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株式会社 日立システムズ

日本企業の先進的なDXの取り組みを選定する「DX銘柄2021」選定企業大全

【第2回】「DX銘柄2021」グランプリ選定の日立製作所、DXへの取り組みが評価された理由とは?

「DX2021グランプリ」に選定された日立製作所

経済産業省は、東京証券取引所と共同で2015年から「攻めのIT経営銘柄」を選定してきました。攻めのIT経営銘柄とは、中長期的な企業価値の向上や競争力の強化のために、経営革新や収益水準・生産性の向上をもたらす「積極的なIT利活用に取り組んでいる企業」を選定するものです。

その後、2020年には名称を「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)」へと変更。DX推進というグローバルな潮流が起きていることを踏まえ、企業選定の基準をDXにフォーカスしています。

2021年6月7日、経済産業省と東京証券取引所は共同で第2回目となる「DX銘柄2021」選定企業を発表しました。「DX銘柄2021」選定企業28社と「DX注目企業2021」20社、「デジタル×コロナ対策企業」11社などが選ばれました。「DXグランプリ2021」は、日立製作所とSREホールディングスの2社が選定されています。

「DX銘柄2021」は、東京証券取引所(一部、二部、ジャスダック、マザーズ)上場会社約3,700社を対象に実施した調査の回答企業464社のうち、「DX認定」に申請している企業が選定対象です。まず、アンケート調査の「選択式項目」と3年平均のROE(自己資本利益率)に基づいたスコアリングを実施し、候補企業を選定。さらに、DX銘柄評価委員会が評価した結果を基に、最終審査を経て企業が選ばれています。

「DX銘柄制度」における活動状況を紹介する本連載。今回は「DX銘柄2021」選定企業の発表会での日立製作所の執行役会長兼執行役社長兼CEO(当時)の東原 敏昭氏の講演内容と経済産業省が公表する「DX銘柄2021」選定企業レポートから、日立製作所が「DXグランプリ2021」に選ばれた理由を探っていきます。


「DX銘柄2021」選定企業発表会にて講演を行う東原CEO

審査員は「DXが変革のエンジンになっている数少ない会社の一つ」とコメント

「DXグランプリ2021」は、「DX銘柄2021」選定企業28社の中から、業種を超えて「デジタル時代を先導する企業」として評価の基に選定されました。学識経験者やデジタル分野の専門家、投資家で構成される「DX銘柄評価委員会」がその選定を実施しています。

選定企業レポートによると「DXが変革のエンジンになっている数少ない会社の一つ」「自社でDXを推進する実験場を有している」「部署の壁を越えて発想・協力する風土づくりを進めている」という審査員のコメントが紹介されています。

具体的に、日立製作所はどのようにDXを推進しているのでしょうか。東原CEOの講演内容から、その取り組みを見ていきましょう。

社会イノベーション事業に取り組む日立製作所、DXの中核を担う「Lumada」

まず、東原CEOは「1910年の創業当時から『優れた自主技術・製品の開発を通じて社会に貢献する』ことを企業理念に掲げてきました。この社会貢献という考え方は、従業員に脈々と受け継がれているということが特徴だと思います」と自社の強みを紹介しました。

同氏によると、リーマンショック後、国内の製造業で最大規模の赤字を出した同社がその後、V字回復を実現できたドライバーは「社会イノベーション事業」だったとのことです。現在、日立製作所は、世界中の顧客企業やパートナー企業とともに、社会インフラのDX化を実現する取り組みを推進しています。

「社会イノベーション事業の核となるのが『Lumada(ルマーダ)』です。これがDXのエンジンになっています」(東原CEO)

Lumadaとは「Illuminate(照らす・解明する・輝かせる)」と「Data(データ)」を組み合わせた造語です。日立製作所が長年培ってきたOT(制御・運用技術)とITの両輪における業種・業務ノウハウと、IoTやAIなどの先進のデジタル技術を掛け合わせることで、データから価値を生み出すDX基盤に位置づけられています。

Lumadaは2016年の発表以降、さまざまな分野の顧客協創により1,000件を超えるLumadaユースケースとして実績を積み重ねるなど、社会課題の解決に貢献する社会イノベーション事業を加速させるエンジンとして拡大してきたのです。

自社工場でのDX推進が、先進的な取り組みとして評価された

Lumadaのユースケースの中には、顧客企業との協創に加えて、日立社内の工場やオフィスでのDXも含まれています。東原CEOは、自社工場のDXの一例として「大みか事業所」(茨城県日立市)を紹介しました。

大みか事業所は、2020年に国際経済フォーラムが発表する先進的な工場「Lighthouse」に選出されています。同工場では、設計開発から納入後の運用保守まで、AIやアナリティクス、IoTを活用しながら工場の最適なオペレーションを実現しているとのことです。

「現場のさまざまなデータを活用してハードウェアの設計・製造に関する業務効率化モデルを確立しています。その結果、導入前後でリードタイムを50%も短縮するなどの改善効果が得られました」と東原CEOは自信をのぞかせています。

日立製作所は、自社でのそうした成果を製品の故障予兆検知や運用効率化など最適化ソリューションとしてLumadaに集約し提供しています。また、個々のデジタルソリューションをグローバル規模で横展開する取り組みを進めています。さらに、データサイエンティストのトップ人財が集結した「Lumada Data Science Lab.」を設立し、オープンイノベーションの推進やDXを先導するデジタル人財の育成も図っています。

そうした点が「Lumadaが国内にとどまらず海外に展開できるプラットフォームとなる可能性がある。自グループで実績を積んだソリューションをグループ外、およびグローバルに展開できている」「DX人財を類型化し、人財像ごとに育成・確保を計画している」という審査員の評価につながっているようです。

社会課題の解決にデジタルイノベーションで挑む、合言葉は「世界を輝かせよう。」

現在、日立製作所は、社会のDXを加速するエコシステムの構築にも取り組んでいます。その一環として、2020年11月に「Lumadaアライアンスプログラム」を開始しました。このプログラムは、業界を越えた多様なパートナーと相互に連携する制度です。まずは、100社との連携を見据えているようです。

東原CEOは「新型コロナウイルス感染症の拡大や地球温暖化など、地球全体が変化の時期に差し掛かっています。そうした課題にはデジタルイノベーションで対抗していきます。ただ、日立単独ではできませんので、志を共にする仲間と一緒になって解決することをめざしています」と力強く語ります。

最後に、東原CEOは自社の企業ミッション「Hitachi Social Innovation is POWERING GOOD 世界を輝かせよう。」を掲げて、「今後も日立製作所は、社会イノベーション事業を通じて社会の課題、企業の経営の課題をデジタルで解決して、持続可能で豊かな社会の実現に向けて取り組んでいきたいと思います」と今後の展望を示しました。

今回紹介した日立製作所だけではなく、経営ビジョンに基づいたDXに取り組む企業が「DX銘柄2021」に選出されています。次回以降は、業種ごとの選定企業のDX推進の傾向を探っていきます。

  • ※ 本内容は2021年9月時点の情報です。
  • ※ 本記事に記載の情報は初掲載時のものであり、閲覧される時点では変更されている可能性があることをご了承ください。

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