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「クラウド・SaaS利用時の業務要件定義の重要ポイント」

失敗事例から学ぶ基幹システム構築講座 「中堅・中小企業のSaaS・クラウド活用を考える」編

2013年4月、「TENSUITE」は、日立 製造・流通業向け基幹業務ソリューション「FutureStage」に統合しました。
※本コラムに記載の商品情報は初掲載時のものです。

クラウド・SaaS利用時のの業務要件定義の重要ポイント

(クラウド5)
「クラウド・SaaS利用時の業務要件定義の重要ポイント」
今回は導入検討段階で業務要件定義をまとめる場合に、自社導入と比べて注意を払わなければならない点について述べていきます。
(2011/1/14)
筆者:(IT コンサルタント)石田 富士夫

フィット・アンド・ギャップの進め方

フィット・アンド・ギャップの進め方は出来るだけ具体的に進めることが重要です。具体的に進めるためには以下の3点が重要ポイントとして挙げられます。

  • (1) 実機でアプリケーションを使ってテストできる環境の構築
  • (2) 業務要件とシステム要件から確認すべき業務パターンとテスト項目の網羅性
  • (3) カスタマイズ要件やデータ量の影響等、テストできない部分のリスク対策

自社導入と異なり、クラウド化しSaaSアプリケーションを使う場合には、システムと業務の不整合部分があってもたやすく直せる環境とは言えません。従ってフィット・アンド・ギャップのステップでしっかりと実業務に適用できる確認を行って導入を進める必要があります。以下でそれぞれの項目について説明していきます。

(1)実機でアプリケーションを使ってテストできる環境の構築

SaaSの場合には既にアプリケーションが出来上がっていますので、評価環境を小規模でも作り、実機で業務テストを行い、業務要件から洗い出したシステム要件との違いを明らかにしていくと良いと思います。SaaSの提供ベンダーとの相談になりますが業務テストを行える環境を提供してもらうよう交渉してみましょう。
もう一つの方法としてクラウドサービスは使った分の費用を払うというコンセプトですから、料金体系を確認してテスト評価用に小規模で期間限定の契約を行い実際に使用してみるとより実際に近い状態でフィット・アンド・ギャップを進めることが出来ます。しかしこの場合は費用が発生しますので、先ずは前記のようにベンダーが営業的に協力できる範囲でテストしたうえで、この段階に進むと良いでしょう。

(2)業務要件とシステム要件から確認すべき業務パターンとテスト項目の網羅性

業務パターンを洗い出し、テスト項目を網羅することは大変重要なことであり、誰しも当然のこととして理解できることです。しかし実際に行うとなると、時間がかかり、根気のいる仕事です。また、ある程度の経験を持ち現状の業務を理解していないと、妥当性があり網羅性のあるテスト項目は作成できません。しかし、この人たちは現業を進める核となっている場合が多く、時間の確保が難しい場合も多いのが実情です。この仕事を行うには先ず「担当出来る人の時間を確保する環境作り」からはじめる必要があります。

上記が整ったら、「業務パターンの洗い出しとテスト項目を作成する」作業に入ります。この作業のベースとなる資料は「業務要件書」と「システム要件書」になります。要件書の体系としては「業務要件書」が業務の流れに沿って業務内容が定義されており、その中でシステム化すべき業務機能が「システム要件書」に定義される体系になります。この要件書を元にシステム機能ごとに業務パターンを作成し、それぞれのテスト項目を洗い出していきます。ここで注意すべきことは、詳細に記述していくうちに現行の方法や形式にどうしても捉われて改善した業務要件から外れていってしまう危険があることです。一度作った資料はもう一度要件に合致しているか確認して方向がずれないようにしていくことが大切です。また、この段階で導入を検討しているシステム機能と比較してしまうと要件がゆがめられてしまうこともありますので、洗い出し段階では導入システムを意識せず作成し、テスト段階でギャップを洗い出していくことにします。

(3)カスタマイズ要件やデータ量の影響等、テストできない部分のリスク対策

システムで管理したい項目や処理機能、アウトプット帳票など業務機能については、テスト項目からデータ、マスタを準備してテスト環境で確認できますが、標準の機能で対応できない機能要件については実機テストが出来ません。ソフトの個別カスタマイズがパラメタ設定で可能な場合は、ある程度確認が可能ですが、個別に処理を追加することにする場合は確認不能です。このような場合は、具体的な画面設計や処理条件のドキュメントをシステム要件に添付して相違が起こらないような手立てが必要です。

また、データ量の増加に対する制約条件やコストも後々問題にならないように書類で確認しておく必要があります。更に業務のピーク時のレスポンスタイムの最大待ち時間や、大量のプリント処理の時間、バックアップの取得と回復方法等の運用に関係する部分についてもテストは出来ませんので、SLAで確認しておくことが必要です。

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