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海外での実践的危機管理~海外進出企業編

【第5回】どこに住もうかな?

海外人事のコストダウン

数年前のことですが、ある会社の海外人事担当のM氏から相談を受けました。M氏は、海外人事を担当していますが、海外駐在経験はありません。

M氏:「山本さん、うちの会社、業績がいまいちなんですよねー」
私  :「あー、そうなんですね。最近、もうかってないという話は、あちこちで話題に出ますよ」
M氏:「とうとう、海外駐在員の経費もコストダウンのターゲットになってしまいましてね。役員から、なんとかしろ!とすごいけんまくでプレッシャーがかかっているんですよ」
私 :「この際、どん!と削っちゃったらどうですか?駐在員全員が激怒するでしょうけどね(笑)」
M氏:「山本さん、ひと事だと思ってるでしょう?」
私 :「人事は、ひと事っていうじゃないですか」
M氏:「相談する相手を間違ったかなあ」
私 :「何を削っても自由ですが、住居手当だけは削っちゃダメですよ」
M氏:「住居手当に埋蔵金が隠れていると思ってたのですが…どうして、そこを削ったらダメなんですか?」
私 :「Mさん、一度海外に出て実際に住居探しをしてみると、なぜ削っちゃいけないのかが分かりますよ」

安かろう、悪かろう!

日本では、家賃が安いからといって、周辺地域の治安情勢が極端に悪いということはありません。しかし、海外では「家賃が安い地域ほど、治安が悪い」というのは、常識的な定説です。なぜなら、多くの国々では、所得水準によって居住地域がおおむね決まっていて、低所得者が多く住む地域では家賃は安くなりますが、治安も悪い場合が多いのです。
そのため、海外で住居を探す場合には、まずは「どの地域に住むか?」を慎重に検討する必要があります。その際に大切なのは、低所得者層居住地域に隣接する場所、過去に暴動などで大きな被害が出た地域、通勤・通学に治安の悪い場所を通らざるを得ない地域、テロのターゲットになりやすい地域(政府や軍関連施設、宗教関連施設、過去にテロが発生した場所の周辺)、過去に自然災害で被害が発生した地域など、リスクの高い地域を避けることです。

居住する地域が決まったら、次に物件の選定になりますが、防犯機能の高い住居という視点を第一に選ぶことが重要です。治安水準の低い国においては、ドアや窓に鉄格子が設置されているか、警備会社のアラームシステムが設置されているか、庭の植木などで犯罪者が隠れる場所がないかどうかなど、自分自身が「家に侵入しようとする犯罪者」になったつもりで観察するとよいと思います。
また、プロの犯罪者はターゲットを物色する際に「相対評価」をして、近隣と比べて「より侵入しやすい」家屋を探すと言われています。そのため、物件の下見に行く際には、近隣家屋の防犯レベルを注意深く観察し、近隣と同等か、やや高い住居を選ぶことが非常に重要です。

住居手当は命綱

もうお気づきかと思いますが、海外で安全な住居を探そうとすると、比較的所得の高い層が居住している地域(途上国では高級住宅地など)にならざるを得ないのが実情です。M氏のように、コストダウンに悩む海外人事担当者にとっては、高く設定されている住居手当は「ぜいたくな特別待遇」に感じます。
駐在員と帯同家族にとって、住居は身を守る「最後の砦」です。一方で、安全確保のために十分な住居手当を支給することは、企業にとっては安全配慮義務遂行と、駐在員が事件や事故に巻き込まれて事業運営に支障をきたすことを避けるための「必要経費」であるとともに、海外で活躍する仲間に対しての「思いやり」と言えるでしょう。

私 :「Mさんにお子さんは、おられるの?」
M氏  :「ええ、小さい子どもが二人います」
私 :「Mさんが、もし家族帯同で海外赴任することになったら、家賃の安い家に住みたいですか?きっと、治安の悪い地域に住むことになりますよ」
M氏 :「やっぱり、嫌ですな」
私 :「それが、住居手当をコストダウンの対象にしちゃいけない理由ですよ」

「海外危機管理」に関するクイズにチャレンジしてみませんか?

※ コラムは筆者の個人的見解であり、日立システムズの公式見解を示すものではありません。

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