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経理部門シェアード化の進め方_①経理業務シェアード化の動向とパターン

経理部門シェアード化の進め方_①経理業務シェアード化の動向とパターン

経営手法としては一般化されたシェアードサービスの中でも経理業務の最近の動向について解説する。
特に近年の経理部門は、将来的な労働人口の減少、経理部門の業務の増加を背景にして組織の在り方や構造の見直しに迫られている。
また、最近はRPA(Robotic Process Automation)やAI等のテクノロジーの発達により、経理業務のプロセスやシェアードサービスの業務の見直しが進んでおり、シェアードサービスセンターの中でテクノロジーを活用する方法について、2回にわたって解説する。

1.最近の経理シェアード化のトレンド

シェアードサービスとは、グループ会社毎に行っていた財務経理や総務労務、営業事務などの間接業務を、本社部門または子会社に集約し、業務の標準化や効率化の観点で業務改善を行い、グループ全体のコスト低減や業務品質の向上を図るための手法である。

これまでは経理業務のシェアード化は、グループの経理業務の一部をシェアードサービス子会社や本社に集中させてグループ内のリソースを最適化し、業務集約による効率化を図るというものが多く、一部の大企業の経営手法として一般化されていた。
現在の経理シェアード化のトレンドとして、単純に業務を集約するだけではなく、シェアード化対象の業務自体の見直しや経理プロセスの中にRPA(Robotic Process Automation)やAI等のテクノロジーを組み込みながら集約による効率化だけでなく、抜本的に生産性を改革するという例が増えている。また、昨今の人員不足を背景にして、これまで内部の従業員のみで実施していたような企業においても経理業務のシェアード化の検討が進んでいる。

2.シェアード化のパターンと特徴

シェアード化のパターンとして、(1)本社の経理部門にグループ会社の経理を集中させるパターン、(2)シェアードサービス子会社にグループ会社の経理を集中させるパターン、(3)グループ外のアウトソース会社にグループ会社の経理を集中させるパターンが考えられる。

(1)本社の経理部門にグループ会社の経理を集中させるパターン

本社の経理部門に子会社の経理業務を集中させる場合、本社の意思が明確に反映されるため、会計処理方法や会計方針、システム面での集約化が容易にできるとともに、子会社単独で実施するよりもスキル面やナレッジ面での共有が速やかにできる。
しかし、本社経理と同様のメンバーが実施するため、子会社数が増えるとリソース不足に陥ったり、給与水準の高い従業員がグループ会社の経理業務を行うことでコストが増加したりする傾向にある。

(2)シェアードサービス子会社にグループ会社の経理を集中させるパターン

シェアードサービス子会社を設立する場合、経理業務や総務・労務等のバックオフィスを集中することで人的リソースを確保することが可能となる。また、シェアードサービス子会社を作るパターンだと、子会社にて自社グループ以外の業務を引き受けることより、プロフィットセンターとしての機能を持たせることも可能となる。
さらに、本社とは別会社とすることで、給与面や待遇面で本社の従業員で差をつけることができるという点も特徴としてあげられる。
しかし、本社と別会社を設立することで、従業員のスキルレベルに本社と差が生じたり、業務の切り分けが硬直的になったりする傾向にある。

(3)グループ外のアウトソース会社にグループ会社の経理を集中させるパターン

シェアード化の1つの形態としてシェアードサービスセンターとしてグループ外のアウトソース会社を利用するケースがある。グループ内部でリソースの確保が難しい場合やグループ内で不足している専門スキルや知識が必要な場合に、上場企業固有の決算業務や連結決算、開示書類作成等の専門領域のアウトソースもあわせて実施することが可能となる。また、グループ外部のアウトソース会社になると従業員のケアや評価の業務から解放されるというメリットも生じる。

シェアード化のパターン
シェアード化のパターン

次回は、経理業務シェアード化のための具体的なステップについて解説する。

筆者のご紹介

舟山 真登(ふなやま まさと)氏

グローウィン・パートナーズ株式会社
コーポレートイノベーション部 部長
舟山 真登(ふなやま まさと) 公認会計士

2005年 監査法人トーマツ入所。東証一部上場企業をはじめ、幅広い業種・規模の企業に対する法定監査業務、内部統制監査制度の導入支援業務、IFRS導入支援業務に従事。
2015年 当社入社。上場企業グループの経理BPR、経理業務アウトソーシング体制の構築、経理業務のRPAによる自動化等の各種プロジェクトのプロジェクトマネージャーを多数担当。
2017年 コーポレートイノベーション部 部長。Accounting Tech®Solution事業を推進し、上場企業向けに、財務経理部門の働き方改革の支援、PMI(Post Merger Integration)プロジェクトの支援、経理BPOサービスなど、多くの案件を手がけるほか、専門誌の執筆やセミナー講師を多数実施。

企業概要(グローウィン・パートナーズ株式会社)

https://www.growin.jp/

「プロの経営参謀」としてクライアントを成長(Growth)と成功(win)に導くために、①上場企業のクライアントを中心に設立以来400件以上のM&Aサポート実績を誇るフィナンシャル・アドバイザリー事業、②「会計ナレッジ」・「経理プロセスノウハウ」・「経営分析力」に「ITソリューション」を掛け合わせた業務プロセスコンサルティングを提供するAccounting Tech® Solution事業、③ベンチャーキャピタル事業の3つの事業を展開している。
大手コンサルファーム出身者、上場企業の財務経理経験者、大手監査法人出身の公認会計士を中心としたプロフェッショナル集団であり、多くの実績とノウハウに基づきクライアントの経営課題に挑んでいる。

※コラムは筆者の個人的見解であり、日立システムズの公式見解を示すものではありません。
※本コラムは、2019年09月11日に掲載されたものです。

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