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専門家コラム:海外での実践的危機管理

【第13回】誰が盗ったか分からない(全般)

人ごみに潜む敵

私たち日本人は、人ごみの中にいるとき「周囲にいる全員が常識的な善人で、自分に危害を加える人はいない」という前提で、無防備な行動をしています。それどころか、私たちは無闇に人を疑うことはマナーに反するとさえ思っているのです。しかし海外に出ると、人ごみに「悪意を持った敵」が潜んでいる確率が日本よりも高くなるのです。

今回は、「人ごみ」のリスクに遭遇したN氏の物語です。

財布が無い!

旅行好きのN氏は、休暇を利用しマレーシアを独りで旅行中です。彼は、混雑する観光地を散策していました。

旅慣れたN氏は、基本に忠実にバッグを襷がけにしていました。しばらく歩いていると、隣を歩いている男が異常に接近してきて、挙動にも不自然さを感じました。さらに、背後から数人の男たちがN氏を取り囲むように接近していることに気が付きました。
次の瞬間、N氏は後ろからバックを軽く引っ張られるのを感じたのです。しかし、隣にいる男が死角になって、何がバッグに起こったのか見えませんでした。
N氏が咄嗟にバッグを確認すると、ファスナーが開いていて財布が無くなっていました。N氏は、隣を歩いている男をにらみつけたのです。

しかし、その男は落ち着いた様子で「俺は何もしていない」という素振りをしました。そして、周囲にいた男たちの姿も見えなくなっていました。

それは、ほんの一瞬の出来事だったのです。

集団スリは連係プレー

N氏の物語は、典型的な集団スリの手口です。集団スリは、数人のグループで役割分担して実行されます。

死角を作ったり気さくに話しかけたりしてターゲットの注意をそらす者、実際にバッグなどから金品を抜き取る者、リレー式に盗品を持って現場から逃走する者などの役割に分かれ、犯行は一瞬で行われます。集団スリは、犯人の特定が困難な、非常にこうかつで組織的な手口なのです。

N氏の場合、死角を作ったと思われる男を問い詰めたところで、財布は既にリレー式で別の犯人が持ち去ってしまっていると考えられますので、犯罪の立証は極めて困難です。
残念ながら、熟練した集団スリのターゲットになった場合、被害を防止するのは非常に困難だと言わざるを得ません。

それでは、どうすれば良いのでしょうか?

予防、被害の低減、そして転嫁

リスクへの対策を考える場合には、危機管理の基本的な考え方に沿って思考すると、整理し易いと思います。ここで注意すべき点は、危機管理の理論は、事件・事故に巻き込まれる確率を「ゼロ」にする対策を、必ずしも前提にしていないことです。

まず、被害に遭わないための「予防行動」を心がけることが重要です。しかし、十分に警戒していても完全に被害を防止できるわけではありません。例えば、どんなに火の元に注意していても、「絶対に火災は発生しない」と言い切れないことを思い浮かべてみると良いでしょう。
次に「被害の低減」という視点で考えて、「事件・事故に巻き込まれても、被害を最小限に留める方法」を考えます。万が一、火災が発生した場合に備えて、スプリンクラーや消火器を設置する、定期的な火災訓練を行うなどは、被害を最小限に留めるための準備なのです。しかし、被害を低減することが困難な場合もあります。
そのため、最後に「損失を他に転嫁する」ことを考えます。火災によって財産が消失してしまったときのために、火災保険などに加入するという考え方と同じです。

N氏の場合、「予防措置」として、(1)人ごみは避ける、(2)派手な服装・高価なアクセサリーは身に着けない、(3)バッグは襷がけに持つなどの対策を思いつくでしょう。
そして、「被害の低減措置」として、(1)外出時に多額の現金を持たない、(2)貴重品は分散して持つ、(3)窃盗・強盗被害に遭っても、身体・生命の被害防止のため、犯人を追いかけたり抵抗したりしないなどが挙げられます。
最後に「損失の転嫁」の視点で、携行品の盗難、怪我や病気の治療などによる経済的損失を補填するために、海外旅行保険をかけておくということになります。

海外渡航する際には、「どういうリスクがあるのか?」を知り、「予防」「被害の低減」「転嫁」という順序で考えて準備することが、安心・安全につながると言えるでしょう。

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※ コラムは筆者の個人的見解であり、日立システムズの公式見解を示すものではありません。

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