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日立システムズ 総合経費管理システム Traveler'sWAN

第1回【法律篇】
「e-文書対応」まずはこの法律をチェック

領収証のスキャナ保存をはじめとする「e-文書対応」をご検討中の企業さまへ

2005年e-文書法施行に伴い、通称「電子帳簿保存法」※1が改正され、領収書・請求書・契約書など、日常業務に関係の深い国税関係書類のスキャナ保存が認められるようになりました。

e-文書対応のイメージ

この改正により、たとえば経費精算では、経費精算終了後も紙のまま保存しておく必要のあった領収書をスキャンデータとして保存することが可能となりました。また、2015年のスキャナ保存制度改正により、スキャナ保存の対象となる書類の範囲が広がったこと、さらには2016年の税制改正で、スマホやデジカメで撮影した領収書や請求書の画像保存も認められたことで(2016年9月30日以後に行う承認申請について適用)、多くの企業が国税関係書類のスキャナ保存に注目しています。

改正電子帳簿保存法スキャナ保存制度は、すでに2016年1月1日より適用がスタートしており、いち早くスキャナ保存を業務に組み込んでいる企業もあります。しかしその一方で、実際の運用負荷や、費用対効果を検証しないままスキャナ保存の導入計画を進めてしまった結果、計画が途中で頓挫してしまったという企業が多いのも実情です。

そこで本コラムでは、”電子帳簿保存法に対応した国税関係書類の電子化”を「e-文書対応」と名付け、その中でも特に”国税関係書類のスキャナ保存“に焦点をあてながら、留意すべきポイントについて解説をしたいと思います。e-文書対応に向けた、入門的なガイダンスとして読んでいただければ幸いです。

  • ※1:正式名称「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」(平成10年法律第25号)

参照すべき法律は
「e-文書法」ではなく「電子帳簿保存法」

第1回目の今回は、e-文書対応の前提となっている法律関係の理解から進めていきたいと思います。e-文書対応に関する法律で混同されやすいのが、通称「e-文書法」※2と電子帳簿保存法の2つです。まずはe-文書法と、電子帳簿保存法の違いについてご説明します。

「e-文書法」ではなく「電子帳簿保存法」相違のイメージ

e-文書法とは、法令により紙での保存が義務付けられていたさまざまな書類のを一括して認めた法律です。その対象範囲は、広範囲にわたるもので、当時251本の法律に対して横断的に適用されるのがe-文書法なのです。

しかし、e-文書法は文書の電子化にあたっての基本的要件は規定しているものの、各法律で取り扱う書類ごとの具体的な電子化要件までは規定していません。国税関係書類の電子化については、税法および電子帳簿保存法に具体的な規定が記されています。つまり、e-文書対応を検討されている企業担当者さまは、e-文書法ではなく、電子帳簿保存法の内容を理解しなければならないのです。

ソフトウェアメーカーが、国税関係書類の電子保存/スキャナ保存を指してe-文書対応と呼んでいるケースが多いため、その前提となっている法律は、「名称の似ているe-文書法ではないか?」という誤解が多く生まれています。e-文書法は「電子を広く認めている横断的な法律」だということをご理解ください。

  • ※2「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律」(平成16年法律第149号)と「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(平成16年法律第150号)の総称。

「電子帳簿保存法」の主な構成

電子帳簿保存法は、2005年改正ですでに国税関係書類のスキャナ保存を認めていましたが、この頃は一部の対象書類に金額上限があったり、また、電子署名などの条件が厳しかったこともあり、e-文書対応を行う企業は限定的でした。

その後、2015年スキャナ保存制度改正により、ほぼすべての国税関係書類のスキャナ保存が可能となり、電子署名が不要になるなど規制が大幅に緩和されたことで、企業がe-文書対応に取り組むことがより現実的になったのです。

電子帳簿保存法の構成
関係法令通達等
  • 電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律
  • 電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則
告示
  • 電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則第3条第6項の規定に基づき、同項に規定する国税庁長官が定める書類を定める件の一部を改正する件(国税庁告示第4号)(平成28年3月30日)
  • 電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則第三条第五項第四号ニに規定する国税庁長官が定めるところを定める件の一部を改正する件(国税庁告示第11号)(平成27年7月3日)
  • 電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則第3条第6項に規定する国税庁長官が定める書類を定める件の一部を改正する件(国税庁告示第22号)(平成25年12月25日)
  • 電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則第3条第6項に規定する国税庁長官が定める書類を定める件の一部を改正する件(国税庁告示第10号)(平成24年3月28日)
  • 電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則第三条第六項に規定する国税庁長官が定める書類を定める件(国税庁告示第4号)(平成17年1月31日)
  • 電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則第三条第五項第四号ニに規定する国税庁長官が定めるところを定める件(国税庁告示第3号)(平成17年1月31日)
電子帳簿保存法取扱通達
  • 電子帳簿保存法取扱通達(平成28年9月30日以後申請分)
  • 電子帳簿保存法取扱通達(平成27年9月30日以後申請分)
  • 電子帳簿保存法取扱通達(平成27年9月30日前申請分)
電子帳簿保存法取扱通達解説(趣旨説明)
  • 平成28年6月30日付課総10-15ほか7課共同「『電子帳簿保存法取扱通達の制定について』の一部改正について」(法令解釈通達)等の趣旨説明について
  • 平成27年7月3日付課総9-8ほか8課共同「『電子帳簿保存法取扱通達の制定について』の一部改正について」(法令解釈通達)等の趣旨説明について
  • 平成17年2月28日付課総4-5ほか8課共同「『電子帳簿保存法取扱通達の制定について』の一部改正について」(法令解釈通達)等の趣旨説明について
  • 平成10年5月28日付課法5-4ほか6課共同「電子帳簿保存法取扱通達の制定について」(法令解釈通達)等の趣旨説明について
電子帳簿保存法Q&A
  • 電子帳簿保存法Q&A(平成28年9月30日以後の承認申請対応分)
  • 電子帳簿保存法Q&A(平成27年9月30日以後の承認申請対応分)
  • 電子帳簿保存法Q&A(平成27年9月30日前の承認申請対応分)

引用元:国税庁ホームページ

国税庁 関係法令集等

国税庁 電子帳簿保存法Q&A

電子帳簿保存法の主な構成は上記の通りです。電子帳簿保存法は本法と施行規則以外にも、電子帳簿保存法取扱通達、その通達の趣旨説明、さらにQ&Aまで発表されています。Q&Aでは、スマートフォンやデジタルカメラ等を使用した書類の読み取りなど、運用上のさまざまな疑問に答えています。

一般に法律とは本法と施行規則を指し、それ以外には法的拘束力はないとする見方もあります。しかし、税務調査側は、通達、通達の趣旨説明、Q&Aの内容も含めて企業側の運用を見る前提となっています。思わぬ税法違反とならないよう、細部までしっかりと内容を把握することが求められています。

e-文書対応自体が“目的化”すると
思わぬ非効率が生まれてしまう

ここまでe-文書対応の前提となっている法律についてご説明をしましたが、あわせて、e-文書対応検討中の企業さまにぜひ知っておいていただきたいのが、e-文書対応にかかる「コスト」についてです。

e-文書対応自体が“目的化”すると思わぬ非効率が生まれてしまうイメージ

「国税関係書類のスキャナ保存により、コスト削減を実現したい」という意向を持つ企業さまは非常に多いです。しかし、これまでに国税関係書類のスキャニングを実施していた企業さまは別として、これから新しくスキャナ保存を始めるという場合には、運用の手間が一つ増えることになり、コスト削減どころかコスト増大という結果にもなりかねません。

そこで私が提案したいのが、e-文書対応の導入検討を、単純なペーパーレス化だけでなく、会社の業務プロセス見直しのきっかけにされてはいかがでしょうか、ということです。たとえば、経費精算プロセスにおいて、紙の台紙に領収書を貼り付け経理部に郵送しているような企業さまは、ワークフローシステムと領収書のスキャナ保存を組み合わせることで、大幅な業務効率化が期待できます。既存業務プロセス見直しの一環としてe-文書対応を組み込むことができれば、費用対効果がより出やすくなるのです。

e-文書対応を検討中の企業さまにおかれましては、e-文書対応それ自体を目的とするのではなく、業務効率化を達成するための手段としてe-文書対応をうまく活用していただければと思います。「e-文書対応によるペーパーレス化」という耳障りのよい言葉に惑わされ、費用対効果の事前検証がないまま実現に向けて動きだすと、思わぬ非効率やコスト増大という結果になることもあるので注意が必要です。

【執筆者】

アマノビジネスソリューション株式会社
営業本部 タイムビジネス事業推進部 部長
森口亜紀

時間管理用機器のトップメーカー、アマノ株式会社に入社。2000年、アマノビジネスソリューション株式会社に出向し、時刻配信・認証を主とするタイムビジネス事業の初期立ち上げメンバーとして活躍。現在は企業・組織のe-文書対応をコンサルティングする傍ら、タイムスタンプサービスの普及に尽力している。一般社団法人ビジネス機械・情報システム産業協会(JBMIA)ドキュメントマネージメントシステム部会部会長。

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