失敗事例から学ぶ基幹システム構築講座「システム計画~運用」編
2013年4月、「TENSUITE」は、日立 製造・流通業向け基幹業務ソリューション「FutureStage」に統合しました。
※本コラムに記載の商品情報は初掲載時のものです。
(運用1)
「基幹システム導入で目標効果を生み出す秘訣」
システム稼動後に潜む罠!B社はシステム立ち上げに成功し軌道に乗ったと思ったが、稼働後一年が経過した頃から製品の仕様ミスが時々発生するようになってきた。
(2010/1/15)
筆者:(IT コンサルタント)石田 富士夫
工場長は仕様ミスの原因を一件ごとに原因を調査し報告するように指示しました。
調査報告は以下の通りでした。
(1件目)
「作業指示書」に記述された品目は正しかったのですが、作業者が品目を通常作成している類似品と勘違いして「金型」を使用し成型しました。「金型」と「現品票兼検査表」は間違わないように「金型」とセットで保管し、現品に添付するようにしていました。検査担当も「現品票兼検査表」で検査を行い、「作業指示書」とのつき合わせ確認を行わなかったために、品目間違いを検出できず、ミスを防止できませんでした。
(2件目)
一部の品目に顧客側で仕向け先別の特殊仕様が加わりましたが、メーカでは品目コードは共通で、仕向け先コードで仕様を指定することになっている品目で仕様ミスが発生しました。B社の品目コード体系はメーカのイニシャルにメーカと同一の品目コードを付す規格となっていました。このため品目コードは変更せず、この品目については以下の手順をとることとしていました。
この手順の中で、ミスは「作業指示書」の品目が特殊仕様品に変わったことを知らない臨時作業担当者が従来の「金型」を使用して製作したことで発生しました。
(3件目)
上記の特殊仕様品で更にもう1件ミスが発生しました。このミスは「金型管理表(EXCEL)」の記述ミスによる「金型」の取り違えでした。「金型管理表(EXCEL)」は製造担当者がローカルに管理する運用としていたために、変更連絡を受けた担当者が EXCEL表を修正しましたが、修正時に金型識別コードを「金型管理表(EXCEL)」に誤って記述したことが原因でした。
以上の3件が仕様ミスの調査結果でした。
3件とはいえ、顧客に直接迷惑を及ぼす重大な仕様ミスでした。社長は、苦労して基幹システムを立ち上げたにもかかわらずこのようなミスが発生することを憂慮し、工場長に単に注意を促すのではなく仕様ミス撲滅の根本対策を講じるように指示しました。
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