SAP S/4HANA マイグレーションサービス
四国化成グループ様14社が利用するSAPを最新バージョンS/4HANAに移行
分社化・会計期間変更・クラウド化など複数作業が重なるプロジェクトを完遂
四国化成グループ様は、「化学」と「建材」の2つのコア事業を中心に、独創的な製品・サービスを提供しています。
化学品と建材の分野でグローバルニッチトップとして評価される四国化成グループ様は、グループ企業各社で利用するSAP ERP 6.0を最新バージョンのSAP S/4HANAにマイグレーションしました。今回の移行は2023年1月の持株会社化にともなうSAPシステムの分社化対応と、グループ企業各社の会計期間統一、さらに、SAP稼働インフラをオンプレミスからクラウドに移行するなど複数の作業が重なるプロジェクトでした。
日立システムズは事前のアセスメントや、豊富な経験・スキルを備えたSAP技術者によるサポート提供によりプロジェクトをスムーズに進行し、四国化成グループ様の経営体制改革に大きく貢献しました。
四国化成グループ様は次世代のあるべき情報システムをめざし、2013年に日立システムズを導入パートナーとして、四国化成工業株式会社様にSAP ERP 6.0を導入しました。その後、グループ企業各社へのSAP導入を順次進めていたところ、SAP ERP 6.0の標準サポートが2025年に終了することがSAP社より発表されました。四国化成グループ様はこれを受けて、SAPの最新バージョンSAP S/4HANAへの将来的な移行について検討を始めました。
移行検討が本格化したきっかけは、2021年から始まった四国化成グループ様の持株会社体制への移行計画です。各事業会社への権限移譲による意思決定の迅速化や、企業統治体制の明確化などを目的に、四国化成工業株式会社様を4社に分割する分社化と、グループ企業各社の決算期を統一する会計期間変更が行われることになりました。
当然、グループで利用するSAPシステムにも大きな変更が発生します。情報システム部は対応策を検討し、2つの方法を考案しました。1つは現行のSAP ERP 6.0のまま分社化対応・会計期間変更を完了し、その後にS/4HANA化を行う二段階対応。もう1つは分社化対応・会計期間変更・S/4HANA化をすべて同時に実施する一斉対応です。
四国化成グループ様より相談を受けた日立システムズは、2つの方法のメリット・デメリットを明らかにするため、アセスメントの実施を提案しました。これは、現行のSAPシステムを調査し、S/4HANA化にともなう業務への影響や必要となる作業、コスト、リスクなどを明らかにする調査サービスです。四国化成グループ様は経営に大きな影響を与えうるシステム移行の不安を解消するため、アセスメントの実施を決定しました。日立システムズは現行のSAPシステムを3カ月にわたり調査し、マイグレーションにともなう影響をレポートにまとめました。
アセスメントでは、S/4HANA化の影響を受ける業務やプログラムの調査に加えて、前述の二段階対応と一斉対応、それぞれのメリット・デメリット比較も行われました。その結果、一斉対応の方が作業、コストの面でもメリットが大きいことが明らかになりました。四国化成グループ様はアセスメントの結果に加えて、SAP ERP 6.0のサポート終了時期が近づくにつれてSAP技術者が不足するリスクを考慮し、一斉方式を採用することにしました。
移行プロジェクトは計画立案やデータクレンジングなどの準備からスタートし、2022年1月からは業務や財務の担当者様も加わり設計、開発、テストなどの作業が進められました。キックオフからちょうど1年後、2023年1月の本番切り替え作業では当初1週間のシステム停止を予定していましたが、作業を分散させることでシステム停止を2営業日に短縮するなど、ビジネスへの影響を最小限に抑える工夫が行われました。切り替え当日には日立システムズ技術者を24時間体制で配置し、盤石のサポート体制を整えたことで、大きなトラブルもなく無事に本番稼働を迎えることができました。
情報システム部長は移行プロジェクトについてこのように評価します。「2023年1月からの持株会社化にあわせて、分社化対応・会計期間変更・S/4HANA化の3つを何が何でも成功させるというのが経営層からの必達目標でした。この3つの作業を大きなトラブルなく実現し、システムの安定稼働を継続できたことを高く評価しています」。
2022年に設立75周年を迎えた四国化成グループ様は、次の節目である設立100年に向けて、持株会社体制という新しい経営体制への変革と、最新SAPへの移行という「攻めの投資」を見事に成功させました。今後、SAP S/4HANAを最大限に活用することで、ビジネスの変革をさらに加速させていく計画です。
今回のプロジェクトは、①四国化成工業株式会社様のSAPを4社に分割し、かつ、②四国化成グループ様各社で利用するSAPの会計期間を統一し、さらに、③利用するSAPシステムをすべてS/4HANA化するという3つの大きな作業を一斉に行うプロジェクトでした。四国化成グループ様各担当者様のご尽力と、日立システムズの技術サポートにより、実質の作業期間が1年間という短いプロジェクト期間にも関わらず、無事に本番稼働を迎えることができました。
四国化成グループ様は、S/4HANA化と同時にSAPシステムの稼働インフラをオンプレミスからAmazon Web Servicesに移行しました。クラウド移行により、障害発生時の短時間での復帰、バックアップの自動化、新たな環境のスピーディーな構築など、多数のメリットが実現しています。
日立システムズは、S/4HANA化による業務影響やコスト・期間を調査するアセスメントサービスを提供しています。
四国化成グループ様向けのアセスメントでは、分社化対応や会計期間変更で発生する業務影響・コスト・期間についても調査を行い、四国化成グループ様の意思決定を支援しました。
標準機能調査 | S/4HANA化により廃止される標準機能の有無 代替機能の調査 |
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アドオン診断 | データベースや構文を変更することによる影響のあるオブジェクトや影響内容を調査 |
未使用機能調査 | 開発済み機能のうち、未使用の機能を調査 |
工数・費用見積 | SAPシステムの修正にかかる参考工数・参考費用の提示 |
計画立案 | 作業大日程案や作業項目/分担表の提示 |
── S/4HANA化に向けてアセスメントを実施した理由を教えてください。
四国化成グループの持株会社化にともない、SAPなどの基幹システムに大幅な変更が必要になることは確実でした。そこで、事前にかかる費用やスケジュールを把握しておくためにアセスメントを実施しました。当社の場合、単純なマイグレーションではなく、分社化や会計期間変更も予定していたので、分社化・会計期間変更とマイグレーションを別のタイミングに分けて二段階で行う場合と、すべてを一斉に行う場合の2パターンでかかる費用やスケジュールを調査してもらいました。
── アセスメントではどのような調査結果が得られましたか。
二段階に分けるよりも一斉に行う方が難易度は高いものの費用や作業を抑えられるなどメリットが大きいという結果が出ました。
その内容を受けて社内で多くの議論を重ねた結果、最終的に分社化・会計期間変更・マイグレーションをすべて一斉に行うという決断に至りました。SAP ERP 6.0の利用を延長してもいずれS/4HANA化が必要になることや、将来S/4HANA化をしたいという時にSAP技術者が確保できない事態を避けるためにも、多少のリスクを背負ってでも課題を先送りせず前倒しで行うべきではないか、という結論に至りました。アセスメントを受けたことで、マイグレーションにかかる費用やスケジュールなどの全体像が明らかになり、社内での議論を深めることができました。アセスメントを受けて良かったと実感しています。
── 日立システムズのサポートについてご評価ください。
本番切り替え作業では、SAP ERP6.0からS/4HANAへ大量のデータ移行が必要などの理由で、当初1週間のシステム停止期間が必要と言われていました。しかし、我々にとってシステム停止は生産停止に等しく、お客さまをはじめたくさんの関係者にご迷惑をかけることになります。そこで日立システムズに無理を言って相談しましたところ、作業の分散などの工夫によりシステム停止期間を2営業日に短縮していただきました。事前の移行リハーサルを数回実施し、切り替え当日には技術者の方に24時間体制で対応いただきました。そのおかげもあって切り替え作業は大きなトラブルもなく、予定よりも早く終了することができました。日立システムズの尽力とサポートには、本当に感謝しております。
── 経営層をはじめ、社内の皆さまからのご評価を教えてください。
2023年1月からスタートする持株会社体制の門出にあわせて、分社化・会計期間変更・S/4HANA化の3つを何が何でも実現することが経営層から与えられた必達目標でした。実質の作業期間が1年しかないという状況の中で、この3つを大きなトラブルなくスケジュールどおり実現し、引き続きシステムの安定稼働を維持できたことについて、経営層からもお褒めの言葉をいただきました。また工場をはじめとする現場の従業員からも、「SAPを通常どおり利用できて安心した」という声をいただきました。
── 今後の展望を教えてください。
今回無事にS/4HANAへの移行が完了しましたが、S/4HANAの新機能や、SAP Fioriによるインターフェース改善など、最新SAPがもたらすメリットにも期待をしていますので、S/4HANAの活用提案もぜひ積極的にいただけたらと思っています。
四国化成ホールディングス株式会社
設立 | 1947年10月10日 |
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資本金 | 68億67百万円 |
従業員数 | 1,287名(連結 2024年6月30日時点) |
代表者 | 代表取締役社長 渡邊 充範 |
グループ事業内容 | 四国化成グループは、「化学」と「建材」の2つのコア事業を中心に、独創的で最先端の製品・サービスを通じて、一歩先の価値を提供しています。 |
URL | https://www.shikoku.co.jp/ |
ご協力ありがとうございました。
*本内容は2024年11月時点の情報です。
本事例に記載の情報は初掲載時のものであり、閲覧される時点では変更されている可能性があることをご了承ください。
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