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【ウェビナーレポート】
製造業DX推進の鍵!製造業向けAIセミナー
~地に足の着いたAI活用の正攻法を語る!~

【ウェビナーレポート】製造業DX推進の鍵!製造業向けAIセミナー~地に足の着いたAI活用の正攻法を語る!~

第3部「悩まず・ムダなく・最大限
最適化で変わる“計画業務”の新しいかたち」

2025年6月にオンライン開催されて好評を博したセミナー、「製造業DX推進の鍵!製造業向けAIセミナー」。製造業において、生成AIの導入や定着化を成功させるためには、自社での活用目的やゴールを明確にしながらステップごとに検討を進めていくことが重要です。
本セミナーでは、製造業に特化した生成AIの社内事例やAIエージェントのご紹介、AI活用の実例として、生産計画の最適化、設備機器の運用・保守のための異常検知の事例と導入のコツを紹介しました。本稿では、第3部の内容をご紹介します。

ウェビナー登壇者:
株式会社 日立システムズ
産業・流通情報サービス第二事業部
製造DX本部
水内 武

計画業務の最適化支援

今回は、最適化支援の中でも特に現場で役立ったと実感いただけたポイントをご紹介します。

質問です。「もし、毎日の計画作業にかけている5時間のうち、4時間30分が“無駄”だとしたら、どう感じますか?」

実際、多くの現場では、生産計画に費やす時間の約90%がデータ集計や調整といったルーチンワークに費やされています。本日紹介する「最適化」を活用すれば、その5時間をわずか30分に短縮できた事例もあります。本日は、「悩まず・ムダなく・最大限 ― 最適化で変わる“計画業務”の新しいかたち」をご紹介します。

講演資料より:計画業務の課題
講演資料より:計画業務の課題

今直面している“計画業務”の課題

早速ですが、現場からよく聞かれる声です。
・毎日・毎週・毎月の計画資料作成に追われている
・担当者によって計画の精度や対応方針にバラつきがある
・急な条件変更や前提の変化で一から作り直す必要がある

これらは、属人化した情報収集や調整作業が生む見えないコストです。スライドに示したフロー図をご覧ください。多くの“手動ステップ”がボトルネックとなり、効率化を阻んでおります。

講演資料より:最適化とは何か
講演資料より:最適化とは何か

最適化:複雑な計画を自動で導き出す

最適化とは、「計画に必要なデータ」、「何を良くしたいか(目的関数)」、とそして「どんな業務ルール(制約条件)があるか」の3つを設定することで、システムがそれらを満たす最適な計画を自動で作成する仕組みです。
例えば、
・生産計画では、生産量を最大化しながら、設備や工程の制約を守る計画を作成します。
・要員計画では、人員を効率的に配置しながら、スキルやシフトの制約を満たす計画をします。
・配送計画では、移動距離を最小限にしながら、納品時間や車両制限に対応した計画を作成します。
このように、複雑な条件を同時に考慮した計画を、わずか数秒から数分で自動作成することが可能です。

講演資料より:生産計画への適用事例(食品メーカー)
講演資料より:生産計画への適用事例(食品メーカー)

食品メーカーでの事例

私が支援したある有名食品メーカーでの実際の事例をご紹介します。
この工場では、300品目×30日分の生産計画を、毎月担当者が手作業で作成しており、毎月5時間以上の工数がかかっていました。しかも、急な受注変更や非稼働日の変更あるとすぐには対応できず、安全在庫が不足してしまうなど、現場はひっ迫していました。
そこで、販売予測、在庫情報、設備の稼働能力、品目ごとの優先順位の業務データを整理・収集し、最適化を導入しました。

これらのデータを基にPoC(概念実証)を実施した結果、どの日にどの品目をどれだけ生産すべきかをワンクリックで自動算出できるようになりました。結果、わずか数分で“優先度順に安全在庫を確保した生産計画”が作成可能になり、これまで属人化していた生産計画担当者の経験やノウハウもシステムに取り込むことができました。この取り組みによって、事業継続リスクが大きく低減されただけでなく、現場も安心して運用できる状態が実現しています。

講演資料より:導入効果
講演資料より:導入効果

最適化導入による顕著な効果

計画作成時間は5時間からわずか30分へと短縮されました。属人性が排除されたことで、システムを使えば誰でも同じルールで計画を立てられるようになり、計画のばらつきが解消。ルールどおりの計画が保証され、信頼性と安定性が大きく向上しました。結果、必要生産量と実績の差異は14%から3%へと大幅に削減できました。

なお、従来の計画業務では、在庫や人員、ライン能力など、複雑な制約条件を踏まえるには、熟練者の経験が必要でした。最適化の導入によって、こうした複雑な条件を自動で考慮し、“誰でもワンクリックで”熟練者と同レベルの計画を立てることが可能になり、属人的な判断に頼らず、業務の標準化と仕組み化を実現し、引き継ぎや人材育成もスムーズになりました。現在では、計画担当者は空いた時間を活用し、戦略的な分析や品質改善など、より付加価値の高い業務に注力できるようになっています。

講演資料より:多分野への広がり
講演資料より:多分野への広がり

最適化の応用領域は多岐にわたる

最適化は、目的、制約、そしてデータが存在する限りその力を最大限に発揮します。この技術の応用領域は多岐にわたり、要員配置計画、配送計画、在庫計画、調達計画、切り出し計画、ポートフォリオ最適化、医療リソース計画、教育機関の時間割編成などに貢献できます。

講演資料より:導入のポイント
講演資料より:導入のポイント

最適化導入の6ステップ

最適化の導入は、6つの主要なステップで進めていきます。最初にお客さまの計画業務の棚卸しを行い、現状の課題を整理します。2つ目に、最適化の目的と制約条件を明確化します。具体的に「どのような状態が理想の計画なのか」、そして「業務ルールは何か」を棚卸しします。3つ目は、最適化に必要なデータの収集と整備を行います。

3つのステップが完了した後、4つ目のモデル構築とPoC(概念実証)を実施します。ここで納得のいく結果が出た場合に、5つ目のシステム構築に入ります。最後に、構築したシステムを運用フェーズへと移行します。

導入のポイントは、小さく始めて早く成果を可視化することです。

今すぐ取り組むべき3つのアクション

計画業務の最適化に向けて、今すぐ取り組める3つのアクションを紹介します。

1つ目は時間の見える化です。計画作成に費やしている時間を正確に計測し、現状を把握しましょう。2つ目は、課題の洗い出しです。「もっと良い計画ができるのではないか?」と自問し、計画業務や作業の非効率さ、欠品、属人化など現状の課題を洗い出しましょう。3つ目は、気になったら、まず試してみましょう。最適化に少しでも興味を持ったら、まずはPoC(概念実証)から始めてみてください。小さく試すことで、現状の業務における最善策を検証できます。

「より良い計画」と「より意味」のある時間を創出できることを楽しみにしています。

※記載の会社名、製品名はそれぞれの会社の商標または登録商標です。