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専門家コラム:海外での実践的危機管理

【第7回】親は身近なボディガード(フィリピン他)

昭和の子どもたち

私は、東京オリンピックが開催された1964年生まれです。当時は、とても子どもが多く、小学生の頃は1クラスに40人以上の生徒がいて、マンモス校もたくさんありました。
あの頃は、親たちが子どもの遊びに口出しすることはほとんどなく、自由に外遊びさせていたように記憶しています。
友だちと日が暮れるまで遊んでいると、近所のおじさんに「こらーっ!早く家に帰って宿題しろ!」と怒られ、脱兎のごとく家に逃げ帰るということもありました。近隣住民がそれとなく子どもたちを見守っていて、子どもだけでも安全に外遊びができでいた時代でした。

私と同年代の人たちは、子どもの頃に同じような経験をして、日本の原風景として記憶していることでしょう。

帰国後に感じる違和感

今から10年以上前ですが、私は長い海外駐在を終えて日本に帰国しました。
ある日、電車に乗っていると、小学校低学年の女の子が独りで乗っているのを見かけました。おそらく習い事の帰りだったのでしょう。

私は「独りで電車に乗るなんて、危険だな」と、強い違和感を持ちましたが、直ぐに「あー、ここは日本だったな」と思い直しました。同時に、海外駐在中は、いつも親が子どもたちに付き添っていたことを、懐かしく思い出したのです。

海外駐在を断った友人

随分前のことですが、私の友人がフィリピン駐在を断ったという話を聞きました。

友人:「山本ってさ、海外駐在を打診されたとき、家族のことは考えなかったのか?」
私 :「そうだなー、不安だったけど、なんとかなるさと思ってたよ」
友人:「そうか。俺の場合は、妻が行きたくないと断固拒否だった。妻は心配性で、治安の悪い国へ子どもを連れて行くことに不安を感じていたようだ。俺は家族は一緒に住むべきだと思っているから、単身赴任は考えなかった。だから海外駐在は断ったが、本当にそれで良かったのかな」
私 :「そんなこと、気にしなくていいよ。誰でも家族のことを優先するからね。でも、海外駐在は家族にとって良い経験になることも確かだよ」

海外駐在は家族の総力戦

私の友人の不安は、子どもを帯同している多くの海外駐在員が感じることです。海外で日本人は「富裕層」とみなされ、犯罪のターゲットになりやすいと言われています。特に、子どもたちはソフトターゲット(防備の脆弱な標的)として、注意深く保護する必要があります。
そのため、小さい子どもたちについては、親が「常に一緒に行動する」ことが基本です。通学や子ども同士の付き合いも、親が送迎・同行することが必要な場合もあります。
公園などで小さい子どもを遊ばせるときは、親は視界の良い場所を確保し、警戒を怠らず見守ることが重要です。
最も警戒すべき脅威は「誘拐」で、小さい子どもが被害に遭うと取り返しの付かない事態になります。小さい子どもは体重が軽く、プロの誘拐犯は、ほんの一瞬でも隙があれば「クイッ」と抱えて容易に逃走が可能です。特に商業施設・遊園地・映画館などのトイレには、必ず親が同行する必要があります。日本の遊園地で良く見かける光景ですが、「アイスクリーム買ってくるから、ここで待ってなさい」と、子どもを単独で待たせるのは非常に危険です。

日本は、諸外国に比べて子どもたちの行動の自由度が大きいと思います。子どもたちにとって、親が常に同行する海外での生活は、とても不自由に感じることでしょう。また母親にとっても、気を緩めることができないので強いストレスを感じるものです。

海外駐在員は、家族のストレス軽減のため、感謝の気持ちを込めてレストランでの食事・旅行など家族サービスの努力をすることも、とても重要だと思います。

いつか分かる親心

家族にとっての海外駐在は、確かにストレスを感じることがあります。しかし、子どもたちが大人になったとき、両親の深い愛情によって保護されていたことに気が付く日が必ず来ます。親が「ずっと一緒にいようね!」と優しく子どもたちと手をつないでいることが、効果的な犯罪被害の抑止行動となるのです。

いつか巣立って行く子どもたちですが、不慣れな外国で子育てに奮闘している親の姿は、ずっと忘れることのない家族の良き思い出になるでしょう。

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※ コラムは筆者の個人的見解であり、日立システムズの公式見解を示すものではありません。

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