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株式会社 日立システムズ

Part3 「日立システムズが強化すべきCSR活動」とは

取り組み(3) グローバルなサプライチェーンの一員として、その責任の重さを再確認する

小河  引き続きもう1点、グローバルな観点でのCSRについてもコメントをいただきたいと思います。今まさにグローバル化を強化しつつある日立システムズが今後どのようなことに配慮しなければならないか、どう貢献していくべきかについてお話いただけますか。

(株)日本総合研究所 理事 ESGリサーチセンター長 足達 英一郎様

足達  一般の製造業のグローバル化がおそらく製品輸出から始まるのと対照的に、IT企業の場合は、生産拠点のオフショア化、生産の外部委託からグローバル化していくのが最初ではないかと思います。そうした中でCSR的にまずテーマになってくるのが人事・労務問題です。つい先日もある企業のインドの工場で大きな労働争議がありましたが、どこまでを任せて、どこまでを束ねるかという話など、非常に難しい問題があります。ある意味では同じ価値観を暗黙で共有できないことを前提に、どのように統治していくのか。例えば食堂のメニュー1つでも、宗教などに配慮できているか、それを人権問題として位置づけることができるかどうかが問われます。
また、次の段階では、海外のお客さまと付き合うことになります。最初は日系企業かもしれませんけれども、基本的には海外のお客さまのサプライチェーンの中に組み込まれることになる。するとますます人権に配慮する必要が出てくるわけです。海外では、仕入先であれ、納入先であれ、サプライチェーンにつながる取引先が何か問題を起こした場合は自社が非難される場合があります。そんな観点からデューデリジェンスの強化が必要なのですが、誰と付き合うのか、取引していいのかどうか。海外の事業を拡大する戦略の中で、従業員の処遇に関する部分、お客さまを獲得するところのCSRの配慮という部分で、これはすべての日本企業がうまくいっているとは決して申し上げませんが、そういう課題に直面していかれることになろうと思いますので、ぜひ配慮をしていただければと思います。

小河  関さん、いかがでしょうか。

  「国連グローバル・コンパクト」という世界最大のCSRのイニシアティブの署名機関は9,000を超えています。スタートしたのは2000年ですから、12年でゼロからここまで増えたわけです。要は企業が、国連においてもプレゼンスを示すようになってきたということです。リオ+20においても、グローバル・コンパクト主催の会議には4日間で2,700人ぐらいが参加し、120のセッションが行われるなど、大変盛り上がり、中身の濃い熱い議論が交わされました。これは何を意味するかというと、シンプルにいうと国連中心の課題解決が難しくなっていく中で、企業が主導する取り組みが非常に重要な時代になっているということだと思います。この10年間でCSRは世界中に広まりました。またISO26000が策定されたことで、これからもどんどん広がっていくと思われます。企業の好事例も次々と出てきて、課題解決の事例もたくさんある。そうした中、これからグローバルに事業展開していく上で、ぜひグローバルなCSRの潮流、あるいは重点課題を知り、またグローバル・コンパクトのようなイニシアティブにも関わっていっていただければと思います。すでに日立製作所さんは、WBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)の中心メンバーとして参画されていますから、御社も世界の産業界の動きと何らかの関わりを持ちやすい立場にいらっしゃると思います。ぜひ世界の企業がどんなふうに取り組んでいるのかを見ながら、そこに参加していただければと思います。

ダイアログの様子

小塚  グローバルなCSRの推進に関しては、まだまだ始まったばかりで、未着手の事柄も少なくありません。また、海外のお客さまが反社会的な存在かどうかなどの確認は行っていますが、サプライチェーンや人権といった観点からのチェックは徹底されておらず、すべての取り引きにそうした時代感覚を反映させなければいけないと痛感しております。また、こうした課題は日立グループ全体の取り組みの中で考えていきたいと思います。
加えて、我々がなすべきIT系のサービスや、それからグローバルなイニシアティブへ参加する必要性についてもご指摘いただきました。ぜひ今後の活動の中で参考にさせていただきたいと思います。

ステークホルダー・ダイアログを終えて

小河  本日は皆さま、お忙しい中お集まりいただきありがとうございました。それでは最後に、藤井さん、小塚さんより、ご感想や気付きなどがございましたらお願いします。

藤井  今回のステークホルダー・ダイアログは、間もなく合併新会社として1年を迎える当社にふさわしい、今後CSRをどう展開していくべきかという観点から、いろいろ有益なアドバイスを頂戴することができました。本年4月からはいよいよ両社の組織が融合して新しい経営計画に沿った取り組みが動き始めていますが、「新会社として何を目指すべきか」という日立システムズWayを基本とした当社のCSRへのトップダウン的アプローチを、今後は若い従業員の声も聞きながら、よりボトムアップのかたちで進めていく必要があると思いました。そして、本音と建前が別々にならないよう十分な議論を尽くしながら、CSR活動を経営戦略の柱として、企業理念やビジョンを実現していくための推進力として活用していきたいと思います。

小塚  日立グループで長く勤めており、企業経営の考え方についてはだんだん考え方が硬直化している面があると自覚していたのですが、本日、外部有識者様の多様な意見をお聞して、改めて「CSR活動」が今後の大きな経営テーマであることを認識した次第です。中でも、CSR浸透策の中で「百聞は一見にしかず」という取り組みを教えていただきましたが、日立グループでは現場・現物・現実を重視する「三現主義」という考え方が浸透しており、当社らしくCSRを推進していく上での大きな指針になると思いました。

日立システムズは、システムのコンサルティングから構築、導入、運用、そして保守まで、ITライフサイクルの全領域をカバーした真のワンストップサービスを提供します。