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ワークスタイルを変革しながら、情報資産をセキュアに守る!シンクライアントに変わる新たな選択肢「データレスPC」とは?

IT運用管理ソリューションの新しい潮流「データレスPC」

「Flex Work Place(フレックスワークプレイス)」は、効率的なワークスタイルを実現しながら、PCの紛失や盗難による情報漏えいのリスクを抑える、新しい形のソリューションです。

このソリューションを、私たちは「データレスPC」と呼び、お客さまのワークスタイル変革を支援するため積極的な普及・啓蒙活動を行っています。本コラムでは、データレスPCがこれまでのIT運用管理ソリューションとどう違うのか、また、導入によりどのようなメリットが実現するのかについてご説明します。

まずは、企業の持ち出しPCがこれまでどのように管理されてきたのか、IT運用管理ソリューションの変遷を辿りながら、データレスPCが誕生するまでの経緯を見ていこうと思います。

2000年代初頭~ノートPCの紛失・盗難による情報漏えいを防ぐため、
「ハードディスク暗号化ソフト」が登場

ノートPCの基本性能は2000年代に入って大きく向上しました。これにより、営業やフィールドエンジニアなど、外出機会の多い社員にノートPCを貸与する企業が増加を始めます。

外出先でもメールチェックや業務処理が行えるようになり、生産性は向上する一方で、ノートPCの紛失や盗難事件が多発し、情報資産の漏えいが社会問題にまで発展するようになりました。

この問題に対処するため、PC内に保存されたデータを暗号化する「ハードディスク暗号化ソフト」が多数開発され、それを持ち出し用ノートPCにインストールする企業が増えました。しかし、このソフトにはデメリットがありました。データの保存や呼び出しに時間がかかるため利用者のストレスを生みやすく、また、ソフトに不具合が発生すると、最悪の場合ノートPC内のデータが破損してしまう恐れがあったのです。

また、仮にデータを暗号化したとしても、それを「第三者が絶対に複合化できない」ことを保証できない以上は、PCの紛失イコール情報の漏えいと考えることができます。情報資産を堅固に守るという観点からは、ハードディスク暗号化ソフトは万全のソリューションと言えないものでした。

2000年代中頃~ ノートPCをインターフェース機能だけに絞った
「シンクライアント」が脚光を浴びる

この問題を解決するソリューションとして、次に脚光を浴びたのが「シンクライアント」です。シンクライアントで利用される端末は、一般的なノートPCと見た目はほとんど変わりませんが、「Thin(シン)=薄い」の名前の通り、PC内部の機能が大幅に絞り込まれています。

PC内部で行う処理機能や、保存するデータは必要最小限にとどめ、それらを中央に置かれたサーバー側で行うのがシンクライアントです。端末は、PC操作を行うためのインターフェース機能しか持たないため、仮に紛失、盗難、破損が起きても、重要なデータは中央のサーバー側で保全されます。シンクライアントの呼称が一般化したことで、従来のPC端末は「FAT(ファット)クライアント」と呼ばれ、シンクライアント端末と区別されるようになりました。

シンクライアントの実行方式は複数ありますが、仮想化技術が進展した現在では、PCのデスクトップ環境を中央のサーバー側で稼働させる仕組み「VDI(Virtual Desktop Infrastructure)」方式が主流となっています。

シンクライアントの本格的な普及を阻む、2つの導入障壁

2000年代後半に入ると、大企業を中心にシンクライアント採用企業は増えていきましたが、いまだに本格的な普及には至っていません。というのも、シンクライアントにもいくつかのデメリットがあり、それが本格的な普及を阻む障壁となっているからです。

その中でも、特に大きな導入障壁を2つご紹介します。

シンクライアントの導入障壁1「導入・運用・管理コストが高い」

VDI方式によるシンクライアント環境の構築には、多大なコストがかかります。仮想化基盤を構築するためのソフトウェア、クライアント端末に搭載するOS、また、PCの台数が多ければログ管理やデバイス制御などの統合管理ツールも必要で、ソフトウェアの調達費用が高額になりがちです。さらに、FATクライアントと同様の利用感を担保するには、高いスペックを備えたサーバーも必要となります。

導入後のランニングコスト負担も大きなものです。シンクライアントの運用・管理には高度なノウハウや経験が必要とされ、高度なIT人材の確保が必要です。人員確保が難しい場合には運用・管理のアウトソーシングを行わなければなりませんが、向こう数年間にわたる外注費用は事業活動にとって大きな負担となります。

シンクライアントの導入障壁2「パフォーマンスの問題」

シンクライアントでは中央のサーバーに処理を集中させるため、サーバーの性能が低い場合、シンプルなテキストの入力・変換でもタイムラグが発生することがあります。処理能力を強化するために高性能なサーバーを用意しても、休日明けの月曜日など、全社員が一斉にPC利用を開始するタイミングにはレスポンスが悪くなりがちで、これが利用者のストレスを引き起こしていました。

2013年~ シンクライアントに変わる新たな選択肢「データレスPC」が誕生

こうした状況を大きく変えるソリューションとして、2013年に登場したのがデータレスPCです。データレスPCは、いわばFATクライアントとシンクライアントの「良いとこどり」で、なおかつそれを中堅・中小企業にも導入しやすいコストで実現した画期的なソリューションです。

データレスPCは、シンクライアントと同様、端末内に必要最小限のデータしか保持しません。必要なデータはそのつど中央のサーバーから呼び出され、作業が終わるとまた中央のサーバーに保存されます。PCの電源をOFFにすると端末内のデータは消去されるため、端末の盗難、紛失、破損があっても貴重な情報が漏えいする心配はありません。

シンクライアントと違う点は、端末内にOSとアプリケーションを搭載していることです。データの読み込み、書き込みのみを中央のサーバーと行い、その処理は端末内部のOS、アプリケーションで行うため、サーバーにかかる処理が分散され、FATクライアントと遜色のない快適なレスポンスを担保することができます。

「データレスPC」は、FATクライアント、シンクライアントの
デメリットを解決する

こうした特徴を持つデータレスPCは、FATクライアントやシンクライアントの持つデメリットを以下のように解決します。

「FATクライアント&ハードディスク暗号化」のデメリット
  • ハードディスク暗号化ソフトに不具合があると、データが消失する可能性がある。
データレスPCで解決!
  • データは中央のサーバーに保存されるため、PC端末に不具合が発生してもデータは保全されます。テンポラリ領域に保持されているデータも、PC電源をOFFにするとすべて消去されるため、盗難・紛失時にデータが漏えいすることはありません。
「シンクライアント」のデメリット
  • 導入・運用・管理コストが高く、中堅・中小企業には導入ハードルが高い。
データレスPCで解決!
  • PC端末に専用アプリケーションをインストールするだけで導入が可能。VDIに比べソフトウェアライセンス費用を大幅に抑えることができ、また、高度なノウハウや経験がなくてもVDIと同等の環境を構築することができます。

特に、導入・運用・管理コストを安く抑えられる点は、多くの企業の注目を集めています。VDIと同等の環境を、10分の1程度のコストで構築することも可能であるため、既存のVDI環境からのリプレイスや、かつて費用がネックとなりVDI導入を見送ったことがある企業さまから、多くのお問い合わせをいただいています。

Flex Work Placeが、新しいワークスタイルの実現を支援します

データレスPCソリューションのFlex Work Placeは、2013年のリリース以降、数多くの企業さまにご導入いただくソリューションに成長しました。データレスPCという概念とともに、その認知は徐々に広がっており、今後、導入企業数はさらに伸びていくものと思われます。

長年にわたって、「安心できるPC利用環境を構築すること」と「利用者にとって使い勝手の良いPC利用環境を確保すること」はトレードオフの関係にありました。データレスPCは、この両立を低コストで実現する画期的なソリューションです。情報システム部門が長い間頭を悩ませてきた課題を解決するチャンスが、今そこにあるのです。

技術の進化・発展により実現したデータレスPCは、ワークスタイル変革が叫ばれる時代において、企業の働き方を次のステージへと推し進める強力なソリューションとなるはずです。

ぜひ、Flex Work Placeとともに、時間や場所にとらわれない、新しいワークスタイルを確立していただければと思います。

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