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「社員の知恵を生かす、基幹データの戦略的活用法とは」

失敗事例から学ぶ基幹システム構築講座 「システム企画」編

2013年4月、「TENSUITE」は、日立 製造・流通業向け基幹業務ソリューション「FutureStage」に統合しました。
※本コラムに記載の商品情報は初掲載時のものです。

戦略的活用法

(企画3)
「社員の知恵を生かす、基幹データの戦略的活用法とは」
今回は基幹システムの機能の改善・改修企画ではなく、基幹システムの情報を活用する戦略的情報活用の企画について紹介します。 社員一人一人の知恵を生かし、具体的改善につなげることのできる、基幹システムの情報活用方法とは?
(2010/5/20)
筆者:(IT コンサルタント)石田 富士夫

定量化した実績数値のニーズに基幹システムが応える

さて、目標を具体化し定量化した目標を各部門で設定するようになると、次に必要となるのが目標の進捗状況を計る実績数値です。 今までは目標管理の進捗報告は進捗状況を文章で報告すれば済んでいましたが、今後の報告は実績の数値で報告することになりました。 例えば、前記の例ですと以下のようになります。

実績報告方法の改善

【改善前】

  • 停滞在庫の圧縮は営業と工場の連絡会議で圧縮対象とする製品を検討しています。
  • 来月には詳細を報告します。

【改善後】

  • 営業管理者と工場の生産管理責任者と毎週月曜日に製造検討会を開催し、2ヶ月以上停滞製品は200点ありました。 200点のうち今後拡販が可能な品目を営業で仕分けしております。
  • 在庫月数(在庫数量/月間販売数量)を上回る製品在庫は300点ありました。 この中で、製造リードタイムより短い納入リードタイムで販売している製品の準備在庫量を更に分析し標準在庫月数を設定するように生産管理で分析中です。
  • 2ヶ月以上停滞在庫金額を前期比1/2の目標に対し、現在は前期比0.8であり更に対策が必要です。

このように定量化した目標を設定すると、定量的な実績数値が常に必要となりました。
目標管理を部門ごとに設定し定期的にフォローしていくために、各部門から定量的な実績数値の提供ニーズが発生しました。 このニーズは、現状の基幹システムに蓄積された実績データベースから、必要な条件でデータを抽出・加工することでほとんど満たされることがわかりました。 また、今までに無い管理項目は、伝票入力の項目の入力方法やマスタ設定を工夫して、実績を抽出した時に分類・集計が可能となるように入力ルールを改定しました。

情報を活用した業務改善活動の実現

A社は目標管理を定量化した表現に改革することにより、数値で物事を具体的に評価し改善を進めていく企業基盤を構築する方向に動き出しました。 言うまでもなくこれを支えているのが基幹システムに蓄積された実績データベースです。
基幹システムが単なる実績の集計システムとしてしか活用できていない会社は他にも多く見られると思います。 基幹システムを自社の業務改善に戦略的に活用していくためには、この例に見るように先ず自社の改善活動を定量化した実績数値から分析・評価を行い、具体的な数値目標を設定して進める内部改革が大切です。 こうすることで基幹システムの情報に対するニーズが生まれ、利用者が積極的に実績データベースを活用していくようになります。

(次回につづく)

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