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コロナ禍を乗り切るカギは、
マーケティング基盤のデジタル化にあり!

デジタルマーケティング実践企業の事例から学ぶ、
コロナ禍におけるマーケティング課題の解決方法

2020年初頭から瞬く間に全世界に蔓延していった新型コロナウイルス感染症。これにより、航空業、鉄道業、観光業、エンターテインメント関連業などと並び、小売業・流通業も大きな打撃を受けています。

しかし、デジタルマーケティングへの積極的な投資を行ってきた企業は、コロナ禍における消費者行動の変化にうまく対応ができているようです。カギとなるのは、顧客管理の仕組みやマーケティング基盤のデジタル化です。ある企業の取り組みを通じて、コロナ禍を乗り切るヒントを考えてみたいと思います。

コロナ禍における顧客コミュニケーションの課題にどう対応するか?

「小売業・流通業を営むチェーンストアA社は、数年前からデジタルマーケティングへの積極的な投資を行ってきました。当初の目的は顧客ロイヤリティの向上にありましたが、新たに構築されたデジタルマーケティングプラットフォームは、コロナ禍における顧客コミュニケーションの課題解決にも極めて有効に機能しました。A社が直面した課題と、課題への対応事例を見ていきたいと思います。

リアル店舗への来店施策として、スマートフォンアプリのプッシュ通知を活用

2020年4月、緊急事態宣言発令をきっかけに繁華街や都心のオフィス街の人出が大幅に減少しました。その後、宣言解除により人出は若干回復しましたが、来店客はコロナ以前の4~5割程度に留まったままです。A社は来店施策の実施により、なんとかして店舗に人を呼び込みたいと考えました。

数年前のA社はこんな時、ハガキによるダイレクトメール施策を実施していました。これは、各店舗が独自で保有・管理している顧客リストをもとにクーポン付きのハガキを発送するという施策です。しかし、顧客リストの収集・整理やハガキの印刷・発送に毎回かなりの時間がかかるため、臨機応変でスピーディーな対応は困難でした。

現在のA社は、メンバーズカードのスマートフォンアプリ化をきっかけに、ハガキではなくアプリのプッシュ通知機能を利用したクーポン配布を実施しています。来店施策の企画から実施までのリードタイムが劇的に短縮したことで、世の中の動きやトレンドに応じたマーケティング施策が臨機応変に実施できるようになっただけでなく、ハガキの印刷費・発送費などのコストを気にせずに施策が実施できるようになりました。

コロナ禍においては、外出自粛やテレワークの普及により、自宅時間が増えた消費者の需要を喚起するため「おうち時間を快適に!」「テレワークを応援!」といったキャンペーンを実施しました。顧客の性別・年齢・居住エリアなどの属性データや、過去の購入商品など購買履歴データに応じてパーソナライズされたプッシュ通知の効果は高く、来店客数をある程度まで回復することができました。

リアル店舗とECサイトの連携により、「巣ごもり需要」に対応

前述の通り、積極的な来店施策を実施したA社でしたが、消費者の外出自粛マインドが続く中で、来店客数はなかなか以前の水準には戻りませんでした。そこでA社は発想を切り替え、消費者が再びリアル店舗でのショッピングを楽しむマインドに切り替わるまで、「巣ごもり需要」を見込んでECサイトでの販売を強化することにしました。

以前のA社は、リアル店舗とECサイトが縦割り関係にあり、顧客データベースはそれぞれが独自に管理し、ポイントプログラムも連携していませんでした。また、ECサイトの売上はECサイト部門の営業成績となるため、リアル店舗スタッフの中にはECサイトを社内競合と考える傾向もありました。これらのことがオムニチャネル化を妨げていると考えたA社は、マーケティングプラットフォームの刷新を契機に、リアル店舗とECサイトの顧客データベースやポイントプログラムを統合し、さらに、ECサイトの売上を一定の分配ルールにのっとり各店舗の営業成績に分配されるルールに変更しました。これにより、リアル店舗とECサイトは社内競合から、共存共栄の関係へと変わったのです。

ECサイトの買い物でたまったポイントはリアル店舗でも使うことができるため、ECサイトでの購買が将来的にリアル店舗への来店に繋がる可能性があります。消費者の外出自粛マインドが根強い今、リアル店舗のスタッフは苦境を乗り越えるため、来店客にECサイトの利用を積極的に呼びかける取り組みを行っています。

マーケティング基盤のデジタル化、成功に向けた3つのポイント

コロナ禍で大きく変容した消費者の行動・心理に、A社がこのようにスピーディーに対応することができたのは、コロナ禍以前に、新たなマーケティングプラットフォームの構築をすでに完了していたことが背景にあります。

このプラットフォームは、「データ収集」「データ統合・分析」「データ活用」までが一気通貫で流れる仕組みになっており、さまざまなベンダーが提供するシステムやアプリケーションを有機的に連携させることで構築されています。A社がこのような実効性の高いデジタルマーケティングプラットフォームを構築できた3つのポイントを順番にご紹介していきましょう。

ポイント1「顧客接点創出に効果的なスマートフォンアプリ導入」

ポイントの1つは、メンバーズカードなどの会員サービスの仕組みをスマートフォンアプリ化したことです。A社はこれにより、アプリ登録時に顧客情報をデジタル形式でスムーズに取得・集約できるほか、購買時のアプリ提示(ECの場合はログイン操作)により、購買商品情報や合わせ買い情報、購買店舗情報や購入時間など、お客様の購買行動に紐づく多くのデータを自社データとして収集できるようになりました。デジタルマーケティング最初の課題である「顧客データの収集」はこうしてクリアすることができました。

さらにスマートフォンアプリでは、メンバーズカードなど従来の媒体では実現することができなかった、アプリのプッシュ通知による顧客への情報発信を行うことができます。これにより効果的に顧客接点を増やすことができるようになりました。

ポイント2「連携性・拡張性の高いデータ統合・分析基盤の構築」

スマートフォンアプリで収集した顧客データに、POSレジ、基幹システム、ECサイトなど各データソースのデータを統合させることで、マーケティング施策の打ち手が格段に広がります。そこでA社は、マーケティングプラットフォームの刷新をきっかけに、自社が保有する顧客データの統合・管理を行うシステム(会員/ポイント管理システム、CRMシステム)を導入することにしました。

A社がシステム導入検討の際に重視した点は、「連携性=他システムとの連携は容易か」「拡張性=ニーズにあわせてカスタマイズができるか」「安定性=自社の顧客規模・ビジネス規模で安定して運用できるか」の3点でした。デジタルマーケティングを推進する中で新たに生まれるシステムニーズや、マーケティング領域における新しい技術要素を組み込める柔軟性の高いシステムを目指したのです。

ポイント3「運用リソースの確保」

「メンバーズカードのスマートフォンアプリ化」など、デジタルマーケティングの新たな取り組みは店舗スタッフをはじめ現場担当者の業務負荷を増大させます。

そこでA社はアウトソーシングサービスを利用し、スマートフォンアプリの運用に関して、顧客からの問い合わせだけでなく、店舗スタッフからの問い合わせも受け付けるヘルプデスク窓口を設けました。問い合わせ対応をアウトソーシングすることで、運用業務負荷を軽減し、現場スタッフも巻き込んだマーケティングサイクルがスムーズに回る仕組みを構築しました。運用リソースをしっかりと確保したこともA社の成功要因の1つと言えます。

マーケティング基盤のデジタル化が、激変する経営環境への備えとなる

A社が数年前から構築してきた新しいマーケティングプラットフォームは、本来、顧客ロイヤリティ向上のためのものでしたが、今回のコロナ禍によって変化した消費者行動、消費者心理への対応においても有効に機能しました。

顧客ニーズにあわせたプッシュ通知による商品提案や、巣ごもり消費に対応するためのECサイトの強化など、A社が新たに行ってきた施策の数々は顧客からの反応も良く、A社のマーケティングチームは手応えを感じています。

現在のコロナ禍はもちろんのこと、今後も訪れるであろう劇的な経営環境の変化への備えとして、マーケティング基盤のデジタル化は有効な手段となります。本記事の内容が、デジタルマーケティングへの移行を検討しているみなさまにとって少しでもヒントになれば幸いです。

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