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株式会社 日立システムズ

海外での実践的危機管理~海外進出企業編

【第1回】機上の人は、他所の人?

旅立ちの風景

20年以上前、私が海外駐在していたころの話です。
家族との一時帰国を堪能したあと、赴任地に帰るときに空港で出くわした光景を今も覚えています。

空港の出発ロビーでチェックインを済ませて家族でほっとしていると、どこかの会社の若い海外赴任者を見送りにきた一団を見かけました。
上司 :「Aくん、インドネシアへ行っても、元気で頑張ってくれよ!」
見送りにきた人たち:「Aくん!頑張れよ!」
赴任者:「頑張ります!では、行って参ります!」

Aくんはゲートの奥へ手を振りながら消えていきました。私たち家族は、見知らぬ人ではあるけれど、Aくんの現地での苦労に思いを馳せ他人事とは思えず、心の中で「頑張れよ」と呟いていました。

ところが、そのあとに聞こえてきたのは…………

上司 :「無事に飛行機に乗ってくれたな。みんな、帰りに居酒屋で一杯やってこうぜ」
見送りにきた人たち:「課長、いいっすね。行きましょう。Aが無事に行ってくれて、やれやれですな!」
上司 :「そうだよなー。説得に苦労したよ」

これは、実は笑い話ではありません。企業にとって海外駐在員は、本当に「機上の人は、他所の人」という認識で良いのでしょうか?

海外駐在員の役割

Aくんは日本本社では「担当者」にすぎないのかも知れません。しかし、多くの日本企業の海外駐在員は、下記のような重要な機能を背負うことになります。

  1. 海外事業所の多岐にわたる業務の「実務担当者」
  2. 現地化推進の「指導員」
  3. 会社の利益確保、発展を目的に設立された海外事業所の「経営者・管理者」

たとえ若いAくんであっても、赴任地の事業所経営の一角を担い、日本の高い水準の業務管理制度を現地で「実現」し、ローカル社員を「指揮・管理・指導」するという、日本本社ではまったく存在しない、幅広い役目を果たす必要があるのです。また、日本企業では、海外事業所運営の状況は駐在員から報告を受け、本社からの指示は駐在員を通じて事業所組織に展開される場合が多く、駐在員なき海外事業運営は、事実上不可能と言わざるを得ません。

つまり海外駐在員は、「姿は見えない他所の人」ではなく、企業にとって非常に重要な「特殊要員」なのです。

海外危機管理は、なぜ必要なのか?

若い駐在員Aくんが、もし何らかの理由で仕事ができなくなったら、事業所に何が起こるでしょうか?
今でも、海外駐在員の仕事は属人的で標準化されていない場合が多いと言われています。また、駐在員は事業部門ごとに選出されて派遣されているため、同僚駐在員には他部門の業務スキルがない場合が多く、機能不全に陥った駐在員の業務代行が非常に困難なのです。
駐在員が事件・事故に巻き込まれたり、病気などで仕事ができなくなって、ごく短期間で事業所の業務崩壊に陥ったり、挽回対応や業務建て直しに多額のコストが発生した多くの実例があります。
海外事業では「たった一人の駐在員の機能不全が、全体に与える影響は計り知れない」という事実を、企業は真摯に心に留めておくべきなのです。

しかし、経営上の都合以上に大事なことは、社命を受けて海外勤務する多くの駐在員に対して、ご家族も含めて「安全に配慮し、人として誠実な対応をする」ことが、企業の社会的信用を維持するために、是非とも必要なことなのです。海外危機管理の在り様は、経営者が従業員をどのような位置付けで考え、取りまとめていくかが、如実に表現されると言っても過言ではありません。

すべきことは何か?

危機管理上、企業として海外駐在員として、何をすべきなのでしょうか?
まず、駐在員は赴任地の治安情勢を正確に知っておく必要があります。テロ、一般犯罪、誘拐、事故、火災、病気、自然災害、戦争、政変、暴動など、さまざまな脅威が「どこで」「どの程度の強度・頻度」で発生しているか、ということを知らなければ、効果的な安全行動を取ることができません。
そして、本社側は常に事業所所在国の治安情勢を注視し大きな変化を捕捉したら、速やかに事業所に対処行動を取るよう指示し、支援する必要があります。場合によっては、海外危機管理専門会社の助言や支援を得ることも視野に入れておくべきです。

実際に赴任地で活動するのは駐在員、帯同家族、出張者本人ですから、渡航前に必ず研修を行って安全行動を指導し、現地でのサバイバル知識を獲得させておく必要があり、決して丸腰で渡航させてはいけません。また、治安が極めて悪い地域へ派遣する駐在員・出張者に対しては、セキュリティ専門会社による、テロ、誘拐、武装襲撃、武装強盗などへの対処行動の「模擬訓練」を受けさせることが必要な場合があります。駐在員が重大事件に巻き込まれた場合、企業は迅速な救出対処行動を行なえるよう、さまざまな準備をしておくことは、既に「当たり前」という時代になりつつあります。

今回のシリーズは私が経験した企業の海外危機管理担当者の視点で、「何も準備していないと、何が起こるか?」ということと、「企業として駐在員として、どういう対応が適切か?」について、事例をもとにお伝えして参ります。

「海外危機管理」に関するクイズにチャレンジしてみませんか?

※ コラムは筆者の個人的見解であり、日立システムズの公式見解を示すものではありません。

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