「お客さまの立場で物事を考えるIT企業」として、
コンタクトセンター新設などを通じて“被災地の皆さまとの成長”を目指す。
小河 「日立システムズらしいCSR」を進めていくための、3つめの観点についてお話しいただけますか。
佐伯 3つめは、ITを用いた社会支援に関する取り組みをいかに継続的に実施していくかという観点です。たとえば昨年3月11日に発生した東日本大震災の復興に関する取り組みがあります。
小河 復興支援についてはCSR報告書などでもいろいろな取り組みが紹介されていますが、どのようなことを重視したのでしょうか。
吉田 当社は常にお客さまの近くで、お客さまの立場で物事を考え、自主的に取り組んでおり、お客様のITシステムを支えていくんだという使命感を持っています。そこで震災復興にあたっては、全国から従業員が集まり2,800件におよぶお客さまのITシステムの復旧に取り組むとともに、クラウド型のデータ保管サービスや各種のITシステムの無償提供を進めていきました。こうしたお客さま起点での取り組みが基本としてあります。
加えて、当社は事業継続や災害対策ソリューションに注力してきたこともあり、今後はこうしたサービスをより強化していく計画です。また、災害に備えるシステムのアイデアを全国の学生の皆さんから募集する「think311.jp」というキャンペーンも実施しました。
小河 「think311.jp」は幅広い社会インフラを支えるIT企業らしい取り組みで、応募者も400名を超えたようですね。ところで、この春に福島県郡山市にコンタクトセンターを開設しましたね。
(株)日立システムズ
CSR本部 副本部長
佐伯 寿之
佐伯 2012年4月にオープンしました。日立システムズの発足後、被災地が復旧・復興と進む中で我々に何ができるのか、また継続的に活動していくためには本業の強化という観点も必要という考えから、現地に雇用を生み出し、かつ顧客満足度も高まるコンタクトセンターを開設することにしたのです。
小塚 従業員20名、全員が地元採用です。開所式に参加しましたが、近隣にご在住の方や、震災後に別のところに避難されていて、今回を機に戻られた方、いろいろおられますが、全員、気持ちは故郷といいますか、生まれ育った地域に貢献したい、地域に根ざして仕事がしたいという熱い思いを持った方ばかりです。現時点でのキャパシティがあり20名とさせていただきましたが、今後はさらに業容を拡大し、3年後には300名規模にしていく計画です。
足達 すばらしい取り組みだと思って聞いておりました。最近、学生の就職観を長年にわたって調査している会社の報告を読んだのですが、「あなたにとって就職とは何ですか」などの抽象度が高い設問の回答トレンドを見ていますと、明確に右肩上がりになっているのが「人のためになる仕事をしたい」という回答です。こうした気持ちがどういうふうに今の企業社会、特に大企業の中で受け止められ、実現されているのだろうかという問いは、CSRの取り組みを考える際の一つのヒントだろうと私は思っています。その点、今お聞きした取り組みは、全国各地の従業員も郡山コンタクトセンターの従業員も、またキャンペーンに参加した多くの学生さんも大きなやりがいを感じられるものになっているのではないかと思いました。もちろん、支援以外の日常業務でもそうしたやりがいを感じることが前提ですが、日立システムズさんの場合、「常にお客さまの近くで」という言葉が象徴しているように、まさに人のためになることを実感できる世界、そこを目指すのだということをはっきりと表明されています。ですから、被災地支援に限らず、こんなふうに役立てた、こんなふうに喜んでもらったという話を、もっともっとレポートなどでアピールされてもいいのではないかと思います。
日立システムズは、システムのコンサルティングから構築、導入、運用、そして保守まで、ITライフサイクルの全領域をカバーした真のワンストップサービスを提供します。