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株式会社 日立システムズ

第8回 アフターコロナの観光業とは?

2023年3月

第8回 アフターコロナの観光業とは?

こんにちは。田中慎太郎と言います。都内の私立大学の政治経済学部に通う2年生です。ゼミのOGである美咲いずみさんのベンチャー企業でインターンをさせてもらうことになりました。今日は観光業をDXできないか考えている自治体に伺います。

美咲いずみ

株式会社DXファームCEO

5年間のITエンジニアの経験をもとにフリーのITコンサルとして独立
7年ITコンサルタントを務めたのち、起業

田中慎太郎

大学2年生
DXファームのインターン生

渡邊義郎

β県α市市長

システム系のベンチャー企業を退職後、現在はa市の市長(一期目)。地方のDXを掲げ、特に観光産業を伸ばしていこうと考えている。美咲とは前職のベンチャー企業のときからの仲。

ニューノーマルでの観光とは?


慎太郎

今日の相談者は企業の方ではないそうですね。


いずみ

ええ、今回はβ県α市の市長である渡邊さんからの依頼です。といっても、彼は政界をめざす前はシステム系のベンチャー企業に勤めていて、そこで私はコンサルでお手伝いしていたんです。今回はその時の縁もあり、今回市長を務めることになった市のDXを進めていきたいから、アドバイスがほしいとのことでした。


慎太郎

なるほど。


いずみ

α市といえば、もともと観光が盛んな地域でした。ただ、ここ数年を見るとコロナの打撃を受けて観光業の売り上げも右肩下がりのようです。きっとこのピンチをDXで乗り越えたいのではないかと思います。


慎太郎

観光とDX、想像がつかない組み合わせです。それこそ観光って漠然とですが、アナログな印象があります。


いずみ

そろそろ、ミーティングの時間ですね。つないでみましょう。

お久しぶりです。DXファームの美咲いずみです。


慎太郎

はじめまして、田中慎太郎です。


渡邊

美咲さん、久しぶり。そして田中さん、初めまして。α市市長の渡邊です。


いずみ

ご当選、おめでとうございます!


渡邊

ありがとうございます。こうして地元で市長をやれるなんて思ってもみなかったですよ。システム系の企業で働いていたころが懐かしいです。


いずみ

かなり前になりますね。


渡邊

しかし、地元に戻ってきてそのローテクぶりにビックリしました。これでも私なりに市のDXを推進してきたのです。ただ、これまでは利便性向上といった点においてDXをしてきました。そろそろ次のフェーズに入りたいと思いましてね。


いずみ

DXを通じて観光業をより活性化したいわけですね。


渡邊

そうです。DXで観光業を立て直すだけではなく、観光消費を増やしていき、しっかりお金も生み出せるようにしたいのです。


いずみ

承知いたしました。そうしたら観光業におけるDXの例を一緒に見ていきたいと思います。


渡邊

よろしくお願いいたします。


いずみ

観光にDXをどう生かすか、その一つの例としては、デジタルマーケティングでの活用だと思います。旅行前、旅行中、旅行後と3つのフェーズでアプローチをかけられます。まず、旅行をする前、私たちはWeb広告やSNS上での口コミ、旅行サイトをチェックし情報収集をしますね。そこにプロモーションを入れることで、集客力アップをめざすことが可能です。


渡邊

非常に分かりやすい例ですね。


いずみ

旅行中には、食事や観光地巡りなどさまざまな移動をします。この移動の動線を分かりやすく引くことで周遊強化による観光消費額を増やすことができます。そして忘れてはいけないのは旅行後です。旅の感想をSNSや旅行サイトに書き込んでもらえれば、それを見た人が旅を検討するポジティブなスパイラルを作ることが可能になります。アフターフォローを増やすことでリピート率を上げることもできます。


慎太郎

こういった「集客力UP」「観光消費額UP」「リピートUP」の循環を促進することが大事ですね。そのためにはデータの利活用を上手にやらなければなりません。


渡邊

データを集めて、観光客の興味や嗜好、消費動向を探っていく感じでしょうか?


いずみ

おっしゃるとおりです。データは、例えば、Wi-FiやGPSなどの位置情報、AI画像解析を利用したカメラ映像情報、口コミやいわゆる「映える」写真などのSNS情報、他にも天気や店舗のPOS・決済情報などが利用できます。現在は宿泊情報は取り込めないのですが、PMSなどの情報を連携できるようにできると、効率的な運営ができるようになります。


慎太郎

位置情報とカメラを組み合わせれば、観光客の総数を把握できますし、をAI画像解析情報から車の移動情報や観光客の居住地をおおよそ把握できそうです。天気による消費行動の傾向を把握することも、POS・決済情報と天気の情報を組み合わせれば可能なように思われます。


渡邊

情報を組み合わせて分析することで観光の施策を立てるヒントになりそうですね。


いずみ

データの分析を踏まえて、観光エリアの課題を明確にし、観光統計をより正確に、隠れた魅力や課題を把握できれば今後のPRや改善に生かせます。


渡邊

位置情報を把握するためのWi-Fiを市内に充実させるのも1つの手段かもしれません。


いずみ

コロナ禍のため制限していた訪日外国人観光客の受け入れが、2022年10月11日から緩和されました。インバウンドの復活に向けてフリーWi-Fiアクセスポイントを整備するべきだと思います。


慎太郎

Wi-Fiにつなぐタイミングでアンケートに答えてもらうのもいいかもしれませんね。


渡邊

データを集める絶好の機会といえそうです。スマートフォンのWi-Fi信号を検知すれば、その日のエリア別の来訪者数や属性、平均滞在時間や主要観光地の周遊状況を時間ごとの推移・混雑状況などを見える化できそうです。


いずみ

こういったデジタル技術を活用し、消費者の観光ニーズを満たしていくことをスマートリゾートと言います。

スマートリゾートの考え方


渡邊

スマートリゾート。最近よく聞く言葉ですね。


いずみ

まずスマートリゾートに取り組むべき背景についてお話したいと思います。1つ目にはあらゆる地域が直面する人口減少の課題に対処する必要があります。将来にわたって『活力ある地域社会』の実現のために何度も訪れたくなる魅力的な地域づくりが、 より重要な意味を持ちます。


慎太郎

「関係人口」とは、移住した「定住人口」でもなく、地域と多様に関わる人々のことを言う言葉ですね。


いずみ

一見さんではなく、リピーターになってもらうのが大事です。また、これからの旅行市場の主役となる「デジタルネイティブ」へ対応をしていくことが求められています。


慎太郎

2030年までにはデジタルネイティブが旅行市場で最大シェアを占めるようになるので地域としてデジタルネイティブのニーズに応えていかないといけませんね。


渡邊

「デジタルネイティブ」は、ミレニアル世代(1981-1996年生まれ)やZ世代(1997-2012年生まれ)ですね。ちょうど今ここにいる僕と美咲さんはミレニアル世代、慎太郎くんはZ世代です。僕たちの価値観に合わせてサービスのあり方を変えていく必要がありそうです。


慎太郎

僕は、観光バスとかそういう団体行動をする観光はしたくないです。自由に行きたいところに行きたいです。ただ、僕みたいに東京の大学に通っていると免許を持っていないことが多々あります。


渡邊

だからこそ、今までにない移動手段のサービスを提供しなければですね。オンデマンドバスや自動運転車などを充実させるのもいいかもしれません。電動自転車はもちろん、最近は電動キックボードも流行っています。


いずみ

観光ニーズも変化してきていると言われています。次のグラフを見てください。

昭和の観光はSeeing、つまり観光名所を見に行き、目に見える景色を楽しむ時代でした。それが平成になって、Doing、つまり観光スポットに加え、「そこで何ができるか」を重要視する時代になりました。そして令和の観光はBeing、つまり現地での交流、体験、偶発的な発見を楽しむ時代になりました。


渡邊

観光に求めるものが変わってきたんですね。令和の観光ニーズに応えるには観光のまちづくりを丁寧にやっていかなければいけないですね。Z世代のような若い観光客に体験を提供できるようにするにはさまざまなサービスが連携していく必要がありそうです。


慎太郎

5Gも普及してきましたし、デジタル技術の進化をどんどん取り入れていくのは大事ですね。


いずみ

国際的な観光地にしていくにはデジタル技術は必要不可欠です。これらはユーザー視点だけでなく、地方の観光地が抱える人材不足や業務効率の低下などの諸問題の解決にも役立ちます。


渡邊

観光地のDXは単にサービスの充実化以外の側面があるということですね。


いずみ

はい。DXを通じて従業員の業務時間の短縮や省人化を図ることができればスタッフに時間の余裕が生まれ、接客や複雑な業務に集中することが可能です。


渡邊

本来、今いろいろなところで言われているDXもその意味合いが強いですよね。私の市も就労人口が少しずつ減ってきていますので、DXで解決していきたいところです。


いずみ

こういった背景から生まれたのがスマートリゾートという考え方です。経済産業省の「スマートリゾートガイドブック」ではスマートリゾートを「デジタル技術を活用し、これからの人々のニーズ(学びや現地での本物体験への追求等)を満たす サービス提供により、地域への誘客拡大、滞在長期化や消費促進、及びそれによる地域の各主体 (住民、行政組織や事業者、地域環境・文化等)の持続的な価値獲得や創出をめざす。」と定義付けています。


渡邊

なるほど。観光での訪問者、その地域の住民・行政、観光業の事業者、そして環境や文化全体に良いことづくしなように思います。美咲さん、次回お会いする時までにスマートリゾートを実現するサービスの候補を挙げておいてくれませんか?


いずみ

承知いたしました。本日はありがとうございました。


慎太郎

ありがとうございました。


渡邊

ありがとうございました。

まとめ


慎太郎

コロナはもちろんのこと、観光へのニーズが変わってきたこともあり、観光業のDXを推し進めることが大事であることがよく分かりました。観光のDXの肝はデータ活用なのだと思いました。


いずみ

まさにそのとおりです。いかにデータを集め、分析し、サービス提供のあり方を考えていく必要がありそうです。


慎太郎

令和の観光での成功にはDXが必要不可欠ですね。

商品紹介


慎太郎

スマートリゾートを実現する良いサービスはありませんか?


いずみ

日立システムズの「観光DX」はどうでしょう。


慎太郎

どんな特徴がありますか?


いずみ

次の図を見てください。


いずみ

日立システムズの「観光DX」では、「旅まえ」「旅なか」「旅あと」と3つの段階においてデジタルマーケティングを実施していきます。まず、「旅まえ」ではプロモーション強化による集客力アップを、「旅なか」では周遊強化による観光消費額アップを、「旅あと」ではアフターフォロー強化によるリピートアップを実現します。


慎太郎

市長とお話していたときの重要なポイントをしっかり押さえていますね。


いずみ

では「観光DX」には特徴的なサービスを見ていきましょう。まずは、「VR観光」です。

「VR観光」では、地域の魅力を全国の人に知ってもらうことができます。360°カメラとドローン映像で没入感のある映像体験が可能で、オンラインでお土産を買うこともできます。


慎太郎

遠方に、例えば海外に住んでいる方でも気軽に観光体験できますね!「VR観光」をきっかけに実際に行く動機になりますね。お土産を買えることは、ECによる特産物の物販を促進し、集客とはまた違ったところから地域活性化できそうです。ECで購入したお土産をSNSで投稿してもらえれば、どんどん良い効果が期待できそうですね。


「VR観光」の例


いずみ

今やSNSの活用による通販もDXの1つと言えるでしょう。そういった点からも、マーケティング面を強化する「SNS分析」が重要です。日立システムズの「SNS分析」では、地域に関連するSNS上のキーワードを把握し、SNS投稿を可視化、分析し、データに基づいて施策の立案ができます。


慎太郎

SNSで地域の話題が広がれば新規のお客さんを巻き込めますし、デジタルマーケティングでも非常に大事な部分ですね。僕らのようなZ世代は旅行を計画するときSNSの口コミや友人たちの投稿で行くところを決めることが多いです。


いずみ

さらに「観光客情報の可視化」です。Wi-Fiと旅行アプリのGPSとAIカメラを組み合わせることで観光客の属性、動線、周遊ルートを見える化します。


慎太郎

「観光DX」は観光客にも、事業者にも双方メリットがありそうですね。


いずみ

観光客としては、観光スポットの所要時間や迂回ルート、混雑情報がわかることから移動がもっと効率的になります。天気に合わせた観光ルートなどもわかるので天気を気にしなくても大丈夫です。


慎太郎

事業者側には属性・SNS情報がわかるのが大きいように思います。ニーズを把握し、好みに合わせたメニュー設計が簡単にでき、どこに情報を流すべきがが一元化されるので期間限定の情報が観光客にスムーズに伝わり、予定外の顧客の確保もできそうですね。


いずみ

自治体のさまざまなニーズにお応えできるサービスが日立システムズからはたくさんリリースされています。渡邊市長に今度会った時にこれらサービスを提案してみましょう。

  • * この物語は、筆者の見解をもとに構成されています。
    日立システムズの公式見解を示すものではありません。
  • * 文章中に記載された社名および製品名は各社の商標または登録商標です。
  • * 本内容は2023年3月時点での情報です。

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