失敗事例から学ぶ基幹システム構築講座 「SaaS・クラウドの実例紹介」編
(実例2)
「SaaS型サービスを使って自社の基幹システムを早期に復旧する」
「TENSUITE Sシリーズ個別受注生産型モデル」のSaaS型サービスを使って自社の基幹システム機能を早期に復旧する方法をご紹介します。
(2011/4/14)
筆者:(IT コンサルタント)石田 富士夫
このたびの東日本大震災により被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。一日も早い復興をお祈り申し上げます。
東日本大震災の発生から1ヶ月が経ちますが、被災された皆様におかれましては生活の基本である「衣・食・住・職」のいずれも不足の状態が続いており、今後一層の復興ご支援が必要であると認識しております。
このような状況を踏まえ、今月は「衣・食・住・職」の「職」の復興に少しでもお役に立てればと考え、基幹システムが被災したケースで、日立情報の「TENSUITE Sシリーズ 個別受注生産型モデル」のSaaS型サービスを使って自社の基幹システム機能を早期に復旧する方法をご紹介いたします。
被災したシステムの状態により、回復の方法は異なります。会社の取引状況を記録したデータベースと業務システムのバックアップが残っていれば、代替のハードウエアを調達し、再設定をすれば復旧させることが可能となります。代替のハードウエアが調達困難な場合はクラウドサービスを活用して、クラウドセンター上に業務ソフトを稼動できる仮想サーバー環境を設定して業務システムとデータベースを載せてやることも検討可能かと思います。いずれにしろ、データとプログラムが残っていれば復旧の手段は対応したベンダーに相談することで回復の道をつけることが出来ると思います。
今回は、データもプログラムも喪失してしまった、あるいは従来システムの回復に時間がかかり業務再開に間に合わないという場合に、「業務再開のために最低限の基幹システムを立ち上げたい」というケースを想定してシステムを早期に立ち上げる方法を説明します。
企業活動を再開するうえで、基本的に必須の管理はお金の流れ・バランスを管理する機能です。この機能は経理パッケージを使用することにより会計伝票をベースとした管理が実現できます。会計パッケージはパソコンにインストールして単独で動かせるものや、SaaS型サービスでクラウドセンターのサービスを活用するものがあります。いずれの場合でも比較的早期に立ち上げることが可能です。会計伝票が少ない場合には、自社では会計伝票の起票を行い、会計事務所に処理を委託する方法も考えられます。規模の大小はあっても、企業活動を行っていく上で必須の機能になりますので、上記のいずれかの方法で会計業務を立ち上げることが必要になります。
経理業務を行う仕組みが決まったら、次に会計データの整理が必要になります。帳簿類が残っていれば、勘定科目を再登録して、残高を設定することで運用可能になりますが、帳簿の無い場合は、現在の現預金残高を設定して入出金の管理からスタートし、売掛金や買掛金を取引先と確認して登録し、会計帳簿を再整備していくことになります。資産の整理・評価には相当の時間がかかると考えられますが、業務再開から発生した仕訳は遅れや漏れの無いように登録し、管理できるような体制を早期に整備することが重要です。
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