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「全ての原点は在庫!在庫の動きをリアルに捉える実践的な仕組み作り」

失敗事例から学ぶ基幹システム構築講座 「システム企画」編

2013年4月、「TENSUITE」は、日立 製造・流通業向け基幹業務ソリューション「FutureStage」に統合しました。
※本コラムに記載の商品情報は初掲載時のものです。

全ての原点は在庫

(企画2)
「全ての原点は在庫!在庫の動きをリアルに捉える実践的な仕組み作り」
基幹システムを有効に機能させるための大前提である「正確な在庫情報」。 しかしこの「正確な在庫」の維持に多くのユーザーが頭を悩ませています。 今回は、在庫の動きをリアルに捉えるための実践的な仕組みづくりについて解説します。
(2010/4/26)
筆者:(IT コンサルタント)石田 富士夫

在庫情報の入力システムの実践的な仕組み作り

A社は基幹システムを一新することを計画しています。 その背景は、従来2週間あった納入リードタイムが1週間に短縮されたことにあります。 製品や部材、更に仕掛り在庫の状態を正確に把握し、在庫コントロールする必要から、販売生産業務全体に見直しが求められ、基幹システムを再構築することになりました。 従来のシステムの運用では、週次の生産計画の調整に向けて在庫情報をあわせていく運用でしたが、リードタイム圧縮により、部材の入荷予定、製品の出荷予定の変化、生産の進捗状況に応じて日ごとの生産調整を行っていく運用にレベルアップする計画です。
このため生産進捗情報や在庫情報をリアルタイムに基幹システムに取り込める入力システムが必須となりました。 精度が高くリアルにデータをインプットするという要件を満たすためには従来の伝票を見て画面からインプットする方式では限界があります。 自動化、機械化には初期投資がかかりますが、今後のお客さまの要請に応える基盤を作る意味で、経営的判断のもと、入力システムの自動化・機械化に取り組むことになりました。 計画概要は次の通りです。

業務別の新インプットシステム概要

入力の省力化、自動化の技術はバーコード入力、ハンディターミナル、ICタグの利用等があります。 バーコードに比べてICタグはまだコスト高ですが、情報量は多く持てることと、タグに更新をかけられるというメリットがあります。 今回の計画では、製品の生産手配と実績管理にはICタグを採用し、点数の多い部材の管理には無線ハンディターミナルを使用したバーコードシステムとしました。 それぞれの業務での使い方は以下の通りです。

  • (1)部材の受入(入庫)時のデータ入力
    • 注文書をターンアラウンド伝票とし、自社のバーコードつき納品書で納入を受付け、発注残(入庫予定)を消し込み、部材在庫へ入庫させる。
    • 入庫ロット番号をシステムから付与し、現品票を発行し、現品に添付し保管する。 (現品票に品目コード、ロット番号、数量をバーコード印字)
    • 荷受現場での作業性を考慮し、無線ハンディターミナルでのリアルタイム入力と携帯プリンターからの現品票発行を行う。

部材の受入(入庫)時のデータ入力

  • (2)部材の出庫
    • 生産手配単位に部材の出庫票を工程別に発行し生産手配番号と品目コードをバーコード印字とする。
    • 部材出庫時に現品票と出庫伝票の品目をチェックし誤出庫を防止する。 また現品票の数量を読み取り、数量の過度な入力誤りを防止する。
    • 生産手配番号により部材の使用予定を落し、部材を棚在庫から仕掛在庫に移動する。
    • 無線ハンディターミナルを使用し、リアルタイム入力を行う。

部材の出庫

  • (3)製品の生産実績入力
    • 生産手配票をICタグ化し、生産手配番号、品目コード、手配数量、工程別納期、検査項目、作業コメントをタグに記録して製造手配する。
    • 各工程では生産手配票のICタグを端末で読み取り、最新の手配納期と使用部材状況を基幹システムから受け取り、着手可能かの判断を可能とする。
    • 作業完成時にICタグを読み込み、完成数、不良数を入力し、基幹システムの在庫を更新する。 また、検査工程では検査項目毎の検査結果をタグに記録する。
    • 検査結果は、生産完了時に一括して品質記録として基幹システムに取込み保管する。
    • 生産手配タグは製品に添付して倉庫に保管し、出荷時のピッキング、検品に活用する。

製品の生産実績入力

  • (4)出荷ピッキング
    • 出荷指示書の出荷指示番号(バーコード)により、基幹システムから出荷指示の明細情報を取り出し、出荷する品目のピッキングを行う。
    • ピッキングした品目の品目間違いが無いか、出荷指示品目コードと現品のICタグの品目コードとを照合しチェックを行う。
    • 出荷したロット情報をICタグから読み取り、出荷ラベルを発行し現品に添付する。
    • また、基幹システムに出荷ロット情報を記録してトレーサビリティを確保する。
    • ICタグは出荷時点で取り外し、繰り返し使用する。

出荷ピッキング

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