要な仕事」と考え、健康に留意した生活を送ることが、極めて重要だと言えるでしょう。

第2回

あなたは米国で駐在員として生活をしています。仕事を終えたあなたは、帰宅途中、コンビニエンスストアに立ち寄るため、路上に車を停めました。 さて、あなたが車を降りるとき、注意すべきことは何でしょうか?

a) 注意すべきことは、特にない

b) ちゃんと縦列駐車できているか、確認する

c) 車外から見える場所に、荷物を置かない

  • 【答え】c) 車外から見える場所に、荷物を置かない

    【解説】
    米国では、「車上狙い」が横行しています。昼間で人通りがある場所でも、被害に遭うことがあります。犯行の手口は大胆で、僅かな隙にガラスを割って、車内にある鞄などの荷物や貴重品を窃取します。特に、レンタカーや高級車が狙われやすいといわています。
    米国での車上狙いは、ショッピングモールの駐車場から、路上駐車や人通りの少ない路地まで、広範に発生しています。また、犯行は昼夜を問わず行われるため、決して油断禁物で、常に被害に遭う可能性を意識しなければなりません。

    一般的な対策としては、
    ・車外から見える場所に荷物や貴重品を置きっぱなしにしない
    ・人気のない場所に駐車しない
    ・必ずドアをロックする
    ・防犯装置を取り付けておく などがあります。

    持ち歩きが大変な大きな荷物は、トランクに入れておくと良いでしょう。また、近年では脱着可能なナビゲーション機器なども、面倒ですが降車する際には取り外して持ち歩くか、車外から見えない場所に隠しておくように心がけましょう。 

第1回

あなたは企業の人事部で海外人事を担当しており、海外危機管理も兼務しています。今、あなたは治安の悪い途上国への赴任予定者に、赴任手続きについての説明をしているところです。手続き以外に、説明すべきことは何でしょうか?

a) 手続き以外に、説明すべきことは特にない

b) 赴任地の治安情勢と行動指針

c) 飛行機の搭乗手順

  • 【答え】b) 赴任地の治安情勢と行動指針

    【解説】
    多くの海外赴任予定者は、赴任地での仕事や生活について、強い不安を抱いています。特に家族を帯同して赴任する人は、自分自身が現地の生活に不慣れなために、日本にいるときと同じように家族を守っていけるかどうか、強い懸念を抱いている場合が多いのです。
    ところが、筆者自身も過去に経験したことですが、人事部としては、せっかく海外赴任を承諾してくれた従業員をいたずらに不安に陥れることは本意ではなく、「赴任地の治安情勢は悪い」という事実を、なるべく伝えたくないという心理が働くことがあります。
    しかしながら、海外危機管理担当者が赴任地の実情を伝えなかったとしても、本人が現地に着任すれば分かることです。赴任予定者に何も説明しないことは、企業としての安全配慮を著しく欠くと同時に仲間を危険に放り込む、「人として、いかがなものか?」と問われざるを得ない態度だと言えるでしょう。
    海外危機管理担当者の仕事は、現地の治安情勢を正確かつ誠実に赴任者に説明し、安全に生活するための知識を習得させ、現地での安全行動を促すことから始まるのです。

 

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