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経理業務効率化のための自社データ等の整備_②ステップ前半

経理業務効率化のための自社データ等の整備_②ステップ前半

1.RPA導入に必要な視点

RPAの導入においては、(1)目的の整理と(2)RPAの活用に適する条件の整理を行っておくことが重要であると考えられる。

(1)目的の整理

システム導入などでよくみられる失敗例として、システムをカットオーバーさせることが目的化してしまい、本来の目的である部門の生産性向上という本題が置き去りになってしまうケースが多々見られるため、しっかりとした目的の設定と定期的な観測が必要である。

(2)RPAの活用に適する条件

RPAの活用に適する条件として下記の4つの条件がそろった際に、導入の障壁が低減されるとともに、導入効果が高くなるものと考えられる。RPAの導入を検討する際には、事前に大まかな検討をされることをお勧めする。

①単純性

経験値的な判断を伴うものではなく、いかに単純な業務に細分化されているか、または、細分化することができるか。

②定型性

業務にイレギュラーな分岐点が存在したり、複雑なロジックになっておらず、一定のルールに従った定型的な処理となっているか、または、定型化することが可能か。

③反復性

年に1度しか発生しない業務などではなく、毎日や月に数回など反復的に繰り返される業務であるか。

④連続性

個々の業務に細分化され分断されてしまうような業務でなく、ある程度連続性のある業務となっているか、または、連続的な業務にすることができるか。

2.財務経理業務のRPA導入のためのステップ

前述してきたポイントを踏まえ、部分最適にならないように意識した上で、以下のステップにて、RPAを活用した財務経理業務の自動化を検討していくことが望まれる。

(1)財務経理業務現状調査・分析

まずは、既存の財務経理業務において、①誰が②いつ③何の業務を④何時間かけて⑤どのように実施しており⑥それは何のために行なわれているかという全体像把握することが必要である。その際に、決算スケジュール表、財務経理業務一覧表などがあれば効率的である。全体像を把握したうえで、ターゲットとする業務について、実際の資料やエクセルツールなどを確認しながら、各業務の手順を把握しボトルネックポイントを把握していく。結果として、業務の自動化以前に業務自体をなくせる可能性も多く存在している。

(2)現行業務における問題点抽出

財務経理業務現状調査・分析後に、現行業務における問題点を把握してリストにまとめていく。具体的には、元データが紙でしか存在しない、手作業(集計や転記)が多く存在する、人が判断している(金額基準による費用処理・資産計上の判断)、エクセルツールが複雑である等の属人化・非効率化している業務の洗い出しを行う。

(3)会計処理する際のデータ整理のポイント

現行業務を整理していく中で課題として挙げられるものとして、未払費用として計上する元データが紙やPDFでしか取得できない、請求書などが各担当に送付されてくることから経理への提出が遅い、販売データを複数のシステムで保有していることによりシステムごとの売上計上フローが発生しているなどの問題がある場合がある。いずれの場合も経理が情報の入力、各部門への書類督促、売上フローの複雑化につながることから業務負荷があがる状態となっている。これら課題に対しては、エクセルやCSVでデータを入手することや書類の提出期限などについて例外的な対応を認めないようなフローにすること、複数システムからのデータを統合するようなエクセルツール等を準備するなどの業務やデータの整理が重要になってくる。

(4)財務経理業務における改善案策定と実行

現行業務における問題点を把握した後に、それぞれの課題ごとに改善案を策定し、実行していく。改善の手段は様々あるものの、業務が属人化しているものや非効率化の改善という観点で業務フローを整理していくことが重要である。これらの業務見直しを行わず、現状のままRPAによる自動化の仕組みを構築しようとするとオーバースペックな自動化ツールを選定してしまい導入コストが増加してしまったり、手作業が残ってしまったりなどのリスクが想定される。

(5)RPAツールの選定

現行業務の業務改善やエクセルツールの改修を行った後に、財務経理業務を自動化するためのツール選定を行う。RPAツールといっても、世の中には様々なものがあり、BizRobo、WinActorなど数多く開発されている。財務経理業務のみならず全社でRPA化を進めたいのか、基幹システムにアクセスしてデータを取得する必要があるか、Webからデータを収集したいかなど自動化対象業務の特徴によって、適合するRPAツールが異なってくるため、各製品の特長と自動化対象業務の特徴を照らし合わせながらRPAツールを決定する。

筆者のご紹介

舟山 真登(ふなやま まさと)氏

グローウィン・パートナーズ株式会社
コーポレートイノベーション部 部長
舟山 真登(ふなやま まさと) 公認会計士

2005年 監査法人トーマツ入所。東証一部上場企業をはじめ、幅広い業種・規模の企業に対する法定監査業務、内部統制監査制度の導入支援業務、IFRS導入支援業務に従事。
2015年 当社入社。上場企業グループの経理BPR、経理業務アウトソーシング体制の構築、経理業務のRPAによる自動化等の各種プロジェクトのプロジェクトマネージャーを多数担当。
2017年 コーポレートイノベーション部 部長。Accounting Tech®Solution事業を推進し、上場企業向けに、財務経理部門の働き方改革の支援、PMI(Post Merger Integration)プロジェクトの支援、経理BPOサービスなど、多くの案件を手がけるほか、専門誌の執筆やセミナー講師を多数実施。

企業概要(グローウィン・パートナーズ株式会社)

https://www.growin.jp/

「プロの経営参謀」としてクライアントを成長(Growth)と成功(win)に導くために、①上場企業のクライアントを中心に設立以来400件以上のM&Aサポート実績を誇るフィナンシャル・アドバイザリー事業、②「会計ナレッジ」・「経理プロセスノウハウ」・「経営分析力」に「ITソリューション」を掛け合わせた業務プロセスコンサルティングを提供するAccounting Tech® Solution事業、③ベンチャーキャピタル事業の3つの事業を展開している。
大手コンサルファーム出身者、上場企業の財務経理経験者、大手監査法人出身の公認会計士を中心としたプロフェッショナル集団であり、多くの実績とノウハウに基づきクライアントの経営課題に挑んでいる。

※コラムは筆者の個人的見解であり、日立システムズの公式見解を示すものではありません。
※本コラムは、2019年03月06日に掲載されたものです。

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