2020年、4000万人の外国人訪日客がやってくる――多くの企業や自治体がいま、このビッグチャンスを何とかものしようと模索している。インバウンドで成功するためにはどうすればいいのか。本特集では、さまざまな角度からそのヒントを追いかけていく。
インバウンドで成功するためにはターゲットに対して正しいアプローチをしなくてはならない。企業や自治体に対してインバウンドマーケティングのコンサルティングを手掛けるジャパンインバウンドソリューションズの中村好明社長は「団体観光客ではなく、個人観光客へのアプローチが急務だ」と説明する。
これまでは団体観光客の割合が多かったが、近年は個人観光客(特に中国)が増加傾向にある。また、2015年に個人観光ビザの発給要件が大幅に緩和されたことで、このトレンドは続くと見ている。企業や自治体は団体観光客から個人観光客へシフトしてきているトレンドの変化にまだまだ対応できていない(あるいは気付いていない)ところが多いという。
中村好明社長
「従来のアプローチは、ツアーを実施する旅行会社に働きかければガイドや添乗員が案内してくれるB2Bの関係だったが、個人観光客を呼び込むB2Cでは苦戦しているところが多い。B2Cでは、事業者が単体で売り込むだけでは弱く、その地域、街全体の魅力を発信していくことや、街全体で受け入れ対応をしていかなければ、なかなか足を運んでくれない」(同)
特に、大都市圏よりも認知度が劣る地方では、企業と自治体が連携し、街ぐるみで呼び込んでいくことがより求められる。これからのインバウンドは「一事業者のみで成功することは困難」(同)だと指摘する。
さらに、「インバウント戦略は地方の生き残り戦略だ」――と中村社長は続ける。
2014年、日本創成会議の増田寛也座長は「2040年までに896の自治体が消滅する」という調査報告書を提出した。日本は今以上に生産年齢人口が減り続け、そのダメージは過疎化が進む地方が真っ先に受けることになるかもしれない。
現在、インバウンドの恩恵を多く受けているのは東京、大阪、京都、北海道などの主要観光地であるが、これからは地方こそがインバウンドという絶好のチャンスをものにしていかなければならない。そのためにも、前述したように企業、地域、自治体が一丸となって取り組まなければいけない課題なのだ。
爆買いのような一時的な現象に浮かれることなく、また、世界経済の浮沈に一喜一憂することなく全産業、全省庁が『これからはインバウンド時代だ』と自覚して積極的に取り組んでいかなくてはならない。地方創生はインバウンドマーケティングにかかっている」(同)
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