本コラムは、AI専門家のマーク・ミネビッチ氏執筆によるホワイトペーパー「ビジネスの未来を拓く 生成AIグローバルトレンド 第4回:中堅・中小企業のための生成AI導入ガイド [後編:生成AI導入を成功に導く体系的アプローチ]」の内容を要約したダイジェスト版です。すべての内容をご覧になりたい方は下記リンクよりお申込みください。
今回は「中堅・中小企業のための生成AI導入ガイド」後編をお送りします。前回に引き続き、中堅・中小企業が生成AIの導入を実現し、その真価を引き出すための手順について解説します。中堅・中小企業は大企業と比較してリソースに制約があるケースがほとんどです。そのため、生成AIのような高度なテクノロジーを導入し成功させるには、要点を抑えた効率的な導入が求められます。
前回(第3回:中堅・中小企業のための生成AI導入ガイド [前編:試験導入におけるユースケース選定のポイント])は、試験導入における最初の生成AIのユースケース選定について詳しく解説しました。今回は、試験導入の終了後、生成AIを本格導入するにあたって、導入プロジェクトを成功に導く5つのステップについて解説します。生成AI導入の体系的なアプローチを理解することで、読者の皆さまが生成AIの大きなメリットを享受できることをめざします。
生成AIの導入プロジェクトを成功に導くには、ユースケースの評価、適切なAIモデルの選定、データの準備、柔軟なシステムのアーキテクチャー設計、パフォーマンス測定など、幅広い分野で数多くのタスクをこなす必要があります。これらを5つのステップに集約したものが、下記に挙げる「生成AI導入の体系的アプローチ」です。
生成AI導入の体系的アプローチを実行しさえすれば、どんな企業でも生成AIを楽に導入できるというわけではありません。しかし、プロセスをわかりやすく説明することによって、膨大な先行投資をする必要なく、中堅・中小企業であっても生成AIの大きなメリットを享受できるようにすることをめざしています。
以下、各STEPの概要を紹介します。STEPのより詳しい内容はホワイトペーパーに掲載していますので、ご興味のある方はそちらもご覧ください。
第1の優先事項として、ビジネス全体を対象にして、生成AIで明確な価値を引き出すことができる、3~5個のユースケースを特定します。所属部署だけに留まらず、全社的な視野を持って、潜在的な可能性を評価します。
ユースケース選定のポイントについては、前回記事(第3回:中堅・中小企業のための生成AI導入ガイド [前編:試験導入におけるユースケース選定のポイント])でも詳しく解説しています。
大きな可能性を持つユースケースのピックアップが完了したら、各ユースケースの目標や期待事項を事前に設定しておきます。目標は定量的に評価可能な形で具体化しておくことで、生成AIの全社展開やさらなる投資判断などの意思決定を的確に行うことができます。
また、関係者に対しては、生成AIの利点だけでなく、誤情報の生成や、著作権をはじめとする知的財産への配慮などの重要な課題についても周知しておき、信頼の構築に努めます。
トップクラスのベンダーの無料プランを活用して、アプリケーションのプロトタイプ作成とモデルの正解率、速度、頑健性のベンチマーキングを行い、機能とコストの最適なバランスを模索します。
Anthropic、Cohere、Hugging Faceなど、多数のテクノロジープロバイダーが試用のための無償の生成AIモデルを提供しています。これらのモデルは月ごとの使用量が制限されていますが、初期段階のプロトタイピングには十分です。このようなモデルを利用して、目的のアプリケーションのプロトタイプを構築し、会社のデータでテストを行います。
成功指標を基準として精度や効率性などを測定し、モデルを拡張した場合に期待される機能の評価を行います。この方法では初期費用がかからず、得られたインサイトをテクノロジーに関する意思決定の拠り所とすることができます。
開発したアプリケーションが高いパフォーマンスを発揮できるよう、早い段階でのデータのクリーニング、構造化、拡充を優先し、長期にわたり品質を維持するためにモニタリングを取り入れます。高品質なデータを利用するために以下の項目を実施し、明らかになったギャップ(問題点)に関しては積極的に対応しましょう。
これらの手順は、アプリケーションの性能を最大化し、長期的な価値を提供するために重要です。
生成AIの導入プロジェクトは、一度実施すれば完了するプロジェクトではなく、学習を中心とした継続的な取り組みとして考えるべきです。技術的にも組織的にも、応用学習によりさまざまな業務の継続的改善を実現するものとして生成AIを取り扱い、データのフィードバックループ全体を通して、学習速度の最大化をめざす文化を育てます。
そのためには、規模の完全性よりも俊敏性を重視してアーキテクチャーを設計し、再トレーニングのサイクルを短縮する必要があります。継続的な学習と成長が可能なアーキテクチャー設計を実現するには、以下の項目に留意する必要があります。
中堅・中小企業における生成AIの導入には、慎重な計画が求められ、それには継続的学習に支えられた俊敏な実践と現実的な期待が必要です。ビジネスのさまざまな部分を変革しようと意欲的な中堅・中小企業は、ユースケースの戦略的な評価、実験によるモデルの評価、入念なデータの準備、持続的な成長に向けたアーキテクチャー設計を行うことで、メリットが得られます。
結果が出るまでにはどうしても時間がかかりますが、本ホワイトペーパーに記載した基本事項を確認することで、取り組みを軌道に乗せ、AI機能を飛躍的に改善させることができるでしょう。段階的なアプローチを採用することにより、責任ある形で、レジリエンスを確保しながら、生成AIの大きな可能性を実現することができます。
読者の皆さまが、生成AIの大いなる可能性を引き出し、ビジネスをさらなる発展に導くことを願っています。
ホワイトペーパー「ビジネスの未来を拓く 生成AIグローバルトレンド 第4回:中堅・中小企業のための生成AI導入ガイド [後編:生成AI導入を成功に導く体系的アプローチ]」をご覧になりたい方は下記リンクよりお申込みください。
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