失敗事例から学ぶ基幹システム構築講座 「ITで挑むコスト削減」編
2013年4月、「TENSUITE」は、日立 製造・流通業向け基幹業務ソリューション「FutureStage」に統合しました。
※本コラムに記載の商品情報は初掲載時のものです。
(コスト削減3)
「不況下こそITを戦略的に生かす!」
従来の販売統計情報が使い物にならない、コストが把握できない・・・良い基幹システムを導入しているのに、不況対策にまったく役立たないのはなぜだ?
(2009/5/14)
筆者:(IT コンサルタント)石田 富士夫
不況の影響は、「売上が2割3割落ちた。
」「販売不振で在庫過多になっている。
」などの形で現れています。
このような時に第一番に取り組むのは徹底したコスト削減です。
コスト削減のためには、その中身とコストの意味・役割によって分けて対策を考えなければいけません。
経営を支える機能、意味は何かを見直して、業務の柱を残し、強固にしていく方向でスリム化を図るべきです。
コストの中身を分けていくと商品取引に伴い直接発生する直接費用とそれ以外の間接費用に分かれます。
(経理上の直接費、間接費とは分け方が異なります)
直接費用は商品仕入費用、保管費用、配送物流費用、外注費用、諸経費用(輸出入の諸経費など)に分けられます(図1.コストの内訳 参照)。 多くの企業では、商品の仕入価格は販売管理の仕入原価として把握できているものの、その他の費用については経理上の科目別にしか把握できていないことがほとんどです。 しかし、コスト削減に取り組むには、どの商品あるいはどの取引にどれだけのコストが掛かっているかを販売管理で捕らえて、不要不急のコストの絞り込みや、コスト高の商品・取引の選別・廃止といった対策が求められます。
また、間接費用は一般管理費と販売費用に分けられます。
一般管理費についてはシステム化を進めることで人員の削減・事務所スペースの削減・移動ロスの防止をはかり、人件費をはじめ諸費用の削減を推進する必要があります。
販売費用の内訳は主に店舗費用、販売員人件費、広告宣伝費、交通費、交際費などです。
これらの販売費用については、店舗別の販売量(売上高)とコストを比較して、店舗の縮小や再配置を検討することが必要です。
また基本的な考え方として、お客さまへのサービスレベルを低下させること無く、方法を改善することでコストの圧縮を検討するべきでしょう。 システムの寄与する部分としてはメールや電子掲示板による広告や在庫の配信、インターネットを利用した無店舗販売などが考えられます。 物流については他の販売会社や配送業者との連携による共同配送などもコスト削減の一手でしょう。
不況下でもまだ買えるお客さまと、まだ売れる商品の特定について考えてみましょう。
まだ買えるお客さまとは今までに上位の売上ランクにあったお客さまとは限りません。
自社もそうであるようにお客さまも当然、在庫調整を行っていると考えるべきです。
大量に購入していた商品は在庫調整が終わるまで購入は止まります。
しかし、お客さまにとって販売している商品が必須アイテムであれば、在庫調整後は必ず購入のアクションを起こすでしょう。
それはいつなのかを検討するためには、販売している商品のリピートオーダ・リードタイム(この場合は購入してから再び追加購入する期間を言います)をお客さまと商品の関係で分析して見る必要があるでしょう。
生鮮食料品は数日以内ですし、衣料品であれば1シーズンになります。
自動車部品や機械部品については生産台数に応じた消費が毎日起こります。
販売実績をこのような観点から分析して見直してみることも一手です。
現在は経済規模の縮退に伴って全体に買い控えが起こっていますが、消費活動は止まってはいません。
消費規模に応じた販売戦略に切り替えていくことが重要でしょう。
また、総売り上げの確保のために従来製品と抱き合わせて販売できる商品や低価格志向に合致した商品開発にも取組む必要があります。
システムで販売情報を単に分類集計するのではなく、お客さま毎の商品に対する必要サイクルを見極める分析を行い、その結果を元にお客さまにタイムリーに情報発信をするようなシステムが有効になるでしょう。 また販売情報の集計の観点は期間合計を活用することは基本ですが、変化の激しい時代には取引額の変化量にも着目して早め早めの分析・対策を行えるようにすることも肝要です。
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