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専門家コラム:海外での実践的危機管理

【第5回】親切な警告、暗殺予告(フィリピン他)

パソコンが盗まれた!

10年以上前ですが、知り合いのN氏から恐い話を聞きました。それは、彼がフィリピン・マニラに駐在員として働いていたときに起こった、実話です。

N氏:「山本は、海外で脅迫とかに遭ったことあるの?」
私 :「え?何かあったの?」
N氏:「実はね、フィリピンにいたときなんだけど、ある日、事務所に出勤したら俺のノートパソコンが盗まれていたんだよ。鍵の掛かるデスクの引き出しに保管していたから、まさか事務所で盗まれるなんて思ってもみなかった」
私 :「それで、どうしたの?」
N氏:「俺さ、激怒してしまって。絶対に犯人を探し出して取り返してやる!直ぐに警備会社と『警察に連絡だ!』って、大声で怒鳴り散らしたんだよ」
私 :「それって、危険だな」

「ボス、狙われてますよ」

恐ろしい話というのは、その日の昼食後に起こりました。N氏が最も信頼していたローカルの部下が、こっそり囁いたそうです。

部下:「ボス、あまり騒がないでください。命を狙われていると、従業員が噂していますよ」

気丈なN氏も、これには流石にろうばいしました。

N氏:「俺、めちゃくちゃ恐くて思考停止して…だから、誰にも相談できなかったんだよ。大事になると嫌だから、本社にも報告しなかった。警察は、従業員が外部の窃盗グループとグルになって盗みを働くことも珍しいことではないと言っていて…部下たちは事情を知っていたようだが、報復を恐れて詳しいことは何も言ってくれなかった」

ボスのパソコンみっけ!

一週間程したある日、例のN氏に危険を囁いた部下が、また耳打ちしてきました。

部下:「近所の中古品屋で、ある従業員がボスの名前のシールが貼ってあるパソコンを見つけたと言ってます。誰が教えてくれたかは、余計な詮索です。私が言っている意味、分かりますね?」

早速、部下と一緒に中古品屋に行って確認すると、まさしくN氏のパソコンでした。N氏は店主に返却を要求し、誰から仕入れたかを聞きだそうとしましたが、部下が慌てて制止しました。

部下:「ボス、危険です。黙って買い戻す方が無難です」

N氏は、不本意ながら部下の助言を受け入れ、自分のパソコンを買い戻したそうです。この事件を教訓に社内の防犯対策が強化され、同様の窃盗事案は発生していないそうです。

親切な警告?

本件の場合、N氏の部下は外観上は「善意の人」として安全確保を支援したように見えますが、部下自身が犯行に関与していた可能性は排除できません。

今となっては、部下の「親切な警告」が、形を変えた「脅迫」だったかは分かりません。しかし、部下がN氏に「騒がないよう」に助言したのは妥当だったと思います。こういった事案では「決して騒がず、情報管理を徹底して、冷静に対処する」ことが重要なのです。

トラブルに巻き込まれないために

海外で生活する場合、日常生活において、現地従業員や近隣住民に高圧的な態度で接したり、「人として、どうなのか?」と思われる言動をしたりするのは、恨みを買うリスクが非常に高く避けるべきです。一方で、「日本的な正義感」から、N氏の事例のように、闇雲に「白黒はっきりさせようとする」態度も、場合によっては非常に危険です。

フィリピンは世界的に殺人発生率が高く、日本人も被害に遭っています。強盗殺人などのほかに、怨恨・ビジネス上のトラブル・男女間の諍い・近隣住民とのトラブルなどが原因で被害に遭う場合があり、殺人事案の殆どが「射殺」です。
「脅迫文」や「暗殺予告メール」などが届く場合がありますが、単なる脅しであることが多いとされています。しかしながら、「脅し」か「強い殺害意図を有する」かの判断は、民間人には不可能です。生命の危険が想定される場合、重度の情報管理を行ないつつ、専門機関に支援を求めることが基本です。
「脅迫」「殺人予告」があった場合には在外公館に一報し、警察に通報することが基本ですが、途上国では不良警察官の関与が想定されたり、「警察に通報するな」と脅される場合があります。そのため、在外公館のほかにセキュリティー専門会社・海外危機管理コンサルティング会社などに相談することも、必要な対処と言えるでしょう。

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※ コラムは筆者の個人的見解であり、日立システムズの公式見解を示すものではありません。

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