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インタビュー

「MIRAMED」が創る、ヘルスケアの未来

健康な暮らしに寄り添う、ヘルスケアDX

出席者(右から)

鴻谷 則和
株式会社日立システムズ 産業・流通事業グループ
デジタル・ライフサイエンスサービス本部 主管技師長
小林 健志
株式会社日立システムズ 産業・流通事業グループ
デジタル・ライフサイエンスサービス本部 健康支援サービス部 技師
佐竹 一恵
株式会社日立システムズ 産業・流通営業統括本部
第七営業本部 第一営業部 第三グループ 部長代理

来るべき人生100年時代、人々の健康寿命をいかに伸ばしていくか。少子高齢化が進む中で、セルフメディケーションの重要性はますます高まっていると言える。そうした社会課題の解決を支援するサービスが、日立システムズの「健康支援サービス(MIRAMED)」だ。同サービスの企画・開発を担ったメンバーたちが、これからの社会を支えるヘルスケアDXについて語った。

求められるのは「成果」。
「特定保健指導」は変革を迎えている。

――健康支援サービス「MIRAMED」の背景にある、「ヘルスケアの今」についてお聞かせください。

鴻谷) 人生100年時代と言われる昨今、大きな課題とされているのが平均寿命と健康寿命のギャップです。いかに健康に、長生きしてもらうか。国民医療費の増加も課題となる中で、30代・40代からのセルフメディケーションがきわめて重要な意味を持つようになりました。医療費が高額なアメリカでは、自分自身で健康をコントロールしようという考えが自然と生まれてくるのですが、日本には国民皆保険制度や3割負担という手厚い制度があるために、健康に対する危機感がなかなか芽生えないのではと思います。その上で重要になってくるのが、予防、健診・検査、治療というサイクルに切れ目をつくらないこと。「MIRAMED」を通じて、平均寿命と健康寿命のギャップを埋めたい。予防からのサイクルに切れ目のない健康な社会を実現したい。そう考えているんです。

――同サービスは「特定保健指導」のフェーズを支えるものです。「特定保健指導」にも大きなパラダイムシフトが訪れているそうですね。

鴻谷) 厚生労働省は2024年度からスタートする第4期特定健診・保健指導について、見直しの方向を示しています。とくに大きな変化として特筆すべきことは、従来の「指導という行為そのもの」に加え、「指導による成果」に対するアウトカム評価の導入が検討されていることです。つまり、指導の「質」も問われるようになるわけです。特定健診・特定保健指導の実施率が低い健康保険組合に対しては、高齢者医療制度の拠出金が加算されていますが、これも「成果」によって判断されるようになるとみています。

佐竹) 今、まさに変化が求められている分野で、特定保健指導を担う保健師や管理栄養士の方々は、これまで以上に力量を問われるようになりそうですね。対象者の意識や行動を変えるところまでコミットしなければいけないのですから。実際に指導を受ける対象者の中には、指導期間だけ頑張って期間が終わるとリバウンドしてしまうケースもあるそうです。

イメージ:求められるのは「成果」。「特定保健指導」は変革を迎えている。

行動変容まで伴走し、
人々の健康に寄り添っていく。

――「MIRAMED」とはどのようなサービスなのでしょうか。

小林) 「MIRAMED」は、特定保健指導の実施や生活習慣改善をサポートするサービスです。日立システムズでは健診から終末期医療に至るまで、あらゆるサイクルをITで支援していく「医薬・ヘルスケアプラットフォーム」の構築をめざしていますが、このサービスは「未病」と呼ばれる領域を支えていくものです。病名はついていないけれど健康リスクが高い、いわゆるメタボ層の人を対象者としています。
特徴は3つあります。まず、AIを活用して将来の生活習慣関連疾患のリスクを「見える化」して、対象者に気づきを与えます。次に、アプリケーションの各種機能が意識変革と行動変容を促し、対象者の健康増進をサポートする伴走者の役割を果たします。そして、保健師、管理栄養士といった指導担当者に使いやすい仕様で、情報の一元管理や遠隔指導を実現します。

図:行動変容促進システムにより、健康診断の結果等から疾患リスクを予測し、データを分析・連携。医療提供のサイクルに合わせた適切なサービスを選定し提供

――行動変容までをしっかりサポートできる。特定保健指導をする人にとっても、「未病」の状態にある対象者にとっても、心強い味方になりそうですね。

小林) その裏付けとなっているのが、東京大学センター・オブ・イノベーション(東京大学COI*)が開発した行動変容促進システムです。健診結果を数字で確認しただけでは、人は危機感を抱かないもの。そこからいかにシンプルに、行動変容に結びつけていくのか。最前線で活躍する医師の知見が凝縮され、しっかりとしたエビデンスに基づいたロジックは、数多存在する健康支援アプリとは一線を画すものだと言えます。

佐竹) 医師と接するのは、病気になって診察を受けに行った時、というのが一般的です。ただ、それでは本人が気づかないうちに重大な病気を発症してしまうかもしれません。ヘルスケアと医療の間の隔たりをなくして切れ目のないサイクルをつくっていくことが大事だという話題が出ましたが、この「MIRAMED」はヘルスケアの領域でも医師の視点でアドバイスをもらえる架け橋のような存在になれる可能性があると思います。

鴻谷) 実際、「未病」の領域にいる人は、体調が悪いと感じているわけではありませんからね。お医者さんの考えをシステムを通して届けていくことができれば、後になって悔やむことも少なくなると期待しています。

――ヘルスケアと医療をシームレスにつなぐ。そして、行動変容まで伴走する。まさに人に寄り添う日立システムズらしいサービスですね。

小林) これからの特定保健指導は「成果」が問われることになります。では、どうすれば人の行動変容を促せるのか。それは、寄り添い続けるしかないんですよね。ただし、指導担当者の数は限られているし、対象者に常に付きっきりで指導するなんて、できるはずがありません。アプリをきっかけに自分で気づいて、行動に移せる。指導する側もアプリを介してモニタリングしながら効率よく「成果」に導ける。双方に寄り添っていけるサービスになっていると自負しています。

イメージ:行動変容まで伴走し、人々の健康に寄り添っていく。

――対象者にとっては、常に保健師や管理栄養士がそばにいる感覚なのかもしれませんね。

佐竹) そうかもしれませんね。また、このアプリでは食生活や運動に留まらず、睡眠やストレスについても記録することで、より的確なアドバイスを提供し、振り返りを行える仕様になっています。「気づく」→「続ける」→「振り返る」→「達成する」の繰り返しで行動変容を支援します。

小林) 大事なのは本人に気づかせることで、そのための仕組みにはこだわり抜いています。「金曜日はストレスが高めだな」「十分な睡眠が取れていないな」といったように、自分の生活の現在位置をしっかりと把握することができます。そして将来的には職場や家族もそうした状況を共有し、対象者本人を思いやり、改善を後押しできるようになるといいな、と思います。

佐竹) データを介して特定保健指導が行われれば、指導担当者と対象者がアクションを明確に共有して、より適切なアドバイスができるようになります。これまではたとえ歩いていなくても「今日は1万歩歩きました」と言えたかもしれませんが、そういうわけにはいかなくなりますね(笑)。でも、「日々の頑張りをモニタリングできることが指導担当者のモチベーションにつながる」といううれしいコメントもいただいています。

――では、皆さんが開発に込めた想いをお聞かせください。

小林) 診察は医師にしかできません。けれど、このサービスを通じて多くの人の健康を支えていけることに大きなモチベーションを感じています。多くの人々に健康で過ごしてほしい。その想いがすべてですね。すごいことを任せていただいたと思っています。

鴻谷) 健康づくりは働く世代のうちに習慣化しておかないと、引退後に1から取り組むことはなかなか難しいんですよ。仕事が忙しいと健康管理が後回しになってしまうという方もいらっしゃるとは思いますが、健康あっての仕事ですから、「MIRAMED」をきっかけに1人でも多くの方に健康な暮らしを意識していただきたいなと思っています。

イメージ:行動変容まで伴走し、人々の健康に寄り添っていく。

佐竹) 私自身、東京大学COIに3年間出向し、サービスの企画・構想に携わってきたこともあって、開発された先生方の想いがそのまま私の想いになっています。病気になる前に防ぐ。メタボにならない、させない。その重要性を痛感しています。また、現状は特定保健指導を行う方の大半が女性です。結婚や子育てなど家庭の事情で仕事をあきらめざるを得ない方が未だに多くいらっしゃる中、このサービスを通じて「女性の活躍機会を守りたい」という先生の想いにも強く共感しています。ICT化が「在宅」や「遠隔」などを実現して仕事の選択肢を広げると信じています。

――すでに「MIRAMED」は、健康保険組合をはじめ、多くの団体から引き合いをいただき、導入されています。お客さまからは、どのような声が寄せられていますか。

小林) 「対象者の健康行動や状態をリアルタイムに把握できるようになった」「対象者に今までになかった気づきが生まれている」「睡眠やストレスなど、食事・運動に留まらないアドバイスができるようになった」と高評価をいただいています。

佐竹) 指導者側にも新たな気づきがあったそうです。「『MIRAMED』を使うことで、従来型の指導方法にはない新たな指導の幅が広がった」というお言葉をいただいた時は、この上ない喜びを感じることができました。このサービスはまだ始まったばかりですので、利用者の声をお叱りも含めてしっかりと受け止め、さらに価値あるサービスにつなげていきたいと思います。

*東京大学COI(Center of Innovation):文部科学省および国立研究開発法人科学技術振興機構が主導する革新的産学連携プログラム。2022年3月のプログラム終了後は、東京大学大学院臨床生命医工学連携研究機構に活動が引き継がれています。

日立システムズが描く
「ヘルスケアの未来」とは?

――では、今後の展望について教えてください。

鴻谷) このサービスは「特定保健指導」「未病」をターゲットにしたものですが、今後は指導対象となる前から健康を維持するための意識や行動を手助けできるサービスに育てたいと考えています。一人ひとりの体質や病歴をデータ化し、パーソナル・ヘルス・レコード(PHR)を蓄積することで、介護予防・介護への寄与を可能にする。さらには、一人ひとりの健康状態や生活習慣に応じた本人にとって適切なケアやアドバイスを提示できる。今後は、そのような未来が実現していきますし、そうしたヘルスケアの基盤を次代につないでいきたいと思っています。

佐竹) 「MIRAMED」は、「一般的にこうですよ」ではなく、「あなたはこうですよ」と個別化した内容でアドバイスを提示します。そうしたデータの整備や活用は国の施策レベルの話ではありますが、どこにいても、データから個々人が適切な治療法や対策を享受できる未来に期待しています。

――データの活用、テクノロジーの進化が、人々の健康をより効果的に支えていける時代がすぐそこに来ているのですね。

佐竹) データを取得できるデバイスが進化している点も、ヘルスケアの変革にとって大きなポイントだと思います。歩数だってスマホで計れるようになりましたし、スマートウォッチも普及して様々なデータを取れるようになりました。

小林) しかも単純なデータを取れるだけでなく、AIなどである程度解析したデータを得られるようになっていますからね。こうしたデバイスに対応し、連携していけるシステムの構築も推進していきたいです。

――それでは、最後に読者の皆さんにメッセージをお願いします。

小林) とにかく「MIRAMED」を使っていただきたいです。使ってみなければ気づきは生まれないし、行動変容も起きない。だからこそ、私たちも「使いたい」と思えるものにこだわらなければいけません。利用者の声を取り入れながら、よりよいサービスを実現していきたいですね。

鴻谷) 多くの人々に健康で、豊かな人生を過ごしてほしい。その一点につきます。だからこそ、まずは自分自身の健康をしっかりと意識していただきたいと思います。「MIRAMED」が、そのきっかけになってくれればうれしいですね。

佐竹) ICTの力で人を、人の想いを支えていく。それが日立システムズの仕事です。人が介在するからこそ、システムは輝くものだと思います。医師や指導を担当される方々は、人々の健康やヘルスケアに並々ならぬ想いを抱いています。その想いをしっかりと受け止め、「MIRAMED」を使ってくださる皆さんに確かな価値を届けていきたいと思っています。

※「健康支援サービス(MIRAMED)」は、疾病の診断、治療、予防を目的としていません。

※「MIRAMED」は国立大学法人東京大学の登録商標です。

イメージ:日立システムズが描く「ヘルスケアの未来」とは?

ダウンロード資料一覧

健康支援サービス(MIRAMED)
特定保健指導支援システム/
生活習慣改善アプリケーション

対 象

自治体職員さま、健康保険組合職員さま、
特定保健指導実施機関職員さま

概 要

特定保健指導対象者と指導担当者が利用できる2in1のサービス、健康支援サービス(MIRAMED)の詳細をご紹介しています。

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