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株式会社 日立システムズ

Part2 「日立システムズらしいCSR」を推進していくために

視点(1) 日立システムズWayの構築・浸透

「日立システムズWay」の浸透を通じて、従業員の行動と価値観のベクトルを合わせ、CSRを実践レベルにまで引き上げていく。

小河  「人とITの力で真に豊かな社会を目指す」という基本的な考え方を打ち出すと同時に、「日立システムズらしいCSR」に関する議論も進めていったのですね。

吉田  これに関しては、合併前の2社の状況も踏まえ、3つの視点から活動を進めてきました。
まず1つめは、「日立システムズWay」の構築と浸透です。新会社を円滑に発足させ、かつシナジー効果を創出していくためには、従業員一人ひとりの行動や価値観のベクトルをビジョンの実現に向けて合わせていく必要があります。そのために、会社が発足した10月に「企業理念」と「経営ビジョン」と併せて、「日立システムズWay」を発表しました。その中の行動指針では、最初に「優れたサービスで社会の発展に貢献します」と宣言するなど、当社のCSRの基本的な部分も含めた従業員の行動のよりどころを明文化しています。事業展開に関しても、またCSRに関する取り組みについても、あらゆる事柄を従業員の意思と発想で、いわば従業員起点で考え始めるような経営モデルを目指しています。

(株)日立システムズ 取締役 常務執行役員 (人事総務本部、人財教育本部副本部長) 藤井 宏豊
(株)日立システムズ
取締役 常務執行役員
(人事総務本部、人財教育本部副本部長)

藤井 宏豊

藤井  やはり新会社は「何を目指す会社」なのかというビジョンを最初に規定しないと従業員一同どこに向かって行っていいのかということになります。そこで私どもは、会社がステークホルダーとともに進むべき方向を規定する、あるいは従業員の気持ちを一つにすることを重視して「日立システムズWay」の策定を進めた訳です。

小河  「日立システムズWay」という軸を設けて、CSR活動を含む従業員の行動のベクトルをそろえることに注力したというお話ですね。ただ、言葉でベクトルを合わせるといっても、実際には大変難しいことだと思います。損保ジャパンの関さん、ご自身のご経験も踏まえて、いかがでしょうか。

(株)損害保険ジャパン 理事 CSR統括部長 関 正雄様
(株)損害保険ジャパン 理事
CSR統括部長
関 正雄様

  損保ジャパンは、同じNJSKグループの日本興亜と2年後に合併することを発表しており、現在、私どもではその準備をしています。新会社としてどういう理念で経営をしていくのか、そのために何が必要か、当然そこにCSRという要素もあり、CSR部門をはじめいろいろな部署で議論をしています。そうすると、同じ保険会社であっても、考え方や取り組み内容などお互いに異なる要素がありますから、そこは当然ながら徹底的に議論するようにしています。その時に何をよりどころにしているかというと、やはり会社としての新しい企業ビジョンなんですね。ビジョンを実現する上で、何が良いことなのか、そうでないのか。徹底的に議論することで、CSR活動に関しても、事業とは別の切り離されたものであったり付け足しでやったりするものではなく、それぞれの事業の中に、大きくいえば戦略の中に組み込まれていくのだと思います。そういう意味で、日立システムズさんが理念やビジョンを明確にすると同時に従業員の主体的な行動をベースにした行動指針を策定されたのは、現場での議論を活性化させるという意味で大変有意義なことだと思います。

藤井  当社でも、半年間の準備段階では、幹部や従業員が業務プロセスごとにワーキンググループを結成して制度やシステム、運用ルールの統一を図りました。ただ、そうした実務面の統合はできても、個々の従業員の業務遂行課程においてCSRを日常の実践レベルにまで浸透させていくためには、「日立システムズWay」の浸透策を継続的に実施していかなければならないと考えています。「日立システムズWay」も含めて、CSR活動の浸透策の工夫について参考になるようなご経験があればお聞かせいただけますか。

  いろいろあると思います。第一線の従業員の意識を高めるという意味では、私どももいろいろな形で研修を実施していますが、中でも新しい気付きを促すような機会をできるだけたくさんつくるように努めています。
1つの方法論として、我々が特に意識してやっているのは、社会のいろいろな問題に触れる機会をつくることです。具体的にいうとNPO、NGO、市民セクターの方々との接点を、できるだけ増やしていくことです。多くのNPO、NGOには、社会課題にいち早く気がついて、それを何とか自分たちで解決しようとしている方たちがいますが、従業員は残念ながらふだんそういう方々と接する機会があまりありません。何らかの機会を通じてそうした方々の問題意識や解決へのアプローチを知ることは、実践的なCSR行動につながるという意味で有意義ではないかと思っています。そうした観点から考えると、経営層の意識向上、認識を高めてもらうことも不可欠だと思います。損保ジャパンでは幸い、経営層が社会的責任に関する国際規格であるISO26000を世界的な潮流として受け止めており、高い関心を寄せています。そこで、役員会で時間をもらって勉強会を開催したり、社長とも個別に話し合う時間を持つなどしました。組織にCSRを定着させていくためには、第一線の従業員の意識、行動をいかに高めていくかという問題と、役員クラスの理解、認識、行動の両方をやっていかないといけないと思います。

小河  足達さん、CSRの推進という観点からいかがでしょうか。

(株)日本総合研究所 理事 ESGリサーチセンター長 足達 英一郎様
(株)日本総合研究所 理事
ESGリサーチセンター長

足達 英一郎様

足達  先ほど関さんがNPO、NGOの方々と接することの意義をお話されましたが、私もそうした現場を知る機会は非常に重要だと思います。英国の事例で恐縮ですが、「Business in the Community」という団体があり、「Seeing is Believing(百聞は一見にしかず)」というプログラムを実施しています。これは例えば孤児院で1日体験をする、ドラッグ中毒の人が更生している現場に立ち合うなど、ふだん会社勤めをしているとまず出会うことのない場面を体験するプログラムで、日本でも経済同友会が企業経営者を対象に活動を展開しています。そういう機会をどんどんつくっていってほしいということで、お話させていただきました。

日立システムズは、システムのコンサルティングから構築、導入、運用、そして保守まで、ITライフサイクルの全領域をカバーした真のワンストップサービスを提供します。