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「基幹システムを真に生かす業務ルールの考え方」

失敗事例から学ぶ基幹システム構築講座 「システム企画」編

2013年4月、「TENSUITE」は、日立 製造・流通業向け基幹業務ソリューション「FutureStage」に統合しました。
※本コラムに記載の商品情報は初掲載時のものです。

業務ルールの考え方

(企画5)
「基幹システムを真に生かす業務ルールの考え方」
基幹システムを構築し情報共有のインフラが整備されても、活用するユーザー側のデータメンテナンスのタイミングや業務ルールが確立していなければ情報を活用できません。今回は基幹システムが機能し効果を発揮するための業務ルールの考え方について紹介します。
(2010/7/14)
筆者:(IT コンサルタント)石田 富士夫

システムの情報が活用できない

基幹システムを構築し情報共有のインフラが整備されても、活用するユーザー側のデータメンテナンスのタイミングや業務ルールが確立していなければ情報を活用できません。このことが原因でシステムの情報が活用できなかった事例を2つ紹介します。

(1)システムの在庫情報が活用できない。

事例背景
この会社では標準品は当日受注・当日出荷の形態で、現在庫に対して当日の未引当在庫を常に計算して在庫確認を行っていました。このように毎日在庫確認を行っているにもかかわらず、時々、システム上で在庫が有るのに現場には現品がない、という事態が発生していました。
原因
原因を追究すると、通常の業務形態とは異なる「部分加工製品」(標準品を部分加工して別製品として出荷する)への対応に問題がありました。部分加工製品の受注に対して、工場側では標準品を倉庫から出して加工場に移動して加工作業を行います。その場合本来の運用では、生産計画時に未引当在庫を減算することで在庫が合う仕組みでした。ところが、時々発生する緊急オーダの場合、現場では生産計画処理の前に在庫移動してしまい、その後のシステムへの入力も行っていなかったのです。そのためシステム上の在庫に不一致が起こり欠品を招く結果となっていました。
システムの立上げ当初は、このような部分加工製品の納入リードタイムは3日程度あり、生産指示が出てからアクションを起こせば間に合いました。そのため緊急時の運用ルールが明確にされないまま運用がスタートしており、発生した緊急オーダに対し現場はシステムを無視した先行作業を行う結果になりました。さらに現場において問題であったのは、在庫情報を全社で共有し他部門も活用しているという認識が薄く、自部門の都合を優先させた業務運用をしたことでした。

この事例から学ぶこと

この例では、「各部門の業務が関連し、情報を共有して他部門も業務を遂行している、自部門の都合だけで勝手に行動してはならない」ということを、会社の企業風土として定着させていくことが重要であることがわかります。

(2)製造予定データが形骸化してしまった

事例背景
この会社は受注生産を基本に生産している製造業で、毎日の受注に対してMRP(資材所要計画)を行い、生産計画を立てています。このMRPによって、部材の在庫予定を見て不足の部材を手配したり、内作や外作の作業計画を立てたりしています。
しかし、部材供給の乱れや納期変更が多発するため生産日程のメンテナスが追いつかず、製造予定データが形骸化するという状態になっていました。
原因
原因は、次のような運用方法にありました。
各製造現場では、内部の詳細作業計画(差し立て)についてはExcelを利用して基幹システム外で管理していましたが、変更が多くなると忙しさのあまり基幹システム側の予定を直さず、自部門のExcel詳細作業計画のみ修正していました。このために基幹システムの予定情報が不正確になり、部材の不足計算も作業計画も有名無実の状態に陥ってしまいました。こうなると各工程では作業に必要な部材の欠品チェックも出来なくなり、工程の混乱に拍車をかけることになりました。
この背景には、上述の「予定変更の多さ」、(1)に共通する「業務処理の風土の未定着」の2点があります。
しかし、この問題は業務ルールを構成する上でもう少し複雑な問題を含んでいます。(1)の未引当在庫数の問題は1つの値を正しくすることでしたが、生産の作業予定は、部材が揃っているか、作業者の工数はあるか、加工機械は空いているか、次工程の納期に間に合うかなど多くの要素を勘案して調整する必要があります。更に一度決定しても前述のように色々な要素の変更が後から発生するのが常です。この意味から、この問題は更に方法論を詰めていく必要があります。

(2)の具体的な解決策を次で考えていきます。

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