建設業向けにお仕事をさせていただくことになり、初めに感じたことは建設業には明るい話題が多いということです。安倍内閣による「国土強靭化計画」、2020年に東京で開催されるオリンピック、2027年のリニア新幹線開通…これからどんどん成長していく業界だろう。私はそう思っていました。
しかし、こんな個人の予想を載せるわけにもいかず、資料集めを始めました。まず軽い気持ちで「建設業界 展望」と検索してみました。「建設業に追い風!」「不況からの脱却」きっとこんな見出しが躍っているだろう。コラムは建設業がノリに乗っているという内容で決まりだな。そんなことを考えていました。しかし、いざ検索結果を見てみると、そこには「人手不足に拍車」「建設業の展望は決して明るくない」などなど、当初の予想とは真逆の言葉が…。そこで建設業の現状を調べました。
初めに、1つの指標として受注高に注目してみました。過去20年分のデータが、下のグラフです。1996年度から減少の一途をたどっていましたが、2010年度以降は増加傾向に転じています。震災復興需要や、国土強靭化計画の影響と見られています。受注高から見れば、建設業界は一時期に比べると先行きは明るそうです。
出展元:国土交通省 報道発表資料 建設工事受注動態統計調査(大手50社 平成25年度計)
ではなぜ「建設業 展望」で調べても、暗い話題が多いのでしょう。「建設業 課題」で検索してみました。
すると、2つの大きな要因がありました。「資材高騰」と「人材不足」です。ではこの2つについて調べてみましょう。
まずは、「資材高騰」。確かに案件が増えれば、それに伴い資材の需要も増え、値段は高騰するのでしょう。ではどれくらい価格は変動しているのでしょう。下のグラフをご覧ください。(2014年度の数字は2014年11月時点)
2012年からの2年間で10%も増加しています。消費税が3%上がっただけでも大騒ぎなのですから、この変動は大きなダメージでしょう。過去20年で比べても、2014年度は最も価格指数が高いです。
出展元:一般財団法人 経済調査会 オフィシャルサイト 【建設資材価格指数】
次に、「人材不足」についてです。こちらもグラフをご覧ください。(2014年度の数字は2014年10月時点)1997年度を境に、建設業の就業者数は減少しています。2013年度は、過去20年で最低の数値となりました。2010年度以降、受注高は増加しているのに、反対に人材は減少しています。
出展元:総務省統計局ホームページ 労働力調査 長期時系列データ
この「資材高騰」と「人材不足」により、工事を受注しても利益が出ない、そもそも工事が受注できないという状況を招いています。さらに、建設業はほかの産業と比べ、もともと利益率が低い業界とされてきました。これらのことから、一見建設ラッシュに沸いているように見える建設業界は、依然苦しい状況にあるのです…
次回のコラムでは、これらの課題への対策案について考えていきます。
[佐藤 絢哉 記]
※ コラムは筆者の個人的見解であり、日立システムズの公式見解を示すものではありません。
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