2013年4月、「TENSUITE」は、日立 製造・流通業向け基幹業務ソリューション「FutureStage」に統合しました。
※本事例に記載の商品情報は初掲載時のものです。
国内外から商品を仕入れ、お客さまの仕様に応じてさまざまに組み付け加工を施し販売する、日本フェィウィック株式会社様(以下、日本フェィウィック様)。複雑化する組み付け加工の工程や共通部品の流れをおさえた部品在庫管理をTENSUITEで実現しました。
お客さまの業務の特長 |
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自動車や船舶などの製造設備のほか、製缶プレス機や新聞印刷機などに組み込まれるクラッチブレーキ。
日本フェィウィック株式会社様は、産業用クラッチブレーキと関連機器の組み立て・修理・輸入販売、および、ゴルフグリップの輸入販売という2本柱で事業を行う卸売業です。
業態としては、クラッチブレーキは国内外の取引先から仕入れ、各得意先からの注文に合わせて部品の組み付け加工などを行い国内および東南アジア他に販売、ゴルフグリップは海外から輸入し、国内に販売しています。
世界中のトッププロから選ばれるゴルフグリップ「ゴルフプライド」。
システム概要としては、受注から売上請求、発注から仕入支払といった販売管理業務、セット品(部品で購入し組み立てる製品)の部品を含む在庫管理業務、輸出・輸入管理業務、および業績把握(受注、売上、粗利などの分析業務)について、TENSUITEで構築した販売管理システムをお使いいただいています。
導入決意の背景 |
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「今回新システムは、現場のあらゆる人間から、今までのシステムの不便だったこと、新しいシステムに求めることなど、できるだけ意見を集めて現場サイドから作っていこうと考えました」と川田様。
TENSUITE導入以前のシステムはオフコン上で稼働する自社開発システムで、主に受注・売上・請求業務に使用されていました。オペレーションミス防止のためにシステム制限を多く設けていた点と、日次締めによる移動平均法を採用されていた点が特長です。
日本フェィウィック様は、このシステムをハードの再リースを繰り返しながら長年利用していました。しかし、いよいよ延長が不可能となったとき、将来的に今のシステムのままでよいのかという議論になりました。
「自分は最後まで反対していました。改良に改良を重ねて、同じシステムでずっとうまくやってきたのです」と、キーマンである総務/業務部の川田様は語ります。ではなぜ刷新に踏み切ったのでしょうか。
「でも、それはあくまで自分たち管理部門側の話で、旧システムは営業部門の役には立っていなかった。旧システムでは検索機能が乏しかったので、営業が伝票1つ探すのに30分や1時間かかることがあったのも事実です。それにこれからは、分析機能が使えたりグローバルに対応できたりすることも必要だと考えました」と、会社全体の利益を考慮し刷新を決意した経緯を話してくださいました。
選定のポイント |
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ゴイスペル社の「エアクラッチ/ブレーキ」と、そこへ空気を送る「ローターシール」。組み付け加工を施して納品する。
「パッケージに乗っていこうとしたのですが、やはりクラッチブレーキの部品の動きがなかなか難しくて」と川田様。
日本フェィウィック様の業務で難しいのは、クラッチブレーキ関連のセット品の部品在庫管理です。
セット品に関する業務の流れは、部品を仕入れ、外注加工して、自社で組み立てる。その後加工工場へ支給して、外注で鋳物部品に組み込み、自社へ再入庫して出荷する、というものです。
部品にはさらに複数の共通部品が存在します。「共通部品というものが存在するので、それらを使って何個組めるか、ということが把握できなくてはいけません」(商品管理部 金田様)
今後販売を強化する、減速機付クラッチ/ブレーキパッケージ「プラネットプレスシステム」。減速シャフトが不要になり、スペース・コスト共に削減できる。
この複雑なセット品部品在庫の動きをシステムに乗せるのは至難の業と考えられました。
「でも、この部品の在庫を把握できる機能がほしくて仕方がなかったのです」と川田様。
それまではセット品部品を管理できる機能がないために、営業が注文受付時に受注可能数(セット可能数)を把握できなかったり、先の日付の受注可能数を知るために入庫予定・出庫予定を見て電卓をはじいたりという負担があったからです。また原価を出す場合にも、管理部門が人手での計算をしていました。
もう一つのポイントとして、システム未対応であった輸出・輸入管理業務をシステム化することも今回の大きな柱でした。
これらをパッケージに乗せることを意識して、システム委員会は要件定義とパッケージ選定を行いました。
システム導入・構築のポイント |
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導入・構築の段階では「品目マスタの登録に大変苦労した」と商品管理部の金田様。
旧システムでは、前述のようなセット品部品などに対して、99(諸口コード)を汎用的に使用して折り合いをつけていました。
諸口コードを使った運用は融通がきく代わりにその明細内容が不明になります。これを明確にするため、従来は月末にEXCELの台帳をもとに仕入明細、売上明細、入出庫などすべての伝票の流れをさかのぼり、本来の明細を確認するという在庫の照合作業を行っていました。原価についても同様に製品を熟知した担当者が記憶をたどって割り振る作業が必要であり、月末の負担を膨大にしていました。
この課題を解決するため商品管理部では、システム導入・再構築を機に品目コード体系のゼロからの見直しを行いました。見直しと同時に発生した約1万件もの品目マスタの整備という作業をやり遂げ、またコードが変更になったため並行稼動中のデータの検証には大変苦労されましたが、最終的には、並行稼働3ヶ月目に無事本番稼働を迎えることができました。
システムイメージ図
導入前の課題
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導入後の効果
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営業など現場部門が使いやすいシステムにしたい。
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検索がしやすくなり、現場部門の作業効率が向上。伝票1件の検索に30分~1時間を要することもあったが、1分程度で済むようになった。
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セット品部品の在庫管理をシステム化したい。
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セット品部品の在庫状況を、先々の組み付け可能数に至るまで把握できるようになり、営業からお客さまへの納期回答がスムーズになった。
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諸口コードを使わずに商品を管理したい。
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コード体系を整理しマスタに整備したことで従来3~4日を要していた月末の在庫照合作業がなくなった。
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分析機能などを利用して、集計資料作成の作業を省力化したい。
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BI機能をフル活用し、従来2日を要していた月次の予算・実算の分析資料作成作業を、わずか1クリックで作成できるようになった。
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「以前は『何年何月頃に納めた○×社の製品の~』と言われても調べようがなかったのです。今は一瞬ですね」と三隅様
最初に効果を実感したのは営業部門です。
「以前は、『あの頃売ったよなぁ』と思い出しながら、1画面ずつ伝票を送って探したり、コード番号を帳面をめくって探したりしていました」と、機械営業部の三隅様。
「今は『あいまい検索』があるからすごく便利です。あいまい検索で、例えばローターシールを探すときは『ローター』、『含む』と検索すれば良いですし、納品先のお客さま名でも絞り込めます」(川田様)
「TENSUITEを始めて1年ちょっとですが、その期間のデータだけでも十分楽になったと感じています。これからもっとデータが増えてくれば、さらに楽になるかもしれません」(三隅様)
現場主導で進めた結果、充実した検索機能による「時間効率の向上」という効果が得られたと言えます。営業からお客さまへの回答も素早く行えるようになりました。
「10件や20件伝票の修正があれば、仕入明細・売上明細・入出庫伝票までさかのぼって修正しなければならなかったので、何度も涙が出そうになったものでした」と金田様
管理部門では月末処理の軽さに驚いたといいます。
「以前、月末や決算時、棚卸時に3~4日かけて行っていた、まるでパズル合わせのような諸口の在庫照合作業が、今は完全にゼロになりました」と金田様は振り返ります。
さらに、先々の日付の在庫管理も可能になったことで、「営業側も在庫を組めるかどうかを度々センターに問い合わせたり、商品管理部に聞きに行ったりすることがなくなりました。システムを見たほうが早いですからね」と金田様。
これは諸口コードを撤廃し、セット品の部品管理もシステム化できたことによる負担の解消が非常に大きかったといえます。
[セット品在庫一覧表]
子部品の入出庫予定や引き当て予定数から、完成品の組み付け可能数を把握できる。
「TENSUITEは一度フォーマットを作っておけばボタン1つで毎月の数値に更新できるし、さらに詳細にデータを分解できるというのが、すごく良いと思います」と川田様
また、BI機能について「こんなに良いものはないと思っています」と川田様。
以前は毎月の部長会で使う月次の分析データ作成のため、データの管理元である川田様、金田様がおよそ2日の日数をかけて資料を作成していました。
「月末の分析データ作成が今は本当にすぐできます。それに現在は、副部長以上の役職者のほとんどがBI機能を使っています。特に使われているのは営業の予算絡みで、フォーキャスト(予測)に対してどこまで達成しているか、分類別、部門別、担当者別、または直販・代理店別などさまざまな角度で見ています。さらにその中で掘り下げていったり、分析項目を自由に追加することも」と、川田様。
役職者が常に最新のデータを参照できるようになったことで、経営の意思決定も早くなったといえます。
(その他の現場部門の皆さまからの感想)
※ 取材にあたって現場の皆さまがご意見を寄せてくださいましたので、ここで原文のままご紹介します。
【商品管理部】
【御殿場センター】
【業務部】
【大阪営業部】
【海外機械部】
【ゴルフ営業部】
日本フェィウィック様の今後の事業方針としては、海外ネットワークの強化を計画しています。そのためグローバル化を意識した日立システムズの今後の方向性に期待したい、ということです。
日本フェィウィック様がクラッチブレーキとゴルフグリップという全く異質の商品群を取り扱うようになったのは、どちらも、社名の由来である創業者トーマス・フェィウィック氏の発明であることが所以です。
市場の情況を常に見通し、飽和状態となりつつある国内市場、現状の海外販売チャネルの限界といった障壁に立ち向かうため、海外ネットワークの拡充強化による既存事業の運営転換、新規事業の開拓導入といった新しい戦略で市場に臨んでいます。成長性の維持と会社組織の強化に向かって常に邁進し続ける企業です。
製品名 | TENSUITE 卸売業向け基幹業務システム |
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クライアント数 | 20 |
担当より一言
日立システムズ
営業 富澤 幸司
今回のシステム導入プロジェクトで一番うれしかったことは、お客さまから「導入して本当に良かった!」というお言葉をいただけたことでした。
私たちの仕事は「システムを構築する」ことではなく、「お客さまに満足していただく」ことだと、改めて認識しました。 今後も日本フェィウィック様のビジネスのお役に立てるよう、IT面でのサポートを末永く続けさせていただきたいと思っております。
日立システムズ
設計 谷口 友一
日本フェィウィック様と二人三脚で、「現場がうれしい」システムの構築に成功しました。
今回取材にあたって、各現場部門の皆さまから導入効果についての大変多くのコメントをいただき、本当に嬉しく思っております。この効果の背景は、打合せの初期段階から、積極的に現場の皆様にご参加いただけたことが大きかったと思います。それにより日本フェィウィック様の業務や課題について徹底的にヒアリングさせていただき、その内容に合わせてシステムの仕様や運用方法をご提案させていただくことができました。今後も引き続き、日本フェィウィック様の成長をシステム面からご支援させていただければ幸いです。
上部集合写真にご協力いただいたお客さま(左から)
日本フェィウィック株式会社 システム委員会の皆さま
商品管理部 副部長 金田 剛芳様、 監査役 西牧 春寿様、 総務/業務部 副部長 川田 彰一様、 機械営業部 技術 主事補 斉木 寛之様、 機械営業部 副部長 三隅 徳之様 (右2名は日立システムズ担当)
ご協力ありがとうございました。
取材日:2010年8月
本事例に記載の情報は初掲載時のものであり、閲覧される時点では変更されている可能性があることをご了承ください。
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