ページの本文へ

Hitachi
お問い合わせお問い合わせ
株式会社 日立システムズ

専門家コラム:
withコロナ、afterコロナに働く私たちのボディとメンタルの整え方 ~リモートワークで身体とメンタルの健康を維持した新しい働き方とは~

【第1回】ボディ・メンタルヘルス、略してボディ・メンのすゝめ

武道に“居つく”という言葉があります。
文字通り稽古中に足が床板について自由に動けない状態とされ、それは大きな隙であり、相手にとっては逃してはならぬ好機であります。
くしくも、居つくことからの脱却を余儀なくされた新型コロナウィルスによるリモートワークの奨励。
しかし、今度はリモートワークで社員が不健康な状態に居ついてしまう。これではこの変化の好機を逃す機会損失となってしまい、企業にとっても大きな損失です。

ではどうしたら良いか。本稿では、ボディヘルスとメンタルヘルスを別のものと考えず、切っても切れない一心同体のものと考え、「ボディ・メンタルヘルス」略して“ボディ・メン”として、その効果や具体的な方法について論じます。

ボディ・メンの基本は、“姿勢”です。これは、いわゆる体の姿勢“posture”
そう、小学校の頃先生からよく言われた「姿勢が悪い!!姿勢を正して!!」のあの姿勢ですが、それだけでなく当然、精神的な姿勢“attitude”物事に向き合う時の態度でもあります。
今回はボディ・メンの基本であるこの姿勢について見ていきます

日本では、働き方改革が進められるなど、ワーク・ライフ・バランスへの注目がこれまで以上に高まっています。では、ワーク・ライフ・バランスは私たちの健康や生産性に対して、どのようにして影響を及ぼすのでしょうか?

まずは、悪い例から。つまり悪い姿勢がもたらす損失についてです。それは、悪い姿勢の代表格“座ったままでいること”から説明できます。
イギリスは世界一早く、2011年に座りすぎのガイドライン(英国身体活動指針)を発表。その後、世界各国で座りすぎが健康に悪影響を及ぼすとの研究が相次いで発表されてきました。
オーストラリアで行われた22万人規模の調査では、一日11時間以上座っていると死亡リスクが40%高まるとの結果が明らかになったと言われています。
主なリスクとしては心血管疾患や糖尿病、一部のガンなどが引き起こされると報告されていますが、メンタルに与える影響も計り知れないことは言うまでもありません。
一日12時間以上座っている人は6時間未満の人と比べて、メンタルヘルスの悪い人が3倍も多いという調査もあるくらいです。
そして、日本人の座位行動時間は世界の中でも一日420分(7時間)と最長に近いのです。
もちろん、座位時間を減らすことを目的にした介入やプログラムは盛んです。企業によっては、時々立位での運動を取り入れたり、スタンディングデスクを導入している所もあるでしょう。
しかし、職員の皆さんは本当にメリットを感じて行っているでしょうか。そもそも、管理職の方がドテッと椅子に座っているのではないでしょうか。
解決にあたって何万円もするスタンディングデスクを買う必要はありません。企業や自宅であればパソコンを上に載せられるラック(私は3000円程度で買いました)を用いることや、土台を底上げして板を乗せる程度でも十分に整えられます(私は100円均一ショップで買った発泡スチロールブロックを使いました)。

著者の例:職場(左)と自宅(右)
著者の例:職場(左)と自宅(右)

ひとの習慣を変えることは大変な作業です。何か外的な強い圧力が必要です。そこで『今』でしょ。
新型コロナウィルスによって在宅リモートワークをすることが当たり前になりました。習慣を変えるチャンスです。しかも自宅であれば、工夫次第で安価で理想の環境を自分勝手に作ることができます。
もちろんその目的はボディ・メンです。立った姿勢で仕事をすることが体にとっても心にとっても良いことは座った姿勢との比較を見れば明らかですが、もっと良いことがあります。
それは外界の捉え方が変わる、ということです。
私は昔、祖母から「背中をシャンとして歩け」と口酸っぱく言われて育ちました。そう言っていた祖母は若い頃膝を悪くして足を引きずっていましたが、たまに立ち止まり、スッと姿勢を正していました。
祖母は自分の軸をしっかり持ち、やりたいことはやる、やりたくないことはやらない、がハッキリしている大正生まれの女性でした。

外界の捉え方が変わる、とはどういうことでしょうか。
すこし抽象的な表現になりますが、それは自分が活動する上で中軸となる自分の軸“自体軸”ができるからだと言われています。
自分自身の存在と活動の基軸であり、その三次元の座標軸において外界の環境を捉えることができるようになります。
恐らく、二足歩行になった人間が重力に抗して立って世界を見渡せるようになったことは、我々の進化に多大な影響を与えたことでしょう。
「人間は考える葦である」とパスカルは言いましたが、嵐がきても踏みつけられても、見かけは倒れたかに見えても、この自体軸があることによってわれわれは常にセンターに身を置くことができます。
その結果、自分にとって正しい選択や生き方ができると考えます。
その自体軸を作る強力な技がボディ・メンの基本となる“姿勢”です。

次回は、その姿勢をどうやって作っていったら良いか、について考えます。

参考文献
UK Chief Medical Officers’ Guidelines 2011
Scand J. Work Environ Health 2015 41(6),519-528
Hidde P. van der Ploeg, PhD etal. 2012 Sitting Time and All-Cause Mortality Risk in 222 497
Australian Adults ARCH INTERN MED,172(6)
岡ら 2013 座位行動の科学, 日本健康教育学会誌,21(2)
柴田ら 2014 成人を対象にした座位時間を減らすための介入研究のシステマティックレビュー,運動疫学研究,16(1)
成瀬悟策 1998 姿勢のふしぎ 講談社

  • ※ コラムは筆者の個人的見解であり、日立システムズの公式見解を示すものではありません。

健康経営・リモートワークにお役立ちのサービス

健康経営

リモートワーク

メールマガジン

最新のイベント情報、商品情報など、お役立ち情報をご紹介するメールマガジンをお送りしております。

メールマガジン登録

  • 日立システムズFacebook 公式アカウント

データセンター紹介ページへ

データセンター紹介
ゆるぎない信頼のパートナー 日立のデータセンター

日立システムズの
Microsoftソリューション
Microsoftとの力強い協力体制で、お客さまのソリューションを支えます。

日立システムズは、システムのコンサルティングから構築、導入、運用、そして保守まで、ITライフサイクルの全領域をカバーした真のワンストップサービスを提供します。