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株式会社 日立システムズ

第6回 リアル店舗とECサイトを連携させるには

2023年1月

第6回 リアル店舗とECサイトを連携させるには

こんにちは。田中慎太郎と言います。都内の私立大学の政治経済学部に通う2年生です。ゼミのOGである美咲いずみさんのベンチャー企業でインターンをさせてもらうことになりました。今日はリアル店舗とECサイトが上手に連携できずにいる会社に伺います。

美咲いずみ

株式会社DXファームCEO

5年間のITエンジニアの経験をもとにフリーのITコンサルとして独立
7年ITコンサルタントを務めたのち、起業

田中慎太郎

大学2年生
DXファームのインターン生

横山佐知子

株式会社サテスイング CIO

アパレルをメインにした小売業者

小売業界をいかにDXするか?


いずみ

田中くんは買い物好きですか?


慎太郎

買い物ですか?はい、好きですよ。店舗に行くのも、ネットショッピングもどちらも大好きです。


いずみ

いいですね。ECサイトの数は増加傾向にあります。これは、物販系分野の BtoC-EC 市場規模および EC 化率の経年推移の表になります。


(出典)経済産業省「令和3年度 電子商取引に関する市場調査」


慎太郎

EC化率はどんどん上昇していますね。僕はどちらも好きです。実店舗にも、ECサイトにも、それぞれの魅力があります。やっぱり実際に商品をこの目で確かめられるのが店舗の魅力ですし、スマホひとつで簡単に買い物ができる手軽さはECサイトの良さですね。それこそ、アパレルショップに行き、気に入ったデザインの服を見つけてもちょうど良いサイズがなくて、そのショップのECサイトで自分に適したサイズを買うなんてこともあります。


いずみ

まさに今日伺う会社の悩みがそういうところにありそうなんですよ。


慎太郎

なるほど、今日伺う株式会社サテスイングはアパレル関係の小売業をされていますね。僕自身、ここのブランドの商品を買ったことがあります。ショップにいったこともあります。


いずみ

サテスイングはリアル店舗とECサイトの双方から売上をあげていますね。今、少しずつ業績を伸ばしていっています。


慎太郎

そう聞くとあまり困っているようには感じませんが、一体どんな悩みがあるのか気になります。


いずみ

早速、伺ってみましょう。

リアル店舗とECサイトの会員情報の未連携


佐和子

はじめまして。株式会社サテスイングCIOの横山佐知子です。


いずみ

株式会社DXファームの美咲いずみです。


慎太郎

部下の田中慎太郎です。よろしくお願いいたします。


いずみ

早速ですが、どんなことにお悩みですか?


佐和子

弊社はアパレルの小売をしていまして、リアル店舗とECサイトをそれぞれ運営しています。コロナ禍にあっても、ありがたいことに売り上げを落とすことなく業績を伸ばしてきました。


慎太郎

私も御社のジャケットをよく着ています。肌触りがよく、それでいて動きやすくてこれなしに仕事はできません。


佐和子

ありがとうございます。そこで弊社の悩みなのですが、リアル店舗とECサイトの顧客情報が連携できていないのです。


いずみ

具体的にはどんな状況なのですか?


佐和子

弊社では、顧客情報は個々の店舗ごとに、紙ベースで管理しています。ECサイトとの連携もとれていないだけでなく、リアル店舗同士でも情報の共有はできていません。


慎太郎

直接アイテムに触れることのできるリアル店舗と、気軽に買い物ができるECサイトとの連携が図れれば、さらに顧客満足度を高めることができるはずです。


佐和子

はい、まさにそれが狙いなのです。


いずみ

顧客情報を紙ベースで管理しているとおっしゃりましたが、あまり熱心に顧客情報を集めていない感じですね?


佐和子

その通りです。そもそも顧客情報を積極的に集めることをしていませんでした。例えばお買い上げいただいたお客さまに、お客さまカードをご記入いただくといったオペレーションが徹底されていなかったわけです。もっとも、来店したときに余裕のあるお客さまにしか会員登録をご案内できないわけです。


慎太郎

確かに混んだ店内で、買い物をしつつ、会員登録のための手続きをしたりするのは煩わしさがありそうです。私自身、会員登録したらお得そうだけど、今日はいいや、次回来た時に登録しようと、結局会員登録しないままのお店が結構あります。


佐和子

ありがたいことにお店は結構お客さまがいらしていますから、なおさら今の登録方法ではなかなか会員が増える兆しがありません。
とはいえ、例えばポイントを付与するといったメリットがお客さまにあり、登録までの流れがスマートになれば、顧客情報を集めることは容易そうです。しかし弊社はそういったインセンティブ施策が今のところ思うように実施できていないのです。


いずみ

状況を把握しました。まとめると、3つ問題がありそうですね。一つ目は、リアル店舗とECサイトの顧客情報が連携できていないため、相互送客ができず、非効率であること。二つ目は、顧客接点の不足による顧客情報が収集不足なこと。三つ目はポイント付与などのインセンティブ施策が不足していること。


佐和子

おっしゃる通り、リアル店舗に来られたお客さまに対しては、紙で顧客情報を集めて管理をしていましたが、それはあくまでも店舗ごとの管理であり、本社のシステムなどとは連携がとられていません。本社のほうに集められるのは、あくまでもECサイトを利用したお客さまに関する情報に限られていました。


慎太郎

もし、これらの情報がリアル店舗・ECサイトを問わずに連携できるようになれば、購買情報をマーケティングや商品開発に役立てることができそうです。


いずみ

他にも、リアル店舗での品切れ時にECサイトにお客さまを誘導することができたりと、さまざまなメリットを享受することができそうですね。


佐和子

はい。私もそう思っています。ただ、そのためにどんなことやっていけばいいのか、課題が山積みなので整理できずにいまして。そこで美咲さんにコンサルをしてもらおうと思ったのです。

業績を伸ばす「攻めのDX」


いずみ

「DX」という言葉が最近一般的になってきましたが、多くの場合、コストの削減や残業時間の抑制といった省力化に関する論点が非常に強く、いわば「守りのDX」と言えそうです。それに対し、今回のご相談内容は「攻めのDX」と言えそうです。


佐和子

「攻めのDX」?


いずみ

はい。もちろんコスト削減という要素もあるのですが、それ以上に顧客ロイヤリティの向上という部分に着目していて、企業業績を伸ばすための側面を強く感じます。


佐和子

なるほど、「攻めのDX」ですか。いいですね。


いずみ

リアル店舗とECサイトを、DXを通じて上手に連携させて、顧客ロイヤリティの向上、ひいては売上高をはじめとした経営成績の向上につなげていきましょう。


佐和子

では、具体的にどのようなアプローチをすればいいですか?


いずみ

やるべきことはシンプルです。顧客情報を一元管理する仕組みを構築することです。


佐和子

一元管理はどうやって実現するのですか?


いずみ

まず、別々になっている会員情報を同期して連携することが第一といえます。その際、会員向けスマホアプリがあると良いでしょう。店舗とECサイトをつなげるには、ユーザーを特定できるように共通の会員番号をシステム構築時に設定し、この会員番号をキーとして会員情報やポイント情報、クーポン情報等を連携しておくことがおすすめです。会員情報はECと店舗で個別に管理するより、会員証をスマホアプリで統合しておけば無駄がなく、利用者が混乱することも防げるでしょう。特に小売店の場合は一般消費者と密接につながっていますから、いかにコミュケーションを上手に取るかで顧客満足度は変わってきます。
店舗ではスマホアプリの会員証を提示するだけで済みますし、ECサイトでは会員番号の入力やパスワードのみで利用でき、顧客にも負担がかかりません。
それぞれのデータを同期して連携していれば、会員は店舗とECで同じサービスが受けられるメリットがあります。さらに企業側は顧客行動をインターネット上とリアル店舗で区別することなく把握でき、この情報を次のマーケティング施策に活用しやすくなります。


佐和子

会員証をアプリ化することで、会員情報をECと店舗で個別に管理するよりも利用者にとっても便利になりますね。


いずみ

また副次的な効果として、顧客情報や購買データの蓄積が十分に行われると、マーケティングのためのアクションを取りやすくなります。


佐和子

顧客データをさまざまな切り口からセグメンテーション、つまり分類することで、効果的な打ち手をそれぞれに講じることができるそうですね。


慎太郎

メールによる販促一つとっても、性別や世代、お客さまのこれまでの購入の傾向などに応じて、購入見込みの高いアイテムをリコメンドできれば、より高いプロモーション効果を上げることができます。


いずみ

性別、生年月日、住所、利用店舗、購入履歴、好きな商品、会員ランクなどさまざまな軸でお客さまをセグメンテーションし、コミュニケーション施策を実施していけるでしょう。


慎太郎

リアル店舗とECサイトが連携を取ることの一番の利点は、データ収集から分析・活用を効率化できることにありそうですね。


佐和子

単に利便性という点でリアル店舗とECサイトの連携を考えていましたが、デジタルマーケティングに大きく寄与しそうですね。積極的に検討していきたく思いました。


いずみ

御社の抱える3つの問題、リアル店舗とECサイトの顧客情報が連携できていないため、相互送客ができず非効率であること、顧客接点の不足により顧客情報が収集不足なこと、ポイント付与などのインセンティブ施策が不足していること。一つ目の問題は、顧客情報を一元管理をすることでリアル店舗からECサイトへの相互送客も可能となりました。


佐和子

リアル店舗とECサイトをお客さまに使い分けていただけるのが理想です。


いずみ

二つ目の問題については、会員証をアプリ化することによって、登録のハードルを下げたり、来店時以外にもプッシュ通知でダイレクトなリコメンドを展開したりすることで、情報収集と接点強化を図れるでしょう。


佐和子

データを有効に活用していきたいですね。


いずみ

三つ目の問題については、顧客情報や購買履歴など、お客様の指向や行動に応じたレコメンドを実施できるようになったことで、One to Oneマーケティングやオムニチャネル施策が可能となりそうです。


佐和子

見込み顧客が顧客になり、既存顧客がリピーターになる。そんな仕組みを作れたら嬉しいです。いずみさん、リアル店舗とECサイトを連携させるサービスで弊社に合うものをいくつかピックアップしてもらえますか?検討していきたく思います。


いずみ

承知いたしました。さまざまな業者がこういったサービスを用意しています。候補をピックアップし、まとめたものを後日お送りします。


佐和子

ありがとうございます。本日はありがとうございました。


いずみ

ありがとうございました。


慎太郎

ありがとうございました。

まとめ


慎太郎

リアル店舗とECサイトを連携させると聞いて、僕自身利便性の向上という側面を考えていましたが、顧客情報の一元管理のメリットは思ったよりも大きかったように思います。


いずみ

おっしゃるように、今回の件で一番大事なポイントは効率的に顧客情報を集め、管理することで、マーケティング面で新しい一手を打てるようになることです。


慎太郎

改めて、「DX」というと一般的にコスト削減や残業の抑制といった守りの視点を中心に語られることが多いように思います。しかし、今回の事例のように、売上高をはじめとした経営成績の向上につながるような「攻めのDX」も、経営にとって非常に有益なものになりそうですね。


いずみ

田中くん、頼んでおいた仕事の進捗いかがですか?


慎太郎

はい、リアル店舗とECサイトの連携を実現できるサービスの候補を結構ピックアップできました。


いずみ

田中くんのイチオシは何ですか?


慎太郎

日立システムズの「顧客ロイヤリティ向上ソリューション」はすごく良さそうなサービスです。


いずみ

どんなサービスなのですか?


慎太郎

ECシステム、スマートフォンアプリ、会員/ポイント管理システム、CRMシステム、MAツールなどを組み合わせ、デジタルマーケティングを実現するソリューションだそうです。行動データの収集・分析・活用をワンストップで実現し、顧客ロイヤリティの向上をサポートしていきます。


いずみ

田中くんが良いと思ったポイントを教えてください。


慎太郎

ポイントは3つあります。まず、ワンストップのデジタルマーケティングのサービスであるということです。ECシステム、スマートフォンアプリ、会員/ポイント管理システム、CRMシステム、MAツールをまとめて提供してくれるのです。この画像の青いところが日立システムズのサービス提供範囲です。

【図2】


いずみ

データ収集、データ統合、データ分析・活用の3ステップをワンストップで実現できるのは導入する側の負担が少なくて良いですね。


慎太郎

また、課題に合わせた部分的なサービス導入が可能になっています。既にデジタルマーケティング基盤を導入している場合でも、現状課題の分析支援を実施いたします。


いずみ

今回の事例もすでにECサイトはありますから、どのように連携するかが要ですね。


慎太郎

最後に、導入後の運用や現場の負担を軽減させてくれる工夫がたくさんあることです。例えば、コンタクトセンターを提供し、顧客対応を行います。そこで寄せられた顧客の声は、応対品質の向上はもちろん、システム改修やユーザエクスペリエンスの改善にも生かすことができます。


いずみ

ただ単に新しい仕組みを導入したままでは本末転倒ですからね。継続して安定したサービスを提供していくことがなにより大事です。そういった意味で導入後のサポートがあるのは安心感がありますね。


慎太郎

はい、なので今度のミーティングの際は、日立システムズの「顧客ロイヤリティ向上ソリューション」を推していこうと思いました。


いずみ

良いと思います。次回ミーティングの前日までに資料を完成させて私に見せてください。


慎太郎

承知いたしました。

  • * この物語は、筆者の見解をもとに構成されています。
    日立システムズの公式見解を示すものではありません。
  • * 文章中に記載された社名および製品名は各社の商標または登録商標です。
  • * 本内容は2023年1月時点での情報です。

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