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「働き方改革」、今まさに真っただ中という企業も多いことでしょう。その一歩として現場で必要とされるのは労働生産性の向上ですが、実は日本の労働生産性はOECD加盟国34ヵ国中21位(2016年度/公益財団法人日本生産性本部調べ)、とりわけホワイトカラーの生産性の低さが指摘されています。一方で、社員サイドからすれば「業務量は減らないのに残業するなと言われる」と板挟みになるケースも。そこで本コラムでは4回にわたり、手軽に実践可能な事務仕事の時短テクニックを紹介します。

業務の属人化とは

「このやり方は〇〇さんに聞かないとね」「これは〇〇さんしかできない部分だから」―――こんな会話が行き交う職場は、少なくありません。特定の業務に長けたベテラン担当者がいることは悪いことではありませんが、その知識やスキルが引き継がれないまま、特定の担当者だけのものになってしまっている状態を、業務が属人化(個人商店化)しているといいます。

業務が属人化していても、日常的な仕事はこなせるので、短期的には問題はありません。けれども長期的にみると、担当者が抜けた場合には知識やスキルが消失するという大きな損害につながることもあります。また、業務の属人化を解消するには長期間を要するので、予め対策しておくことは必要不可欠です。

経理の業務において、属人化しやすいパターンをいくつか挙げてみました。経理の仕事には特定の知識が必要な場合が多く、担当者以外が見ても問題点を発見しづらい、“知識のブラックボックス化”が起こる恐れがあります。

① 地位キープパターン
年に1回など長期スパンで起こる決算や開示、予算編成といった業務に起こりやすく、ベテラン担当者のみが経験や知識を抱え込んでいる場合があります。ベテラン担当者は「自分にしかできないはず」と考え、知識を開示しないパターンがこれにあたります。これにより自分の地位を強固にするような意識もあり、業務内容がブラックボックス化しやすい上、業務のやり方が“その人流”になってしまっていることも少なくありません。

② 周りが遠慮パターン
知識が少ない担当者が、特定の業務からどうしても遠ざかってしまうことから起きるパターンです。高いスキルが必要なわけではなくても、頼れる人がいると自分が当事者になる意識を持ちづらいため、何年も特定の業務を敬遠したままで経過してしまうこともあります。

③ 人手不足・多忙パターン
数人のみで全業務を担当していて人手が足りない職場の場合、1つの業務が終わったら特に報告もせず、すぐ次に着手するという状況になりがちです。報告し合わないので問題の発見が遅れるだけでなく、経験のある業務をそれぞれがこなすことにとらわれ、誰かが欠けると業務が滞るという状態が予想されます。

部署の運営はうまくいっているように見えても、このようなパターンで知識のブラックボックス化は、職場の大小を問わず、どこにでも起きることだと考えられます。

属人化を防ぐのに必要なものとは

さて、属人化には大きな問題があることはわかりました。それでは、どのように解決するのがいいのでしょうか。

例えば、上記の①の場合は、ベテラン担当者が知識を共有すればいい。②は、知識のない人が学習すればいい。③は、人を増やせばいい…安直にこう考えてしまっていませんか。この考え方こそが、まさに属人化の始まりともいえるのです。

知識やスキルの共有が担当者の意思に委ねられる状況では、属人化した現状と何ら変化がありませんね。もともと、担当者の資質や考え方に関わらず、知識やスキルが共有できる環境が理想的のはず。けれども、ちょっとした個人の感情ひとつでも知識の教諭を阻害する要因となってしまいます。

イラスト①

このような状況を変えるには、担当者が誰であれ知識とスキルが共有される仕組み、システムが必要なのです。

知識財産の管理、ナレッジマネジメント

個人個人がもつ知識やスキル=「暗黙知」を「形式知」として共有し、組織にとってより高いレベルの知識を生み出すこと―――これをナレッジマネジメントといいます。要は、個人がもつ知識やスキルの優れたものを標準化し、会社のノウハウとするという考え方です。ノウハウは会社にとっては財産ともいえるもの。経営にとっても重要な要素です。

こちらが、ナレッジマネジメントの取り組みを表す図です。

イラスト②

AからDへの4段階で、個人の知識やスキルが表面化し、それを実践した試みを経て、新しい会社のノウハウとして定着していく様子を表しています。これをスパイラル状に繰り返していくことで、生きた知識が蓄積していきます。

まずファイリングのルールと意識改革

肝心となるのが、A→Bの部分である「暗黙知」を表面化させる作業です。ここに組織としてのルールを作り、個人の知識が文書として残るようにします。オーソドックスなのは業務報告書ですね。誰がどんな業務をどうこなしたのか、何が問題点だったのか、担当者が毎回残しておく必要があります。

また、その文書を誰でも閲覧できるよう管理し、ファイリングしておくことも必要です。第一回「書類作成のムダを減らす」の「情報のストックを一元化」で紹介したように、オンラインでストックしていくことがおすすめです。本店と支店、事務所と店舗といった離れた場所でも閲覧できる管理にすれば、情報共有の基盤づくりに役立ちます。

また、それ以外にも重要なのが担当者の意識改革です。多くの担当者たちは現状のままでも問題がないと感じているので、負担が増えるような作業を嫌がります。また、有能な担当者ほどより多くの暗黙知をもっているのに、忙しいため非協力的であることも多いようです。

そのため、現状の問題点の把握とナレッジマネジメントをすることのメリット、またこの改革が会社にとって重要事項であることを全担当者が理解することが大事なのです。一時的な取り組みとしてではなく、全社的な取り組みとして全員で意識できると効果的です。

イラスト③

洗い出された知識はマニュアル化し、そのマニュアルを広く拡散させることで、新しい成功事例として蓄積していきます。事例を発表する機会があれば、お互いの相乗効果を生み、また新しい成功事例につながるでしょう。

ルールが意識を変えた事例

ある会社では、業務の属人化を防ぐために、「山ごもり休暇制度」を取り入れています。1年に1度、全社員がそれぞれ会社との連絡を一切断つ9日間の連続休暇を取得するという制度です。9日間を1年のうちのどんな日程にするかは各個人で決めることができますが、一度決めたら基本的には変更はできないというのがルールです。

この制度の目的の1つはもちろん心身のリフレッシュですが、もう1つは定期的に引き継ぎ作業を行うことで、業務の属人化を排除すること。担当者同士でお互いの休暇期間を把握しあい、1~2週間かけて引き継ぎをしていきます。この制度が浸透するにつれ、担当者同士で日頃から他の人の業務に気を配るようになるなど、意識にも変化が生まれたのだといいます。

引き継ぎの方法も、全社統一の引き継ぎフォーマットを使用したり、休暇に入る前にはリマインド通知をするなど、マニュアル化。それが新しい知識として、社内で定着し、育児休暇などの休暇制度の取得率も上がったのだそうです。

ただでさえ忙しい日々なのにわざわざ引き継ぎ作業を発生させるということは、一見非効率的のようですが、長期的に見れば、誰が担当しても同じクオリティで業務を行える体制を作ることができ、逆に休暇などで自分にしかできない時間の使い方もできるようになる、ということかもしれません。

業務の属人化を防ぐには、個人の考えだけではあまりよい効果が生み出せません。部署や会社全体など、できるだけ多くの人がナレッジマネジメントのメリットを理解し、行動していくことがいい効果につながります。ぜひ意見を出し合って、考えてみましょう。次回は最終回、過剰サービスを防ぐという観点でお話します。

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