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株式会社 日立システムズ

第1回 DXの必要性 2025年の崖に向けて

2022年2月

第1回 DXの必要性 2025年の崖に向けて

こんにちは。田中慎太郎と言います。都内の私立大学の政治経済学部に通う2年生です。ゼミの先生に将来は、コンサルになりたいと相談をしたところ、ゼミのOGである美咲いずみさんを紹介していただきました。美咲さんは最近コンサル会社を起業したばかりですが、縁あって、そこでインターンをさせていただくことになりました。今日は初出勤日です。これからの業務に大きく関わってくるDXとは何か、レクチャーしてくれるそうです。

美咲いずみ

株式会社DXファームCEO

5年間のITエンジニアの経験をもとにフリーのITコンサルとして独立
7年ITコンサルタントを務めたのち、起業

田中慎太郎

大学2年生
DXファームのインターン生

そもそもDXとは?


慎太郎

今日からお世話になります。改めてよろしくお願いいたします。


いずみ

よろしくお願いいたします。


慎太郎

そろそろ将来の夢であるコンサルになるために就活を始めようと思っていたところ、このような機会をいただきありがとうございます。


いずみ

いえ、こちらこそ、できたばかりのコンサルベンチャーに来てくれて助かります。早速私たちの業務内容に関わるDXの話をしたいと思います。ちなみにDXは知っていますか?


慎太郎

DXって文字だけ見ると、普通の人はデラックスって思っちゃいますよね。デジタルトランスフォーメーション。名前だけは知っています。


いずみ

はい、そのデジタルトランスフォーメーションです。


慎太郎

最近、ニュースやSNSでよく目にするようになった気がします。何で今注目されているんですか?


いずみ

DXは元々、2004年にスウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が「ITの浸透が人々の生活をあらゆる面で良い方向に変化させる」と述べた考え方です。ただこの時はまだ注目されていなくて、日本で注目されだしたのは、2018年に経済産業省がDXレポートを出してからですね。


慎太郎

DXレポート?


いずみ

はい。「2025年の崖」って知っていますか?


慎太郎

えっと……聞いたことがないです。


いずみ

経済産業省が出したDXレポートの中で、「2025年の崖」という言葉が繰り返し出てきます。企業が2025年までにDX化を実現しないと日本国内の経済損失が最大で年間12兆円に達することに危機感を持って名付けられました。


慎太郎

12兆円!すごい額ですね。


いずみ

ええ、かなり大きな金額です。そこで多くの企業でDX化を推進しようという試みが増えてきました。


慎太郎

そういえば、ちょっと前にDXと名の付く役職が増えてきたとニュースでやっていました。


いずみ

そうなんです。元号が令和に変わったころに、DXって役職名に付く人が出てき始めたんですよ。実際に私が担当してきたクライアントさんでもDX推進部のような新設部署を任される方がいました。


慎太郎

今まで以上にDXの必要性が高まってきたんですね。


いずみ

私もこのままだとフリーで担当するには限界があると思って、一念発起して起業したんですよ。というのも、お客さまの周りにもDX化を進めたい、だけどどうしたらいいか分からないという方が多くいらして。


慎太郎

これまで目を向けてなかった企業もDXを意識するようになったんですね。


いずみ

ただ、やはり実際にヒアリングに伺ってみると皆さんDXをただのデジタル化だと思っているんですよ。


慎太郎

え?デジタル化ではないんですか?

デジタライゼーションとDX


いずみ

DX、もといデジタルトランスフォーメーションは、名前にデジタルとあるようにデジタル化を想像する人が多いのですが、そもそもデジタル化はデジタライゼーションという風に言われます。


慎太郎

確かに言われて見ればそうですね。


いずみ

デジタライゼーションは現在の仕事をデジタルな方法やツールに置き換えていくことですね。あくまでゴールはデジタルによる置き換えで付加価値を向上したり、既存業務の効率化を実現することです。


慎太郎

DXはゴールが違う……ってことですね?


いずみ

そうです。DXのゴールは、今までになかった製品やサービスを生み出したり、組織としての事業の進め方、個人としてのライフスタイルや働き方を変えていくことで新しい価値を生み出すことです。経済産業省はDXをこう定義しています。

「企業が外部エコシステム(顧客、市場)の破壊的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革をけん引しながら、第3のプラットフォームを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位を確立すること」

「新しい価値」を生み出すことにこそ目的があるのが分かりましたね。


慎太郎

DXのキーワードになりそうですね。


いずみ

デジタライゼーションとDXの違いが何となく分かりましたか?


慎太郎

はい、デジタライゼーションがあくまで手段であるのに対して、DXはもっと大きな目的に感じました。

クラウドの重要性


いずみ

DXを推進する上で無視できない存在があります。それは、クラウドです。


慎太郎

確かに新しい価値を創出して、競争で優位性を築くにはクラウドは不可欠な気がします。


いずみ

おっしゃる通りです。クラウドの導入はまず取り掛かるべき課題です。DXを実現するためにクラウドを導入するステップは3つあります。 ステップ1は、クラウドの部分適用です。クラウド化によりコスト削減や働き方改革やテレワーク対応などスケーラビリティの柔軟性を活用します。


慎太郎

多くの会社が最初のステップで足踏みしてそうですね。


いずみ

はい。なので次のステップ、さらにその次のステップと階段を登るお手伝いをするのが私たちの仕事です。 ステップ2は、クラウドによる内部環境統合です。基幹系に対してクラウドを適用していくことで社内のシステム基盤が統一され、データの活用がこれまで以上に簡単になります。


慎太郎

かなり社内でのやりとりが楽になりそうですね。


いずみ

ステップ3では、外部との連携基盤を構築していき、クラウド上にパブリック情報やお客さま、パートナーと相関可能な基盤を構築し、新たな価値創出をめざします。


慎太郎

企業間でデータ連携をしたり、公的機関が提供するデータと連携が取れたら、研究開発やマーケティングでも、これまでにない結果を出せそうです。

DXとインフラの関係性


いずみ

DX化が進んでいくと、導入したアプリケーションは日々、形を変えていきます。しかし、こういったアプリの変化に対応できずに誤った運用をしてしまうことがよくあるんです。


慎太郎

導入して、はい終わり、という訳にはいかないですよね。むしろ導入してからが大事ってことですね。


いずみ

そうです。ステップを重ねている段階では、随所随所でアプリケーションを導入することになると思います。アプリが安定した動作やセキュリティ基準などを担保する基盤・土台が必要になるのはいうまでもありません。


慎太郎

せっかくインフラを刷新したのに、使いこなせなかったらDX化した意味がありませんから、正しく運用していくことが大事ですね。


いずみ

こういった変革は、変革それ自体が目的化してしまい、本来めざしていた目標や理想を達成できないことが多々あります。


慎太郎

さっきのDXとデジタライゼーションの話ですね。今の話を聞いて両者の違いがより分かりやすくなりました。


いずみ

DXを定着させるには、正しいインフラを正しく使うことが絶対条件と言えますね。


慎太郎

そこを無視してアプリケーションの刷新などしたら、逆に本来のプロセスを維持できなくなりそうです。


いずみ

なのでDXを推進するからには私たちもクライアントも常に変化するインフラに適応していかなければなりません。でも、それをちゃんとやっていけば、結果的に新しい価値を創造できるでしょう。

DXとインフラの関係性


慎太郎

そしたらDXファームの仕事は企業のクラウド導入がメインになる形ですか?


いずみ

いいえ、もちろんクラウド化は大事です。ただあくまでクラウド化はDXを進めるうえでの最初の一歩に過ぎません。クライアントの困っていること、課題を明らかにして、それをクラウドベースで解決していくのが私たちの仕事です。


慎太郎

クラウドでデータを処理したり、テレワーク環境を構築したり……


いずみ

今後、インターンとして私や他のパートナーさんが企業や自治体のコンサルティングをする際に慎太郎くんにも一緒に来てもらおうと思っています。一口にDXと言っても中身はさまざまです。ある企業では効果的だったソリューションが他の企業では通じなかったり。先ほども言ったように正しいインフラを正しく使って初めてDXを実現できます。一緒にDXの実現に向けて頑張っていきましょう。

まとめ

  • DXは目的、デジタライゼーションは手段
  • DX推進にはクラウドの活用が非常に重要である
  • 正しいインフラを正しく使うことでDXは実現できる

次回予告

今日は美咲さんからDXについてたくさん教わりました。次からは実際にお客さまに出向いてコンサルティングする現場を見させてもらいます。ソフトウェアベンダーの会社がオンプレミス環境のソフトウェアをクラウド化を検討されているそうです。今から楽しみですね。

  • * この物語は、筆者の見解をもとに構成されています。
    日立システムズの公式見解を示すものではありません。
  • * 文章中に記載された社名および製品名は各社の商標または登録商標です。
  • * 本内容は2022年2月時点での情報です。

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