消費者の目が厳しくなった今、単に安くて良いものが買えるというだけでは繁盛店にはなりません。そうした中、昨年12月に開業したばかりの東京・浅草の商業施設は、なぜ連日のように大勢の人たちで賑わっているのでしょうか。その理由を探ります。
読者の皆さんが思い浮かべる「行きたくなる店」とは、どのようなところでしょうか。
人の集まる店には共通点があります。そこに行くと楽しい、活気がある、ストレスが発散できる、安くて質の良いものが買える、おいしくて新鮮なものが買える、何だか懐かしいものがあるなど。繁盛する店はこのような条件を持っているものです。
しかし、最近では繁盛店の条件はさらに細分化され始めていて、単に安くて良いものが買えるというだけでは、消費者は満足しなくなりました。
そうした中、お世辞にも有名ではない地方の店が多くテナント入居しているにもかかわらず、彼らが陳列する逸品を求めて多くの人々が訪れる場所が東京・浅草にあります。2015年12月に開業した商業施設「まるごとにっぽん」です。
国内外から多くの観光客が集まる東京・浅草
浅草で地方の魅力が体験できる商業施設。一見すると、インバウンド需要狙いの外国人向け観光施設と思われがちですが、行ってみると日本人のお客さんだらけであることに驚きます。既にオープンしてから8カ月以上が経ちますが、ますます人気の店になっているようです。商業施設としてはそれほど大きくないこの場所にたくさんの人が押し寄せているのはなぜでしょうか。
まるごとにっぽんは浅草六区エリアにあります。今でこそ浅草六区は大勢の買い物客で賑わうようになっていますが、数年前までは人通りが少ない寂れたエリアでした。
同店を開発した東京楽天地という会社は、この浅草六区を中心に日本のレジャーをけん引してきた企業の1つです。東京楽天地は1952年9月に浅草宝塚劇場と浅草宝塚地下劇場をオープンし、1954年4月、浅草楽天地スポーツランドを開業しています。都内で初めてのジェットコースターなどの最新の設備を導入し、その後、ボウリング場やゲームセンターへの転用を進めてきたようです。
創立78周年、浅草に進出してから63年が経ち、改めてこの浅草六区を賑わいのある街に変えたいという思いでまるごとにっぽんを開発したのです。
「まるごとにっぽん」の外観
同店の狙いは、全国各地の魅力が詰まった地域情報の統合拠点を作り、地方自治体や地方事業者が出店できる仕組みを構築することで、「真の地域振興の拠点」を目指しています。
施設のテーマは「風土巡礼」。観光地として国内外の多くで賑わい、日本文化を体感できる浅草で、地方事業者が、モノ・コト・ヒトの魅力を発信することを狙いとしています。
まるごとにっぽんの小笠原功社長は、「都市部への人口流出や後継者不足で徐々に疲弊している地方都市が増える中、地方創生の足掛かりとなる施設を作りたいとの思いがあった。また、親会社の東京楽天地が70年間商売をしてきた浅草六区の賑わいを取り戻したい思いから、浅草に施設を開業した」と話しています。
小売業向けソリューションをご検討のお客さまはこちら
日立システムズは、システムのコンサルティングから構築、導入、運用、そして保守まで、ITライフサイクルの全領域をカバーした真のワンストップサービスを提供します。