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厳しい入国係官

これは、10年以上前の話です。

私は社命によって、カナダに駐在することになりました。日本側で手続きをして就労許可を取得していましたが、実際に入国審査をするのは空港の入国係官です。

カナダの空港に到着し、入国審査のカウンターまで来たとき、案内役の係官に「就労・留学などの許可証を持っている人は、奥のカウンターへ行って並んでください」と声をかけられました。 私は指示された場所に並びましたが、観光などの査証免除で入国する人たちのカウンターと違って、緊張感のある雰囲気でした。

いよいよ、私の順番が回ってきました。入国係官は女性でしたが、とても威圧感があり嫌な予感がしました。

ループする質問

私は緊張しながらカウンター越しに、入国係官へ書類をわたしました。

係官「何しに来たの?」
私 「書類のとおり、日系A社のカナダ支店で、営業拠点責任者として駐在するために来ました」
係官「ふーん。ところで、なぜ学生が働くの?」
私 「いえいえ、学生ではありません。A社からカナダ支店に派遣されて…」
係官「どこの学校?」
私 「ですから留学ではなくて、A社のカナダ支店に派遣されて…」
係官「そうなんだ。で、どこの学校に留学するの?」
私 「学生ではありません。A社のカナダ支店に赴任してきて…」
係官「じゃ、カナダでの住所は?」
私 「これから家を探すから、カナダの住所なんて、まだありませんよ」
係官「住むところもないのに、なんでカナダに来たの?」
私 「2週間ホテルに泊まって、家を探すのです」
係官「どこのホテル?」
私 「Nホテルです」(誰でも知っているホテルチェーンでした)
係官「聞いたことないホテルねぇ。カナダでの住所は?」
私 「私の話、聞いていました?まだ家はないの!これから探すの!」
係官「それで、どこの学校に留学するの?」
私 (ひょっとして、嫌がらせかな?)

幸いにも20分程度の押し問答の末、やっと係官に理解してもらい入国できましたが、初日から非常に不愉快な気分でした。

第一印象が大事

それから3年後、私は日本に帰任し、海外人事に配属されました。
海外人事のことが良く分からなかったので、セミナーなどに出席して真面目に勉強しておりました。
ある団体が主催する、海外赴任の相談会に参加したときのことでした。相談員は、在外公館の仕事に詳しい方で、海外渡航時の注意点について興味深いことを語り始めました。

「ビザの審査や入国審査に携わる、どこの国の領事や入国係官も、目の前にいる申請者本人の印象・態度が書類に記載されている渡航目的・人物像から著しくかけ離れていると、審査を厳しくする場合があります。例えば、商用なのにビジネスパースンに見えない人、留学なのに学生に見えない人などです。
人を見かけで判断してはいけないと言いますが、虚偽の申請を見抜くには、本人から受ける印象は、とても重要な要素です。どこの国も、自国にとって害になる人に入ってきて来てほしくないのです」

えっ!疑われてたの?

相談員の話を聞いて、私は思い出したのです。

カナダ入国審査のとき、私はパーカー、スタジャン、履き古したデニム、ステッカーをたくさん貼ったバッグ、古びたスニーカー、イヤホンを首からぶら下げていて、長時間のフライトで髪の毛はバサバサ、おまけに「ガム」を噛んでいました。

あのときの女性係官は、私の風体・態度が、書類に記載されている人物に見えないため、真偽を見極める技術として意図的に間違った質問を繰り返し、怒った私がボロを出さないかどうか観察していたのでしょう。

つまり、私は虚偽の申請を疑われていたのです。

すべてを一致させるのが、最も分かり易い

入国審査で揉めると、とてもやっかいなことになります。虚偽申請が強く疑われると、別室で取り調べを受けることもあります。最悪の場合、入国が許可されず国外退去を命じられる可能性もあります。
そのため、パスポート・申請書類の記載事項(入国目的、立場、入国後の活動など)・ビザの種類・係官への説明などが、矛盾なく一致していることが基本です。

忘れてはならないのは、申請者の外見上の印象も、係官はそれとなく観察しているということです。
「〇〇らしくしなさい」という教えは、現代では堅苦しく感じます。しかし入国審査などの場合では、書類の記載事項から想定される常識的な「外観上の印象」を与えるよう、服装・振る舞いに注意することが、無難な対応と言えるでしょう。

入国審査で、もう一つ注意しなければならない大事なことがあります。
腐敗・汚職が横行している国々では、入国係官から言いがかりをつけられ「賄賂」を要求されたり、最悪の場合、脅迫・恐喝の被害に遭ったりすることがあります。
外務省海外安全ホームページ・在外公館の「安全の手引き」などで注意喚起・対処法などが発信されていることがありますので、渡航前に確認しておくことをお勧めします。

【執筆者】

海外生活株式会社
山本 優

海外危機管理コンサルタント
関西の自動車部品メーカーで、メキシコおよびカナダ駐在を通じて、海外工場立上・運営と海外支店経営を経験。帰任後は海外人事で人事制度改善に従事した後、海外危機管理担当者として、海外危機管理の仕組み構築や特命事項に携わった。 現在は、海外危機管理コンサルタントとして活動すると同時に、中小企業の海外人事の相談に対応している。経理、生産計画、海外工場運営、海外営業、海外販売支店経営、人事・海外人事、海外危機管理という企業のさまざまな経営管理の経験に基づき、独自の視点でコンサルティングを行っている。

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