失敗事例から学ぶ基幹システム構築講座 「中堅・中小企業のSaaS・クラウド活用を考える」編
2013年4月、「TENSUITE」は、日立 製造・流通業向け基幹業務ソリューション「FutureStage」に統合しました。
※本コラムに記載の商品情報は初掲載時のものです。
(クラウド4)
「クラウド・SaaS利用時のRFP作成方法とSLA重点チェックポイント」
クラウド・SaaS利用時のRFP作成やSLAチェックでは、導入型とは違った、注意すべき特有のポイントがあります。それらをよく検討することでクラウド・SaaS活用の期待効果を高めることができるため、これからクラウド・SaaS活用を検討するユーザー様はぜひチェックしてください。
(2010/12/14)
筆者:(IT コンサルタント)石田 富士夫
セキュリティの面から考えると、自社の重要情報を自社から外に出すということに基本的に不安を感じることがあります。セキュリティ対策はこれで万全ということにはならず、最後は人的なミスや、悪意による侵入漏洩に対して100%の安全性を保証できるものではありません。これらは社内で管理しているからといって決して安心できるものではありません。社内で管理しているときのメリットは社員の教育を徹底することで人的エラーを抑止することがあります。クラウドの場合はこれを他企業に委ねる事になります。信頼できるサービス業者を選択し、管理規定の説明を受け、現場を確認し、利用企業の話を聞くなどして実態を把握して評価・判断していくことが重要です。
処理能力の評価については、サービス業者の見積に依存するところですが、業務処理上で必要とされる性能要件については漏れの無いように提示しておく必要があります。しかし、過度な性能の要求は過剰設備を見積もることにつながり、費用面の負担が増えることになってしまいます。従って、RFPとしては画面のレスポンスタイムは通常時とピーク時とに分けて整理し、サーバーに対する処理要求(入力、問合せ、作表)の頻度を時間別や期間別(日別)に想定して提示すると良いでしょう。サービスや資源(ディスク容量、サーバー数・処理能力・メモリ)の見積はピーク時にあわせるのではなく、業務量に応じて柔軟に増加・削減ができると効率的な運用が可能となりますし、費用面でも最適化が図れると考えられます。
「必要な時に必要な資源を利用しこの対価を払う」というクラウドの概念が具体的にどのような契約になり、想定費用がいくらになるか、具体的に試算し評価しましょう。
レスポンスについてはインターネット回線のスピードや回線の混雑度によっても伝送に掛かる時間が異なります。特にバッチデータのアップロード・ダウンロードや大量の帳票データの受信時は回線スピードによる影響が大きくなりますので、この点も見積り、適正な回線を用意するような検討が必要になります。
上記の定常業務の他に、業務管理・企画のために業務の明細データを実績データとして保管し、必要に応じて参照分析するという管理業務があります。クラウド上で明細情報を保管・管理する場合は、保管用のディスク容量も見積って確保しておく必要があります。
明細データの保管期間、予想される最大件数を提示して見積っておきましょう。
あまり長期に明細データを残すと保管するだけでコストがかさんでいきますので、定期的に情報を集約し明細を削除する運用をルール化することで、極端なデータスペースの増加を避ける対策も必要です。
日立システムズは、システムのコンサルティングから構築、導入、運用、そして保守まで、ITライフサイクルの全領域をカバーした真のワンストップサービスを提供します。