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株式会社 日立システムズ

社内コミュニケーションのニューノーマル

第2回 日報で業務を「見せる化」!

これからは「働く時間ではなく成果で評価されるようになる」といわれています。成果を出すには行動目標が必要で、そこに至る進捗を上司と部下とで共有するツールが、日々の業務報告である「日報」です。テレワークが導入されて初めて日報を書くようになった、という人もいるのではないでしょうか。テレワーク中は上司も部下もお互いの様子が見えず、悩みや不安を抱えやすいものですが、日報の使い方次第で、その不安が解消されるかもしれません。
(取材協力:キャスター事業責任者 越川慎司氏)

<Web会議の利用に関する実態調査>
実施日:2020年7月1日〜9日
対象:国内の企業・組織に所属するビジネスパーソン
母数:有効回答数1881件

ここ、フジキ興産では2020年度からテレワークを導入し、多くの部署が日々の業務報告に営業日報シートを流用している。日報は、管理職にとっては、社員の状況を把握でき、部門管理に役立つツールになりうるが、これまで日報を書いたことがない社員にしてみれば、作成に時間がかかり、業務効率を下げる業務だと煙たがられている。藤田君は会社に同期で入社した事務系の社員から書き方の相談を受け、中川課長を頼ることにした。

「テレワークの業務報告、書く意味ある?」

藤田君(以下、藤田) 中川さん、お忙しいところすみません。同期から日報について相談されたのですが、うちの部署はビジネスチャット利用に変わりましたし、私ではうまく答えられなくて……。同期が言うには、その日やったことを日報に書いて提出しているけれど、これに何の意味があるのか分からない。上司からフィードバックがあるわけでもないし、さぼっていないか監視したいだけじゃないか。そもそも全部を読むのは大変だろうし、実は読まれていなかったりして、と……。自分もだんだん分からなくなってきて……、日報を書く意味って、何なのでしょうか。

中川課長(以下、中川) 藤田君は、どう思う?

藤田 営業だったら、営業目標に向けてどう動いたかを書いて、達成までの残りの数字が見えるのが日々の日報ですから、書く意味は分かるんですけど。人事や経理とかの管理部門は、違いますよね。

中川 そうね。売上高を持っている営業職のように数字で成果が見える部門は少数派だから、藤田君の同期が疑問に思うのも分からなくもないわ。目標の数値化の話はともかく、その人は、日報を書く意味が分からなくて困っているのね。

藤田 そう言っていました。きちんと書かないとサボっていると思われそうなので、頑張って書いているけど、何をどこまで書けばいいのか分からない。1時間おきにやったことを書いて、昼休憩の時間や、パソコンの前を離れた時間があればそれも書いているけれど、そういう行動記録にどんな意味があるのかと。まあ、勤務状況の把握にはなるのでしょうけど……。

中川 それは業務効率の面でも問題ね。そういえば、WEBカメラを1日中onにしておくように指示されたり、15分刻みでエクセルシートに記入させられたり、トイレまで報告させている会社があるという話も聞いたわ。

藤田 ええっ?!

中川 明らかにやりすぎよ。マイクロマネジメントは、出社していたときは難なくできたことまで、できなくしてしまうことがある。性悪説に立つと相手を疑ってばかりで、生産性を決定的に下げるわ。管理は監視とは違うし、現場には、ある程度の自由と責任を渡さないとね。いろんな考えがあると思うけど、一つ言えるのは、本来、上司は、部下が支障なく業務を進められているかを知りたいの。だから、それを日報に書けばいいのよ。

将来あるべき姿への変化を見せる

中川 うちの会社では、毎年、社員一人ひとりが自分の行動目標を考えるでしょ。それぞれが決めた行動目標に取り組んで、半期に一度、上司と進捗を確認する。藤田君も、西村部長と面談したよね。

藤田 はい。でも、あれと、日報にどんな関係があるのでしょうか。

中川 行動目標に向けて、自分が今日、何をしたのかを書くのが日報だと考えればどうかしら。これからは、働く時間ではなく、成果で評価されるようになる、と最近よく聞くけど、日本で働く人の6割は定量的なゴールを持たないという説(2017年1月~2019年6月、対象587社・16.2万人 クロスリバー調べ)もあるわ。藤田君が言ったように、経理や人事では定量的なゴールを設定することが難しいから、数字での達成感は感じにくい。だから行動目標をおくことが前提になるの。

藤田 そういうものですか。

中川 上司は、部下が問題なく行動目標に向かっているかどうかを知りたいの。だからどう動いているかを、自分から積極的に見せていく、その姿勢が必要というわけ。いわば、業務の見せる化ね。行動目標という、将来のあるべき姿に向けて、どう変化をしていっているのかを見せることで上司は安心するのよ。

藤田 分かりました! 自分は行動目標にどう取り組んでいるのかを書けばいいんですね。

中川 そういうこと。日報は、行動記録であると同時に、一日を振り返るための資料にもなるわ。どこがダメだったのか、どこが良かったのか、成長するためには振り返ることが大切。少なくとも週に15分は内省の時間を取りたいところね。

ある調査によると、働く時間の7割を奪うのは「社内会議」「資料づくり」「メールの処理」という結果(図1)が出ているの。これらは自分ではコントロールしにくいけど、それ以外の自分がコントロールできる時間や作業のなかで、どんな反省があるか、無駄は何かを考える。無駄なことは止め、改善できる点はすぐに改める。これを続けると、作業がどんどんブラッシュアップされて、結果、自分でコントロールできる範囲が広がる。そうしていくことが社内での成果になり、評価につながっていくのよ。つまり、会社の中でのキャリアアップに結び付く。

藤田 一人での振り返りは堂々巡りになりそうなのですが、課長や部長に相談してもいいんでしょうか。

中川 もちろん。部下の振り返りをサポートするのは上司の仕事。会議を減らして、1on1ミーティングを2週間に1度設定したのもそのためよ。テレワークで業務のデジタル化がぐんと進んだから、WEB会議システムを使って1on1もやりやすくなったしね。

調査結果
図1:働く時間の7割を奪うのは「社内会議」「資料づくり」「メールの処理」

2017年1月~2019年6月、対象528社・16.0万人 クロスリバー調べ

勤務状況の「見せる化」を心がける

藤田 うちの部の業務報告がビジネスチャットに変わってからは他の人の報告も読むようになって、まわりが何をしているのか、出社していたときみたいに分かるようになりました。

中川 始めます、終わります、だけじゃなくて、仕事中の自分のプレゼンスを明らかにしておくのも大切よ。会社のカレンダーに予定の有無は入れておいてほしいし、ビジネスチャットツールによっては、オンライン中かオフライン中かを表示することもできるから、そういったものを活用する方法もあるわ。いずれにせよ、状況の見せる化を積極的にすれば、サボっているんじゃないかと勘繰られることも少なくなるかも。

藤田 やっぱり、在宅勤務はサボりやすいと疑われるのは、仕方ないんでしょうか。

中川 そんなことはないわ。少なくとも西村部長は在宅勤務だからサボるという目では見ていないはず。コロナ禍以前の調査で、「在宅勤務サボっているんじゃないか問題」の結果(図2)を聞いたことがあるの。在宅勤務をしている人を調べてみたら、PCゲームをしたり、ショッピングサイトを延々回遊したり、全体の14%がサボっていたんですって。さらに、その14%を追跡調査したところ、なんとそのうちの94%は会社でもサボっているという結果に。サボる・サボらないは、その人の資質や職責、評価形態によるもので、在宅勤務だからサボるということはないのよね。おもしろい結果なので西村部長に報告したら、部長会でも話題になったとおっしゃっていたわ。

藤田 少しホッとしました。あとは、自分の行動目標に向けてどう仕事をしているか、しっかりと業務報告をすればいいわけですね。

中川 一つアドバイスがあるわ。これから業務報告をするときは、数字を使うことを意識してみて。「●●業務は25%完了しました」とか、「今月は企画書づくりが重なりましたが、先月に比べてパワポの作成時間を5%短縮できました」といった具合に、どんな数字でもいい。数字はグローバルスタンダードだから、数字で会話することを意識すると、上司に伝わりやすくなるのよ。

藤田 分かりました。ありがとうございました!

調査結果 図2:在宅勤務はサボりやすい?

2019年7月~9月、対象22社・625人 クロスリバー調べ

業務報告で押さえるべき3つのポイント

  1. 業務の見せる化
  2. 状況の見せる化
  3. 数字で会話

※この記事は、日経BPコンサルティング 「CCL.」より転載いたしました。
※この物語はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。

越川 慎司(こしかわ・しんじ)氏

株式会社キャスター事業責任者、株式会社クロスリバー代表取締役社長。国内外通信会社に勤務、ITベンチャーの起業を経て、2005年に米マイクロソフト入社。日本マイクロソフトに転籍後、PowerPointやTeamsなどOfficeビジネスの責任者を務める。2017年にメンバー全員が週休3日・完全リモートワーク・副業を実践する株式会社クロスリバーを設立。600社を超えるリモートワーク支援実績があり、そこから得られた知見を『ポスト・コロナの知的生産術』『ビジネスチャット時短革命』等の書籍、講演、SNSにて積極的に発信し続けている。

執筆
日経BPコンサルティング
コンテンツ本部 編集2部
渡邉 亜紀子(わたなべ・あきこ)

エンタメ&カルチャー情報誌の編集者を経て、オウンドメディア編集歴20年。現在は医療・健康分野と建物まわりを中心に担当。より良い企業コミュニケーションのデザインづくりに「さってばさあ」の姿勢で取り組む(「さってばさあ」は出身地の方言で「話を聞いたらすぐ動く」の意味)。

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