法規制に準拠したクラウド基盤を活用し、健診から治療支援、介護までを包括するサービスの提供により国民一人ひとりの健康寿命延伸のための情報連携体制整備の支援をめざす
2021年8月18日
株式会社日立システムズ
概要
株式会社日立システムズ(代表取締役 取締役社長:柴原 節男、本社:東京都品川区/以下、日立システムズ)は、医薬・ヘルスケア領域における中期事業戦略を発表します。
具体的には、法規制に準拠したクラウド基盤と、東京大学センター・オブ・イノベーション「自分で守る健康社会拠点」(以下、東京大学COI(*1))が開発したAIを用いた生活習慣関連疾患に関するリスクの可視化をめざした行動変容促進システム、さらには、パートナーとの連携を含めた各種サービスを組み合わせることで、健診から治療支援、介護までを包括したサービスの提供をめざします。これにより、利用者は医療提供のサイクルの中で分断されることなく適切なサービスを受けられるようになります。また、日立システムズが提供するデジタル技術を活用したサービスやBPO(*2)サービスなどと連携することで、関連する業務のデジタルトランスフォーメーション(DX(*3))を推進することが可能です。
日立システムズは、政府が掲げる予防から治療までを切れ目なく提供できる連携体制の整備・実現を支援し、国民一人ひとりの健康寿命の延伸と、国が負担する医療費の削減などへの貢献をめざします。
図1.医療・ヘルスケア領域における事業の全体像
背景
わが国では、平均寿命と健康寿命のギャップにより、国が負担する医療費の増大(年間約43兆円)などが課題になっています。こうした状況を受け、政府は、国民一人ひとりの健康寿命を延伸させるため、予防、健診・検査、診断、治療といった医療提供のサイクルで切れ目のない連携体制を整備し、一次・二次・三次予防の網を張り巡らせようと取り組んでいます。
しかし、現状では、各サイクルに対する個別サービスは存在するものの、複数のサイクルをまたいだサービスや、保険者、健診・医療機関など複数の事業者に対応するサービス、また、それらから得た医療情報を一元的に管理し、包括的に提供できるサービスは限られている状況です。
さらに、医療情報を一元的に管理するプラットフォーム基盤の整備・運用は、機微な情報を取り扱うため、厳しい法規制やガイドライン、セキュリティ基準等を満たす必要があり、導入への課題となっています。
詳細
こうした背景の下、日立システムズは、厳しい法規制やガイドライン、セキュリティ基準等を満たし、健診から治療支援、介護までを包括した切れ目のないサービスの提供をめざします。
日立システムズは、日立グループ各社と連携し、医薬・ヘルスケア領域において、RPA(*4)などのデジタル技術の活用によるDXの実現を支援しているほか、各種サービスや基盤となるプラットフォームサービスの提供を中心に取り組んでいます。
その中で、日立システムズの強みは法規制に準拠したクラウド基盤です。2014年から提供しているCSV(*5)対応のクラウドサービスや、アマゾン ウェブ サービス(以下、AWS)環境における医療情報の適正かつ安全な取り扱いをはじめ、医療情報システムのさまざまな要件に対応するための考え方や関連する情報を整理・検討した各種リファレンスを提供しています。各種リファレンスは、厚生労働省、総務省、経済産業省の3省が定めた2つのガイドライン(*6)に対応したもので、日立システムズは医療情報システムにおけるAWS環境の活用を促進するとともに、医療情報を取り扱う場合のセキュリティ対策・安全管理などを意識したクラウドシステム構築の支援や、システムコストの最適化、運用管理の効率化を支援する各種ITサービスを広く提供しています。また、これらの実績が評価され、国内企業で唯一「AWSコンピテンシープログラムにおけるライフサイエンスコンピテンシー(*7)」を取得しています。
また、本年4月には株式会社インテグリティ・ヘルスケア(代表取締役社長:園田 愛、本社:東京都中央区/以下、インテグリティ・ヘルスケア)と提携し、自治体、健康保険組合、企業等に対し、セキュアなクラウド基盤上でオンライン診療や服薬指導、PHR(*8)サービスなどを連携させることで、医療情報を一元的に管理し、それらの情報に基づいた総合的な健康支援サービスの開発に取り組んでいます。
一元的に管理された医療情報に対しては、東京大学COIが開発したAIを用いた生活習慣関連疾患に関するリスクの可視化をめざした行動変容促進システムを活用し、健康診断の結果等から疾患リスクを予測しオンラインでの保健指導を可能とするほか、専門家監修による医学的根拠に基づいた日常生活の評価や個々の状況に応じたアドバイスをスマートデバイス上で提供し、利用者の行動変容を促します。
これに合わせて、パートナーとも連携したサービスを提供することで、利用者はサイクルの中で分断されることなくサービスを受けられるようになります。
日立システムズでは、こうした健診から治療支援、介護まで情報連携できる包括したサービスの提供を2023年度までに段階的に開始していく予定です。
これにより、国民自身に健康への気づきを与え、一人ひとりの状態によって法定健診の受診や結果に関する医師への相談・助言、将来的な疾患リスクの大小に応じた対応策を提示することで、政府が掲げる予防から治療までを切れ目なく提供できる連携体制の整備・実現を支援します。
今後、日立システムズは、医薬・ヘルスケア領域において、DX実現の支援に取り組むほか、株式会社日立製作所のLumada(*9)ソリューションを迅速に検証・活用できるLumada Solution Hub(*10)などとも連携を図り、2023年度までに約100億円の売上をめざします。
No. | 分野 | 項目 | 提供時期 | 概要 |
---|---|---|---|---|
1 | 未病分野 | 健康支援 | 2020年 6月、8月 【提供中】 |
2020年6月に企業向けの「健康経営支援サービス」、8月に自治体向けの「健康増進事業支援サービス」を提供し、従業員や地域住民の計測データ管理、生活習慣の改善・定着までの一連の健康づくりを効率よくサポート |
2 | 未病(特定保健指導)分野 | 生活習慣行動変容 | 2021年 11月予定 |
健康診断データや生活習慣に関するアンケート結果などから、AI等によって将来のメタボリックシンドロームや関連疾患のリスクを算出し、可視化。個々の状況に応じたアドバイスを提示し、改善目標達成に向けたモチベーション維持と行動変容を促す。オンライン面談や改善状況の一元管理を可能とし、指導の充実も支援する予定 |
3 | 受診勧奨(産業保健)分野 | 重症化予防 | 2022年 夏予定 |
生活習慣病リスクの高い肥満者や服薬者など、事業主のニーズに即したリスク群に対して、生活習慣病の重症化予防指導を行うサービスを提供予定。また、発症者の重症化を予防する介入支援などによって、医療費削減に直接的な効果をもたらす |
4 | 診療・治療(診断・服薬指導)分野 | PHR(Smart One Health)を活用した総合的な健康支援 | 2022年 2月予定 |
2021年4月に、インテグリティ・ヘルスケアと医薬・ヘルスケアの領域において提携。オンライン診療や服薬指導、PHRサービスなどを連携させることで、健康データを一元的に管理し、それらの情報に基づく総合的な健康支援サービスを提供予定 |
5 | 治療分野 | デジタル薬(DTx) (*11) | 2023年度予定 | 製薬企業等と連携し、サービス展開に向け検討中 |
6 | 介護分野 | 介護・見守り | 2019年 4月 【提供中】 |
「福祉の森 見守りシステム」を提供。赤外線センサーやマット型の生体センサーなど、さまざまなセンサーから複数の入居者の寝返りなどの体動情報や、脈拍、呼吸などに関する生体情報を取得し、居室ごとに分かりやすく一画面で表示可能。本システムで取得した情報やIoT対応の医療機器から取得した体温や血圧などのバイタル情報は、「福祉の森 介護記録システム」に自動記録することができるため、入居者のケアを、より安全かつタイムリーに行えるようになる |
株式会社日立システムズは、幅広い規模・業種システムの構築と、データセンター、ネットワークやセキュリティの運用・監視センター、コンタクトセンター、全国約300か所のサービス拠点などの多彩なサービスインフラを生かしたシステム運用・監視・保守が強みのITサービス企業です。多彩な「人財」と先進の情報技術を組み合わせた独自のサービスによってお客さまのデジタライゼーションに貢献し、新たな価値創造に共に取り組み、お客さまからすべてを任せていただけるグローバルサービスカンパニーをめざします。
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