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新年度を迎え、新卒入社の方々の研修が終わるころでしょうか。
間もなく新卒入社の方々も、初めての経費精算を迎えるかもしれません。
この全3回の連載は、経理担当者が新社会人の方に経費にまつわる教育をする際に、改めて必要な知識をインプットするために活用いただけます。連載の1回目では、そもそも経費とは何かから始まり、経費の企業活動全体の位置づけや基本的な科目について説明します。

そもそも「経費」とは?

さっそく「経費」の意味を見ていきましょう。経費は「経常費用(けいじょうひ・けいつねひ)」を意味し、通常事業活動を行う上で必要な費用のことを指します。

一般的に、一従業員が負担する経費は、出張の際の旅費交通費や交際費、会社の備品購入費などが当てはまります。事業活動に必要な費用を従業員が支払う場合に、毎月精算する必要があります。

なお、会計上は給料や福利厚生費、オフィスの家賃など、あらゆる費用が経費に含まれるということも覚えておきましょう。

期日までに確実に
経費を申請しなければならない理由

次に経費の申請について確認していきましょう。すでに経費精算業務を経験している社会人の中には、この経費精算業務に苦手意識を持っている方も多く見られます。その理由として「面倒」「時間がかかる」「科目がよくわからない」といったものが挙げられるでしょう。しかし当然のことながら、経費は期日までに確実に申請をする必要があります。その主な理由を挙げていきます。

月次決算により会社の健全な経営を実現

最も大事な理由は、企業全体の経費が月次決算に必要な情報であるためです。月次決算は、1年ごとの年次決算のように会社法で定められているわけではありませんが、会社の経営状態を正しく把握するために多くの企業が実施しています。

たとえ月の経費が1万円に満たなかったとしても、会社の経営状態を正しく把握するためには、毎月の支出を確実に管理する必要があります。各従業員は、期日までに確実に経費を申請することが、そうしたミッションを持つ経理部門の業務の助けとなることを理解する必要があるでしょう。また、個人で立て替えた経費があれば、当然申請しないと戻ってきませんので、期日までに申請したいところです。

経費は法人税にも大きく影響

もう一つ知っておきたい情報として、経費と法人税の関係について説明したいと思います。法人税額は、課税所得×法人税率-控除額で計算され、経費はこの控除の対象になっています。余計な税金を支払ってしまう事態を避けるためにも、正しい申請が必要なのです。なお、法人税の計算は年次決算に基づくため、各会社の年度末での申請が重要だと覚えておきましょう。

経費の勘定科目の種類を確認しよう

先ほど経費にはあらゆる費用が含まれると述べましたが、経費を申請する際には、使った費用ごとに、「勘定科目」を分けて申請する必要があります。勘定科目とは、どのような性質の支出なのかを、会社ごとにルール付けした分類を指します。

ここでは、一般的に使われる勘定科目の種類を一覧で記載します。

租税公課

税金や公共料金の支払い費用
荷造運賃 商品の包装材料費や荷造りのための賃金、運賃

※関係者やお客様へ商品を発送した際などに請求することがあります。

水道光熱費 水道料、電気料、ガス代、プロパンガスや灯油などの購入費
旅費交通費 電車賃、バス・タクシー代、航空運賃、宿泊費など移動に伴う費用

※国内・国外、近場・遠方を問わず、業務としての移動が伴った際に、交通機関の費用と宿泊代を請求します。

通信費 電話・FAX、インターネット、手紙など通信のために必要な費用

※電話やインターネットなどは会社が手続きすることがほとんどですが、手紙を出した際には切手代などを請求します。

広告宣伝費 広告やノベルティなど、商品やサービスの広告・宣伝に使う費用

※広告宣伝部門の場合、媒体への広告出稿費などを請求します。大口の支払いの場合は、経費ではなく会社からの支払いの場合がほとんどです。

接待交際費 取引先や得意先の接待費用、取引先などに対する中元、歳暮などの費用

※取引先の方と喫茶店で打ち合わせをした、会食をしたなどの場合に請求します。

損害保険料 火災保険料、自動車の損害保険料など
修繕費 店舗、自動車、機械、器具備品などの修理費用
消耗品費 文房具や用紙、ガソリンなどの消耗品、10万円以下のパソコンなど、10万円未満、もしくは使用可能期間が1年未満の消耗品を購入する際の費用

※ノートやペンといった文房具やパソコン周りの美品の購入、社用車へのガソリン支払いなどの際に請求します。

福利厚生費 従業員の健康保険、厚生年金、雇用保険などの保険料や掛金、または従業員の組織貢献度や勤労意欲の向上などを目的として利用した費用
雑費 他の経費に当てはまらない少額の費用

経費にまつわる罰則とペナルティー

最後に、経費に関連した罰則についても強調しておきましょう。仮に故意でなくとも、うっかりミスが大事になる可能性も否定できません。一から経費を学ぶこのタイミングで、しっかりと理解しておくことが大事です。

経費に不正があった際に個人が受ける可能性がある罰則とは

今日でも、まれに経費の不正流用に関するニュースが流れることがあります。ニュースになるほど大それた流用でなくとも、下記のようなケースは割と身近にあるかもしれません。

  • 実際の経路と異なる交通費を申請して差額をごまかす。
  • 家族や友人との食事を接待交際費として申請する。
  • 個人的に利用したタクシーの費用を申請する。
  • 領収書の金額を改ざんして水増し申請する。

どれも金額的には少ないかもしれませんが、これらが発覚した場合どうなるでしょうか。会社の規定によりますが、最悪の場合は懲戒処分、さらに悪質な場合は業務上横領という刑事罰に処される可能性もあります。また、領収書の改ざんは有印私文書変造罪(3月以上5年以下の懲役)という法律に抵触する可能性があります。

会社にも罰則が適用されることも

仮に経費を不正に申請して受理されたとします。その後会社が税務署に申告したときに、もし不自然な申告を疑われ税務調査が入った場合どうなるでしょう。この調査で「本来納めるべき税額を納めていない」と判断されると、以下のようなペナルティーが課される可能性があります。

過少申告加算税
本来の納付する税額より少ない額で申告した場合に課されるペナルティー。新たに納めることになった税金の10%相当額の支払いが発生する。
無申告加算税
納付すべき税額を納税していなかった場合に課されるペナルティー。納付すべき税額に対して、50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の割合を乗じて計算した額の支払いが発生する。
重加算税
過少申告加算税・無申告加算税が生じる際に、数字や帳簿に対して偽装や隠蔽(いんぺい)などを行った場合に課されるペナルティー。これらの場合、基礎となる税額に対し35%の税率で追加課税される

これらペナルティーにより、不必要な支出が発生するばかりか、もし外部に知られた場合には会社の評判をおとしめ、経営の悪化にまで影響を及ぼすこともあります。

経費の基本を抑えて
スマートに新社会人の一歩を踏み出しましょう

ここまで、新社会人にとって必要な経費の基本をまとめてきました。
まずは経費の意味、重要性を知ることが第一歩になります。
連載の2回目では、新社会人にとって経費にまつわるよくある質問をまとめて、回答していきます。

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